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(読了後再生推奨/画質は720/60p、1080/60pがオススメです)
前回までのあらすじ。
四天坂を倒して訪れた、つかの間の平和。しかしそれも激坂十傑集によって無残にも終わりを告げた。
悦楽の渋峠、帝王乗鞍、この世の地獄・大弛峠。今までとは桁違いの難敵。大きな精神的代償を支払いながらも、これらを辛くもクリアしてきたへるはん。だが、この世界線の果てには、彼のガラスのハムストリングスが砕け散る未来しか存在しない。
しかし、モンスター峠達は冬眠するという習性があった。つまり、雪の季節の到来は、激坂バトルの休止期間を意味していたのだ。問題の先送りこそ、へるはんの人生の根幹。十傑集との戦いを忘れ、こたつに逃避し、餅を思うさま食う正月。
だが、へるはんは知る由もなかった。モンスターは暖かな海の近くにも生息しているという事を……。
だが、へるはんは知る由もなかった。モンスターは暖かな海の近くにも生息しているという事を……。
このブログで良く走るエリアと言えば、飯能や奥多摩、ヤビツなどの神奈川。たまに千葉やつくば、そして大イベントで長野が登場する程度。住んでいる東京からあまり遠くへは行けないという制約はありますが、地域的に偏っている事は否めません。
未開拓の近隣エリアの中で代表的なのは、北にある日光、富士山方面、そして無視できないのが“箱根”です。
箱根と言えば“天下の険”。“スゲエ山や谷がそこらじゅうにあるぜ(意訳)”と、歌に歌われるほどの難所です。
「日本の全てを平地に、もしくは下り坂に」をスローガンに国政選挙に出ようかと考えた事もある私ですから、「自転車で箱根なんて冗談じゃない」というスタンスを貫いてきました。しかし、いつの間にか1,000m級の山に出かけまくり、箱根の高さを遥かに超える長野などの山にも挑むようになった現在……箱根、行けるんじゃね? という言葉が、脳裏をよぎるように。
今になって思えば、“身の程知らずも甚だしい”としか言えないのですが。
箱根は確かに行ってみたいけど、ほとんど何も知らないからどんなルートがいいのかわからない。
幾つか候補はあるけど、やっぱり詳しい人と一緒に走りたいね。
それじゃあ、希望する獲得標高を伝えると、絶景が楽しめ、限界ギリギリの絶妙なコース料理を提示してくれる三星シェフに意見を聞いてみるしかいないね。
HAOえもーん!!
かしこまりました、箱根で3,000mUPですね
おい誰だ! テラめし屋の店長連れてきたの!!
正気を取り戻したシェフが料理してくれたコースは、キツ目と軽めの2つ。
キツ目は距離147.5kmで、獲得標高2,700mUP
【2月26日追記】ゲートが開放されていたので気付かず走行してしまいましたが、下記コースの矢倉沢~金時神社までの林道は、通行許可車以外は通行禁止の道路でした。申し訳ございません。足利峠方面などへの迂回をお願い致します。この林道は冬季はゲートが閉鎖されている事が多いようです。
(※今回のレポでは完全にこのコースではなく湯河原まで)
【2月26日追記】ゲートが開放されていたので気付かず走行してしまいましたが、下記コースの矢倉沢~金時神社までの林道は、通行許可車以外は通行禁止の道路でした。申し訳ございません。足利峠方面などへの迂回をお願い致します。この林道は冬季はゲートが閉鎖されている事が多いようです。
(※今回のレポでは完全にこのコースではなく湯河原まで)
軽めの方は、113kmで2,280mUP
ちょっと待って、俺の最高獲得標高は乗鞍で半分死にながらクリアした2,500mUPなんだけど、2,700mUPって何
しかもこの時期(ライドは1月)は、夕暮れが速いからモタモタしていると日が暮れた山奥でダウンヒルする事になって危ないですから、頑張って走らないとダメですねw でもへるさんなら限界ギリギリでもクリアできるから楽しいと思いますよ。
いや、俺頑張ってもスピードアップできないから
