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(読了後再生推奨/画質は720/60p、1080/60pがオススメです)
ロードバイクのコースには「70%の法則」というのがあります。“一度通ったルートは、たとえそれがキツイものであっても、2度目に通るとツラさが70%になる”というもの。確か、以前suzukiさんに教えてもらった法則です。
例えば都民の森を瀕死で登り切ってトラウマを負ったとしても、2度目に挑むと「あれ? こんなもんだっけ?」と感じるというもの。
これは1回目の登坂がトレーニングになり、筋力がアップし、体重が減った……というわけではなく、コースの長さがどの程度だったのか、ここの斜度がどれくらいキツかったのかといった経験情報を会得した事で、「ここで頑張り過ぎない方がいい」とか、「ここで終わった感じがするけどまだ先が長いから気を抜かないようにしよう」などの心構えができるようになるためです。
簡単に言えば「全体像を把握しているのでペース配分ができるようになる」という事。ハッスルすると砕け散るガラスの脚を持つがゆえ、あらゆる坂を最小のパワーで切り抜け、生きて家に帰るためのパワーを温存しようというインナーロー教団・経典の序文や、標語「ロードバイクはメンタル」とも相通じる考え方です。
その日のライドは、飯能駅をスタート。ローディー御用達のシロクマパンでパンを食べ、白石峠を登り、見晴らしが良いという堂平山に行こう……というものでした。しかし、シロクマパンが臨時休業である事が判明。

と急に言い出した人がいて、いつのまにか私は見覚えのある道に立っていました。そう、かつて終わりのない上り下りに体力をゴッソリ削られ、秩父近郊でギブアップ。正丸トンネルを泣きながら爆走して逃げ帰った奥武蔵グリーンラインが目の前に広がっています。
今回のメンバーは私、ゆっけさん、トミィさん、とーるさんのお馴染みメンバーに加え、Twitterでよく話ているMallowさん、mkさんという女子ローディー2人も参加。
2人とも今年ロードを買ったばかり、それなのにいきなり奥武蔵グリーンラインとか嫌がらせ以外のナニモノでもありませんが、聞けばMallowさんは単独で各地のヒルクラポイントにトランポで遠征して制覇を重ね、mkさんもショップや会社の走行会に参加して経験を重ねているとのこと。それであればなんとかなるかもしれません。
2人とも今年ロードを買ったばかり、それなのにいきなり奥武蔵グリーンラインとか嫌がらせ以外のナニモノでもありませんが、聞けばMallowさんは単独で各地のヒルクラポイントにトランポで遠征して制覇を重ね、mkさんもショップや会社の走行会に参加して経験を重ねているとのこと。それであればなんとかなるかもしれません。
上から目線で書いていると、まるで私が峠で華麗に前を牽くビジュアルが浮かぶかもしれません。けれど、御存知の通り私の登坂スタイルは「静止と見まごう遅さ」。奥武蔵グリーンラインに入った途端、Mallowさん、mkさん、トミィさん、とーるさんは遥か前方に。


最後尾をノロノロと走るのは私とゆっけさんという、あまりにもいつも通りの光景。
「とか言いながら渋峠とかいろんな峠制覇しているんだから貧脚詐欺にきまってる」、「実際には速いはず」、「ガンガン登るにちがいない」とか疑いの目をかけてくる人もいますが、私の遅さを舐めないでいただきたい。トミィさんが真顔で「どうやったらそんなに遅く走れるの? 逆に」と言ってくるほどの脱力登坂は伊達ではありません。
さらに相手はあの奥武蔵グリーンライン。省エネ登坂で体力を温存するに越した事はなく、脚をセーブし過ぎるに越したことはないのです。
10%程度の斜度が続く、序盤の名も無き峠をダラダラとクリア。顔振峠への道へと入り、巨大な天文岩へと向かいます。セーブしまくったノロノロ登坂のおかげか、70%の法則が発揮されているのか、前回よりは余裕があります。

