相変わらず人気の「弱ペダ」、アニメ化も実現したお馴染みの「ろんぐらいだぁす」、そして今期は「南鎌倉高校女子自転車部」のアニメが放送中……と、ロードバイクに関連する作品が花盛り。
サッカーや野球のように……とまではいきませんが、ロードバイクやロードレースというスポーツ&趣味の世界の認知度は、ここ数年で大幅に高まったと言えるでしょう。
ジャンルが成熟していくと、そこで発表される作品のタイプも多様になっていきます。例えば、ミリタリー趣味が成熟し、史実を紹介したり、歴史のIFを描くだけでなく、美少女が戦車に乗ってドンパチやるアニメが登場するように。
ロードバイクでもそれは同様。ロードバイクってこんな乗り物ですよ、こんな風に楽しむんですよ、ロードレース競技ってこんな世界ですよ、という"紹介的”な作品が多かった中、異彩を放っているのが昨年末に発売された竹山祐右さんの「はやめブラストギア」(少年画報刊)です。
サッカーや野球のように……とまではいきませんが、ロードバイクやロードレースというスポーツ&趣味の世界の認知度は、ここ数年で大幅に高まったと言えるでしょう。
ジャンルが成熟していくと、そこで発表される作品のタイプも多様になっていきます。例えば、ミリタリー趣味が成熟し、史実を紹介したり、歴史のIFを描くだけでなく、美少女が戦車に乗ってドンパチやるアニメが登場するように。
ロードバイクでもそれは同様。ロードバイクってこんな乗り物ですよ、こんな風に楽しむんですよ、ロードレース競技ってこんな世界ですよ、という"紹介的”な作品が多かった中、異彩を放っているのが昨年末に発売された竹山祐右さんの「はやめブラストギア」(少年画報刊)です。
俺の知ってる風張峠が世紀末ゾーンにwwwww
主人公は、ロードバイク好きの美少女・円城寺はやめ。彼女は今日も峠を楽しくヒルクラしますが、知らずと踏み込んでしまったのはロードバイクの闇の世界、デストライド。
要するに、”野良レース”でバトルし、負けた方がスプロケなどのパーツを奪われてしまうという物語。敗者は自走不能になってしまうので輪行で帰るほかないのですが、その際には勝者のロゴ入り輪行袋(ルーザーズバッグ)に入れて帰らねばならないという屈辱のオマケ付き。
な、なんてバカなマンガだ(最上級褒め言葉)
俺今度から、輪行袋の事ルーザーズバッグって呼ぶわ
ロードバイクの魅力、初心者向け、ゆるふわなどのワードを銀河の彼方に葬り去るこの勢い。たまりません。
もちろん、レースの内容もおバカの極地。タイヤで石をはじいて攻撃したり、壁を走ったりと、「んなバカな」の連続。
しかし、そんなおバカな設定やバトルを、熱量たっぷりに描く絵の力と、ムチャクチャだけどどこか憎めないキャラクター達の動きでグイグイ読ませます。やはりおバカは貫いてこそ華。ああ、私の愛するロードバイクの世界にも、こんなマンガが登場するようになったんだと、勝手に誇らしい気分になったりします。なぜ「ばくおん!!」のようなイカれた熱いマンガがロードには無いんだと羨ましく思っていたので、胸のつかえがとれたようです。
一見、世紀末覇者なノリだけで決まっているような"パーツを賭けたバトル”も、冷静に読むと、よく考えられています。ご存知の通り、ロードバイクは機材スポーツでもありますが、細かなパーツのグレードアップは、本当にロードバイクが好きな人でないと読んでいて面白くなく、マンガにしにくい面があります。
例えば弱虫ペダルで、坂道くんが合宿で死ぬ気で努力し、実力がUPするパートは誰が読んでも熱いですが、自転車屋に出かけて「こっちのホイールの方が400g軽いから今泉君買ってよ」とか「ハンドルまでカーボンにしたら御堂筋くんに勝てるぞ」みたいな話が展開してもシラケてしまいます。
けれども、パーツをグレードアップしてより速いバイクに進化させていく事や、パーツを変えた事で走りが変化するという部分は、まぎれもなくロードバイクの魅力の1つ。そんな要素を、物語の中にうまく取り込み、前に進む大きな原動力としている部分が巧みです。
取引されるパーツ、舞台のチョイス、繰り出される必殺技など、随所に作者のロードバイク愛が垣間見えるのもポイント。ムチャクチャな物語ではありますが、”しっかりとロードバイクしている”ので、ローディーが読んでも「なんか違う」と首をかしげることなく、むしろ「なんだこれはww」と笑いながら読み込んでしまうことウケアイ。
実際に野良レースバトルをするわけにはいきませんが、チェレステのロードとウェアで風のように走り、ライバルを倒していくはやめの姿からは、”ロードバイクマンガはもっと自由でいい”という声が、聞こえてくるような気がします。