ロングライドの時間短縮で有効なのは、休憩や食事の回数や時間を削る事だね。
乗りながらこまめに食べたり、料理屋に入らずにコンビニでササッと補給したりって事か……ブルベみたいだね。
まあ輪行袋を持ったまま走れば何とでもなる。行こう行こう。
え、ちょっww いや、しかし……
ご承知の通り、私の特技は時間を使ったユルユル登坂。特技と偉そうに言ってますが、要するに“それしかできない”のです。時間制限があったり、ある程度のスピードを維持するようなライドは天敵と言っても間違いありません。
今回は山の中がほとんどなので、コンビニも少ないでしょう。いつもよりも補給食を多めに、プロテインバーなどをサドルバッグに詰め込み、やや緊張しながら、新松田駅に降り立ちました。
参加メンバーはHAOさん、へまさん、とーるさん、トミィさん、私。HAOさんはルートを引いてくれただけでなく、夜に家の予定があるのに一緒に走ってくれる事になり、心強い限り(だからこそ俺が日暮れまでに走りきらないとマズイw)。ゆっけさんも来る予定でしたが残念ながら風邪でDNS。私以外は3,000mUP以上も行けるメンバーです。
まずは足柄街道を走り、金時山を目指します。足柄山、金時……と聞いてピンとくる人も多いでしょう。銀魂……じゃなくて、マサカリかついだ金時さんこと金太郎。彼がクマと相撲をとっていたのが足柄山です。
金時山へと向かう足柄街道。新松田駅を出て、すぐに斜度が上がりはじめ、10%オーバーに。そこからほとんど数値が落ちません。10%、11%は慣れたものではありますが、起き抜けの早朝に走るのはかなりの苦行。前を走るへまさんも、「朝飯食べたばっかでいきなりだから気持ち悪い」と、いつになくスローペース。
まだ気温が上がらず、体の表面はピリピリと冷たいのに、体内は燃えるような暑さという不思議な状態も、本来のパワーが発揮できない要因かもしれません。
まるでウェーブのように波打つ激坂。全て10%オーバーの世界で、時には13%、14%と、歯を食いしばりながら登るような区間も現れます。山奥ではなく、まだ家が立ち並んでいるというのにこの強烈さ。しかも先が見えません。この圧倒的なスケール感。ズタボロに殺られた大弛峠と同じような匂いがしてきました。真夏に挑んでいたら、熱中症で殺られるタイプの坂かもしれません。
苦痛にあえぎながら進み続けること約15km。獲得標高は850mほど。既に都民の森より登ってきた計算です。
金時山の次は、「長尾峠」に挑みます。距離は約5km、200mほど登り、標高900mへと到達します。てっぺんからは芦ノ湖や仙石原が見渡せるの絶景峠だとか。期待が高まります。
斜度は6~10%程度。さほどキツくはありませんが、ここまで結構登ってきたので、楽に通過はできません。皆に離されながらも、一定ペースを維持。街道に車は多数いましたが、峠にはほとんど入ってこないので、静かで気分は爽快。起き抜けの低調さも抜けてきました。
しばらくクランクを回していると、木々の間から平らな森がチラチラ見えはじめました。範囲は超広大。ススキや温泉で知られる、あの仙石原。アニメ好きには“エヴァの第三新東京市”と言うとわかりやすいかもしれません。
そのまま進むと、皆の後ろ姿が。仙石原と芦ノ湖が見渡せる、絶景ポイントに到着したようです。
仙石原の隣に超巨大なゴルフコースができているのがちょっと残念ですが、それでも光り輝く芦ノ湖と、圧倒的なスケール感は言葉を失う大迫力。苦労した甲斐があったというものです。
仙石原の隣に超巨大なゴルフコースができているのがちょっと残念ですが、それでも光り輝く芦ノ湖と、圧倒的なスケール感は言葉を失う大迫力。苦労した甲斐があったというものです。
ちなみに前述のとおり、今回のライドは休憩時間短縮。絶景ポイントで休憩している時も、こまめに補給食を口に運ぶように心がけます。こうする事で、大休憩せずに走りきれるのかどうか? 今回のライドは、そんなテストも兼ねていいます。
HAOさんによれば、この先にあるトンネルを超えると富士山が見える可能性があるとのこと。さっそく行ってみると……
うわー!!