(出典:UR都市機構様)
山の尾根、つまり龍の背骨の上を走るような奥武蔵グリーンライン。
恐ろしいのは、飴と鞭の配分が絶妙である事。10%近いキツ目の坂が続き、「もーそろそろツライわ、やめたいわ」と思い始めたあたりに峠のてっぺんが登場。少しのダウンヒルがあり、やや体力を回復したところに再びのキツイ登り。「も~ダメだ!」と思った頃にまたダウンヒル、また登り、またダウンヒル……が延々と繰り返されます。
恐ろしいのは、飴と鞭の配分が絶妙である事。10%近いキツ目の坂が続き、「もーそろそろツライわ、やめたいわ」と思い始めたあたりに峠のてっぺんが登場。少しのダウンヒルがあり、やや体力を回復したところに再びのキツイ登り。「も~ダメだ!」と思った頃にまたダウンヒル、また登り、またダウンヒル……が延々と繰り返されます。
これが長い長い登りだけであれば、「もうダメだ」と脚をついて休憩したり、リタイアしてUターンすればいいのですが、奥武蔵GLは音を上げそうになる場所に飴(ダウンヒル)が用意されているので、ギブアップ宣言をするタイミングを逃し続け、気がついたら奥地まで張り込み、意識しない内に驚くほど体力を失っている……という事態になりがち。尾根幹の超上位互換バージョンのようなコースなのです。
前回の教訓を活かし、見晴らしの良いポイント、峠の茶屋などで適度に休憩をはさみます。ハンガーノックにならぬよう、補給食を摂取するのも忘れてはいけません。


峠の茶屋では、お蕎麦もしっかり食べて休憩。


峠の茶屋では、お蕎麦もしっかり食べて休憩。










休憩を多めにしているのと、皆でダラダラと喋りながらの登坂スピードが遅い事もあり、昼過ぎになっても奥武蔵グリーンラインのクライマックス、刈場坂峠に到着していません。堂平山は刈場坂峠よりもさらにずっと奥。




のぼってー……

おりてー……

何個も峠を越えてー……




緑のトンネルをひたすら登ったり降りたり。
車や人が少なく、雰囲気は満点。森林浴も満喫できるコースですが、もう少し見晴らしが欲しいというのが正直なところ。



ちょうど移動式カフェが出ていたので、コーラやコーヒーで一服。
Mallowさんとmkさんも、景色を楽しんでくれたようです。
Mallowさんとmkさんも、景色を楽しんでくれたようです。

ここから先、まだまだグリーンラインは続いていますが、時間も無いので離脱。
完全制覇は今回も叶わない事になりますが、別に制覇しなくてもまったく構わない事に気づいたので、大人な思考でのリルート。正丸峠へと向かいます。そういえば、山伏峠はクリアした経験がありますが、正丸峠はキチンと登ったことはありません。
完全制覇は今回も叶わない事になりますが、別に制覇しなくてもまったく構わない事に気づいたので、大人な思考でのリルート。正丸峠へと向かいます。そういえば、山伏峠はクリアした経験がありますが、正丸峠はキチンと登ったことはありません。

残りは正丸峠だけとなると、心に余裕が出て、超省エネ登坂から、少し脚を回そうかなという気になるのが人情。最下位でウロウロしているのも飽きましたし、なによりローディーの先輩として、上には上がいるのだという事を知らしめる必要があります。


少し真面目に頑張るか

そうですね
頑張ると決め、ケイデンスを上げて追走。とはいえ、斜度はそこそこキツイのでさほど速度に変化は出ません。慣れないハッスルで、乳酸が急速に足に蓄積されていくのがわかります。


Mallowさんもmkさんも、挨拶時は「貧脚なので」と謙遜しますが、実際に走るとこの有様。もはやローディーの発する“貧脚”というワードは、「おはようございます」の挨拶と同じくらいの扱いなのでしょう。やはり全ローディーで“貧脚”を正しく自称しているのは、私だけだというのが改めて証明された次第。
ちなみにMallowさんは会った瞬間に「これは登れる人だなぁー」と思いましたが、登坂スタイルを後ろから見ていると、激坂時もクランク回しが軽やかで「やっぱりな」という感じ。単独ヒルクラに慣れているだけあり、補給も頻繁かつ確実で「自己完結していて凄い」(俺&ゆっけ&とーる)と口を揃えていました。
mkさんは上半身に力が入り気味で、かつての私やゆっけさんのような「うんしょうんしょ」という感じですが、逆にヒルクラ初心者ではコレが当たり前。しかしながら、ペース配分が落ち着いていて、スタミナもあるので、キツ目のコースも淡々とクリアしていくクレバーさがあります。1,000mUP程度のライドは問題無くクリアできるようで、すぐに1,500m、2,000mUPと登れるようになりそうです。









(※この後、本当に腰がヤバくなり、現在も治療中※)
遅れていくゆっけさんは放置。マジメモードに移行したとーるさんは一瞬で加速し、視界から消失しました。それを追ってペースアップすると、mkさんの背中が見えました。

GARMINの表示を見ると、正丸峠の残り距離は1km程度。それであれば、少々ハッスルしても最後まで持つかもしれません。
久しぶりに脚に力を入れて、さらに加速。mkさんを抜き、Mallowさんの姿を探します。案の定、かなり先まで先行していましたが、斜度が緩くなるポイントで踏み込んで加速し、なんとか背中に追いつきました。
!!

私が追ってきた事を察知したMallowさんが、さらに加速!!
さすがはヒルクラスキー、まだ余力を隠していたのです。
加速する彼女を見て、心が折れそうになりますが、残りは数百メートルのハズ。さらに頑張って踏み込み、なんとかパス。「追い抜く時は加速の手をゆるめず、相手の心を折るべし」というNHKチャリダーの教えを思い出しながら、とりあえずMallowさんが後方に消えるまで頑張って踏みました。
加速する彼女を見て、心が折れそうになりますが、残りは数百メートルのハズ。さらに頑張って踏み込み、なんとかパス。「追い抜く時は加速の手をゆるめず、相手の心を折るべし」というNHKチャリダーの教えを思い出しながら、とりあえずMallowさんが後方に消えるまで頑張って踏みました。

ようやく峠の茶屋が、その手前にカメラを構えたとーるさんや、トミィさんの姿が。どうやらここが正丸峠のてっぺんのようです。

カメラを構えられているので、「ボトルを手にRaphaっぽくゴールするか……いや、下ハン持ってパンターニっぽくダンシング」などとフィニッシュポーズを考えていると、背後から風が!!
なんと、気を抜いていた私の背後に、猛然と追い上げてきたMallowさんの姿が!! 慌てて踏み込みますが、正丸峠の看板をタッチの差で制覇したのはMallowさんでした。





正丸峠を制覇したら、山伏峠へ移動。そこを下れば、カフェキキさんへとたどり着けます。ただ、正丸峠と山伏峠の間には、少しばかりの登りがあります。次の登りこそ、Mallowさんに負けるわけにはいきません。ここは禁断の技を使うしかないようです。






もう俺、脚終わってるから。一滴も残ってないから




禁断の技、“口先で適当に相手を安心させてぶち抜く”がバレているならば仕方ありません。残りの脚力を全て開方し、加速。女性陣どころか、とーるさんを含めた男性陣も置き去りにして山伏峠のゴールを目指します。

先ほどの教訓を踏まえ、ハンドルのミラーで後方もチラッとチェック。これだけの差がつけば女性陣には勝てそうですが、後方集団から飛び出し、弾丸のように追い上げてくると~るさんが見えるので、脚はゆるめられません。