ザ・富士山
としか言えない超絶景。こんなに雲一つない富士山を、間近で見られるなんて、なかなか無い機会。富士山を雲だらけにする男の異名をとるとーるさんが一緒なのに、珍しい事もあるものです。
富士山は季節や時間帯の変化で様々な表情を見せる素晴らしい被写体ですが、独立峰でシンメトリーなので、個性を出した撮影をするのが難しい被写体でもあります。気を抜くと、中央にドカンと富士山を置いただけのザ・日の丸写真を量産してしまうのが日本人の悲しいサガ。
ただ、我々にはロードバイクという強い味方があるので、これを右や左に配置し、個性を出すアングルを探しましょう。
ただ、我々にはロードバイクという強い味方があるので、これを右や左に配置し、個性を出すアングルを探しましょう。
撮影に満足したら、900mの世界から一気に標高14mほどの三島までダウンヒル。富士山に見守られながらのダウンヒルなんてのも、なかなかオツなものです。
ただ、100%下り坂かと思っていたら、途中にちょっと登り返しがあり、クランクは回さねばなりません。HAOさんを筆頭に、平地も速いメンバーなので、ぼんやりしているとあっという間に置いていかれます。ダウンヒルの助力を借りて、離されまいと頑張っていたら、計算外にここでもやや脚を使ってしまい……これが後々、地味に効いてくる事に。
三島の市街地に到着。お昼ごはんはコンビニでササッと済ませます。箱根まで来てご当地名物を食べないのも味気ない……という気もしますが、これからまた1,000m以上登り、芦ノ湖まで行き、さらに大観山まで登らねばならないのです。その後には、椿ラインをダウンヒル予定。日が暮れた中でダウンヒルしないためにも、時間を節約する必要があります。
上の標高グラフでの現在地点は、2つの巨大な山のちょうど中央にある谷間です。
次は天文台まで頑張りましょう。ちょっとキツイところもありますが、距離はそんなにないです。
次は天文台まで頑張りましょう。ちょっとキツイところもありますが、距離はそんなにないです。
とりあえず走り出しますが、天文台への山道に入った瞬間、明らかにクランクの回転が今までよりグッと重くなりました。案の定、前をみると、うねるように上がっていく、激坂が……。
これまでは10%オーバーといっても11%、12%がメインでしたが、今度は13、14%とワンランク上の強敵です。しかもこの斜度があまり落ちず、休憩したり、脚を休ませたりする区間がありません。小細工の効かないこの感じ。長野のモンスタークラスの山で感じられる、あの、圧倒的なラスボス感と、よく似ています。
正午近いので気温もUP。正月だというのに汗が吹き出します。キツ過ぎるところでは蛇行も交えながら進みますが、あまりにも斜度が変わらないので体幹もやられてきてフラつく場面も。コンビニで食べたアメリカンドッグが出てきそうになりますが、なんとかミネラル麦茶で押し込みます。
さすが箱根。こんな名もない通り(142号線)なのに、四天坂にも匹敵するような破壊力。三島から天文台まで約10kmという話ですが、こんなに長く感じた10kmもなかなかありません。
辿り着いた展望台は、とくに景色が良いという事もなく……むしろ、展望台手前のふつーの田んぼの方が、富士山が綺麗に見えました。記念撮影タイムの合間にも、補給ゼリーを吸い込みます。摂取過多のようにも思えますが、これだけの斜度が続くと、恐らく消費カロリーもそれなりにあるでしょう。
展望台を超えたら、斜度が落ち着く……わけはありませんでした。
むしろその逆、14%、15%といった数字が続出。悲鳴も引っ込むような15%オーバーヒルクラわんこそばを味わっていると、もっとヒドイテラめしが待っていました。
なんだよこれwwwwwwww
13、14%の世界に慣れた眼でも、明らかに斜度が違うのがわかります。HAOさんが「ここが一番キツイとこです」と笑いますが、こちらは発狂一歩手前。しかもこの坂、一瞬ではなく、見上げる先まで直線が続く“心折れ仕様”。
へまさんやとーるさんまで「まさかこれ登るの!?」というトーンですが、これ以外に道は無く。絶望しているあいだに、クランクに漬物石でも巻きつけられたのかと思うほどの重さが脚にのしかかってきました。
悶☆絶
GARMINを見ると斜度は18%。恐ろしい事に、クランクを必死にまわして前に進んでも、18%から数値がほとんど動きません。この見渡すかぎりのストレートが18%。苦労坂や風張林道にも似た無慈悲ストレート。フレッシュな脚ならダンシングでなんとかできるかもしれませんが、1,500m近く登ってきた末にこの強敵。ヨロヨロと倒れそうな速度で、シッティングで食らいつくだけで精一杯です。
蛇行も交えて這い上がるように進みますが、時速3kmの徒歩以下スピードでは、終わりゃしません。なけなしのパワーを使い、ダンシングも交えて、あえぎならもなんとかクリア。脚をついてしまおうかと悩むほどのキツさですが、意地でなんとか打ち勝ちました。
斜度はやや落ち着き10%程度の世界に。獲得標高が2,000m近くなり、脚も売り切れ気味。急に車の量が多い交差点があらわれました。ここは昔、車で走った事があります。芦ノ湖へ向かう、十国峠です。
箱根の代名詞的なこの峠で860mまで上昇、芦ノ湖まで進むのですが、コレがまたキツイ。斜度は7~8%と低いダラダラ坂で、景色は良いですが、スケールがデカ過ぎて進んでいる感じがしません。横を絶えず車がビュンビュン通っており、精神的にも披露が蓄積。へそくりで残していた脚も、ジワジワ、確実に削られていくのがわかります。
なんとか十国峠レストハウスに到着。しかし、日は西に傾き始めています。
予定では、このまま860m地点までUP、芦ノ湖へダウンヒル。その後、再び200mほど登り、大観山まで登ってフィニッシュ。椿ラインを下る予定。私のノロノロペースに合わせていると、椿ラインの下りが夕暮れを過ぎてしまう可能性が出てきました。
俺のライトは光量凄いからみんな先に行っていいよ
へるさんなら大丈夫だから、ほら、もう少しがんばりましょう。
ここからはもう緩い斜度ばかりですよ、もうひと踏ん張り。
励まされながら、芦ノ湖を目指して再びノロノロと登りはじめます。普通の人であれば、皆に迷惑をかけまいと頑張るのかもしれませんが、そんなに殊勝な精神の持ち主でないのは御存知の通り。
それなりに頑張りはしますが、このあとまだ300~400mほどは登らなければならないので、今頑張り過ぎて全てを使い果たすわけにはいきません。精一杯急ぎながらも、頭のなかで残りの獲得標高と脚の残り具合を考えながら進みます。
こういう状況になると、GARMINの表示を見なくても、斜度が1%上がった事がわかります。脚にできるだけ力を入れたくないので、1%UPしただけでも速度がガクンと低下。後ろを走っているへまさんやとーるさんから
ちょっwww スピードの落ち具合がおかしいww
がんばって!! もうちょっと回して!!
と笑われますが、既にペダル回しに不要な聴覚や味覚はシャットダウン済み。会話は成立しませんが、そんな事より生きて頂上まで到達する事の方が大切です。
ああー
ううーー
しかもこの日は1月2日。そう、お正月名物である箱根駅伝の初日。選手たちは既に芦ノ湖にゴールした後ですが、それでも応援に来ている人たちで、芦ノ湖周辺は繁華街のような混雑。静寂の中で、己と向き合うようなヒルクラを長時間続けてきた後で、いきなりの人混み。サウナの後に水風呂に飛び込んだようなもので、脳が状況を良く把握できません。
車の多さにゲンナリしながらも、記念撮影だけは済ませ、大観山へと登り始めます。振り返ってみれば、この時、芦ノ湖が混雑していて助かりました。ここでゆっくりと休憩でもしていたら、最後の山へ挑む気力が消滅していたかもしれません。
獲得標高は2,500mを越えようとしています。数値の上では、あの乗鞍ループの自己最高記録と並んでいます。脚は完全に売り切れ状態。頭の中は「ゴールしたい」の言葉でうめつくされており、逆に「辛い」とか「苦しい」という言葉が入り込む余地すらありません。
渋滞の脇を抜け、大観山への道を登り始めます。しかし、登りきれるのかどうか、まったくわかりません。これが、己の限界との戦いというやつなのでしょう。
車が多いので蛇行はできず、なけなしの体幹で自転車を自立させ、脚が重力に引っ張られて落ちる力だけでクランクを回していきます。ゾンビ走法を通り越した、出がらし走法。こんな状態で坂を登っていけるのが自分でも不思議ですが、笑うほど遅いスピードでも、確かにGARMINの標高数値は上がっていきます。
今回のルートの獲得標高は2,700m、現在は2,500m。その差は200m。たった200m。小粒な峠を1つ超えるようなものです。理屈ではわかっており、理性的には「あと200mなんだからなんとかなるだろう」と実は思っています。
しかし、うめき声をあげながらノロノロと回し続けても、絶望的なほどに数値が増えません。2,550、2,551、2,552m……と増えてくカウントが、2,700に到達するまで正気を保つ自信がまったく持てません。
己の限界を越えているからだと思われますが、2,500mから2,600mまでの100mUPは、脚がフレッシュな時の500mほどに感じられます。
脳もショートし、機能しているのは脚の筋肉と、「ああー」、「ううー」という意味のない声を出す喉だけ。ヒルクライムというよりも、おぼれながら助けを求めてもがいているオッサン以外のナニモノでもありません。
ふと左を見ると、何かの冗談のような絶景が広がっています。