限界まで回していますが、案の定、山伏峠に到着する手前でとーるさんにぶち抜かれ。越えられない壁を見せつけられました。

山伏峠を下ると、あとはひたすら下り基調の平地。高速巡航で、カフェキキさんへ向かいます。


ここで本領を発揮したのがmkさん。「平地が好き」と言う言葉の通り、とーるさんの背後にツキイチで離れず、そのまま我々をごぼう抜きww あっという間に視界から消えていきました(遠い目)。
平地は苦手というMallowさんを含め、残りの面々は「まあゆっくり行こう」とトレインを組み、30kmちょいで巡航。お腹もすいてきた頃、カフェキキさんで美味しいカレーにありつく事ができました。


自転車談義に花を咲かせつつ、栄養補給も完了。あとは飯能駅へと帰るだけ……のハズでしたが。



この場に至るまでに、すでに私としては十分過ぎるほどハッスルした今回のライド。当然脚は残っていません。苦労坂は、距離は1km程度と短いものの、脚が回らないような激坂にまみれた“瞬殺タイプ”。ボロボロの脚で挑むには相性の悪すぎる敵です。
しかし、皆が挑むというのであれば、行かないわけにもいきません。


以前レポートした通り、ダンシングの勢いでねじ伏せるには距離が長過ぎる相手。省力登坂で蛇行も交えて体力を温存し、本当にキツイ、どうにもならない激坂部分だけ脚を使ってクリアする他ありません。
こんなに脚が終わった状態で挑んだ事はありませんが、逆に言えば、これで脚つき無しでクリアできれば、私の省エネ登坂技術がレベルアップしている証明にもなります。
先行する他メンバーを尻目に、最初から力を一切入れないダラダラ登坂で最後尾を死守。入り口すぐに存在する、直線激坂の恐ろしい風景にmkさんが絶望しているのが後ろからわかります。しかし、心が折れたらそこで負け。「力を抜いて! 先を見ない!」と檄を飛ばします。
冒頭に書いた用に、ロードバイクはメンタルスポーツ。脚よりも先に心が折れると、人は脚をつきます。逆に言えば、激坂を見ても恐怖しない強い心があれば、足つきなしで制覇できる確率はグッと高まるのです。しかし、慣れるためには、激坂に何度も挑む事が必要でもあります。
しばらく耐えて登り続けていたmkさんですが、あえなく脚つき。私も脚が悲鳴をあげており、推進力が足りずにバランスが崩れそうになりますが、体幹でなんとか支えつつ最初のカーブをクリア。
流石に辛そうなMallowさんもパスし、2個目のカーブをクリア。あとはヘアピンカーブを抜け、ゴールのゴルフ場ゲートに向けて進むだけです。
流石に辛そうなMallowさんもパスし、2個目のカーブをクリア。あとはヘアピンカーブを抜け、ゴールのゴルフ場ゲートに向けて進むだけです。

省エネ登坂が神の領域に到達しつつあるためか、終わりそうな脚で挑んだにも関わらず、脚つき無しでクリアできそうです。後は、ゴールでカメラを構えているとーるさんに向かって、どんなポーズでフィニッシュするかという事。






またもや抜き去ったはずのMallowさんがすぐ後方に。慌てて踏もうとしますが、すでに片手にボトルを持っていたので、スプリントすらできず……




苦労坂に沈む夕日と共に、私の敗北にまみれた奥武蔵グリーンライン・リベンジライドが幕を閉じました。
私がグリーンラインを制覇する日は、おそらく永遠に来ないような気もします。それとは別に、白石峠+堂平山には行ってみたいところ。それにしてもやっぱり、女子ローディーの方が根性あるわ……ホントに。
私がグリーンラインを制覇する日は、おそらく永遠に来ないような気もします。それとは別に、白石峠+堂平山には行ってみたいところ。それにしてもやっぱり、女子ローディーの方が根性あるわ……ホントに。

心配していただいてありがとうございます。
私がお礼言うのも変ですがww
治療に専念しつつ大人しくしているみたいなので
きっとすぐに良くなって暮れると思ってますー!(*´∀`)