車の多さにゲンナリしながらも、記念撮影だけは済ませ、大観山へと登り始めます。振り返ってみれば、この時、芦ノ湖が混雑していて助かりました。ここでゆっくりと休憩でもしていたら、最後の山へ挑む気力が消滅していたかもしれません。
獲得標高は2,500mを越えようとしています。数値の上では、あの乗鞍ループの自己最高記録と並んでいます。脚は完全に売り切れ状態。頭の中は「ゴールしたい」の言葉でうめつくされており、逆に「辛い」とか「苦しい」という言葉が入り込む余地すらありません。
渋滞の脇を抜け、大観山への道を登り始めます。しかし、登りきれるのかどうか、まったくわかりません。これが、己の限界との戦いというやつなのでしょう。
車が多いので蛇行はできず、なけなしの体幹で自転車を自立させ、脚が重力に引っ張られて落ちる力だけでクランクを回していきます。ゾンビ走法を通り越した、出がらし走法。こんな状態で坂を登っていけるのが自分でも不思議ですが、笑うほど遅いスピードでも、確かにGARMINの標高数値は上がっていきます。
今回のルートの獲得標高は2,700m、現在は2,500m。その差は200m。たった200m。小粒な峠を1つ超えるようなものです。理屈ではわかっており、理性的には「あと200mなんだからなんとかなるだろう」と実は思っています。
しかし、うめき声をあげながらノロノロと回し続けても、絶望的なほどに数値が増えません。2,550、2,551、2,552m……と増えてくカウントが、2,700に到達するまで正気を保つ自信がまったく持てません。
己の限界を越えているからだと思われますが、2,500mから2,600mまでの100mUPは、脚がフレッシュな時の500mほどに感じられます。
脳もショートし、機能しているのは脚の筋肉と、「ああー」、「ううー」という意味のない声を出す喉だけ。ヒルクライムというよりも、おぼれながら助けを求めてもがいているオッサン以外のナニモノでもありません。
ふと左を見ると、何かの冗談のような絶景が広がっています。
夕日に染まる芦ノ湖と、富士山。まさに横山大観が描いたような繊細かつ幻想的な風景。この絶景に包まれる夢見心地ドーピングにより、なんとか生きながらえている状態。
脚をついて休みたい、絶景を眺めたいという誘惑に駆られますが、ここまで脚つきはしていないので、最後の最後で負けるのも許されません。風景と苦痛からの逃避、脚つきへの異常な敗北感だけをパワーに変え、ようやく、終点施設、マツダターンパイク箱根にたどり着きました。
先に到着していた皆が待つ駐車場へ……。到着と同時に倒れこみ、しばし気絶。
みっともない姿をとーるさんらに激写された後、ノロノロと起き上がると…… 絶景を記念撮影していたローディーが1人近づいてきて……
「あの……」
はい?
「へるはうんどさんですか?」
そうですwwwwwww
一番カッコ悪いところで声かけられたwww
無事にオチもついたところで、最高記録・獲得標高2,700mUP達成。課題だらけではありますが、脚つき無しでクリアできたのが不思議なくらいです。
残るは下るだけ。余韻に浸りたいところですが、マゴマゴしていると日が暮れてしまいます。チョコを食べて頭をハッキリさせたら、夕日に照らされた椿ラインを一気に駆け下りましょう。
車通りが少なく、ちょっと路面は荒れているところもありますが、カーブの連続が美しく、噂通りの実に気持ちの良い峠です。いつもは、苦労して積み上げた獲得標高を、一瞬で消費してしまうのがもったいないような気になるものですが、椿ラインはそれよりも「この楽しい下りをもっと楽しみたい」と思わせるものがありました。
思う存分、夕日のダウンヒルを堪能。
完全に日が落ちる前に、無事にゴールの湯河原駅に到着しました。
流石はHAOさん。私の命が燃え尽きる一歩手前のギリギリまで追い込みつつ、箱根の絶景が堪能できる素晴らしいルートでした。
そして、自分の足でその雄大なスケールを初めて体験した箱根。“天下の険”にふさわしい、奥多摩や飯能ではなかなか味わえない"ラスボス感”に満ちており、有名な”七曲り”など、別の道や、より難易度を下げたルートなどにも興味が湧いてきました。
箱根 長尾峠~芦ノ湖~大観山:血の味指数 27
へるはうんど@@HELL_HOUND_No9さ、東京駅で牛肉どまんなかを
2016/01/02 18:54:30
これがキツイライド後には最高なんだよ
え、とーるさん食べたことないの!?
絶対食べなきゃ!
見てこのディスプレイ、美味しそうでしょ!?
売り場はこっちだから
財布の準備はいい?
.
.. https://t.co/PDBrILluq9
書き込みありがとうございます。
脚の自慢をしている風に書いたつもりはなかったのですが、
気分を害されたようでしたらすみません。
自身の脚力アップと同時に
体力や筋力に自信がなくても山は楽しいという事を伝えられるよう
文章的にも精進していきますー。