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このブログでは、ロードバイク初心者の私が走った峠のキツさや、景色の綺麗さをレポしています。それゆえ、「今までで一番キツかった」、「最高に綺麗な景色だった」と言っても、その前には「私が今まで経験した中で」という但し書きが付きます。
もっとキツイ場所、綺麗な場所を知っているベテランローディーが読めば、「まだまだ、もっと凄いところがある」、「これしきの場所で、可愛いこと言ってるな」と感じるかもしれません。
逆に言えば、「次にどこに挑めば、もっと凄い体験ができるのか?」を知るには、彼らに聞いてしまうのが一番手っ取り早いのです。上級者に教えてもらいながら走ると、キツイ場所の走り方、安全運転の仕方、トラブルへの対処など目からウロコの連続ですが、それ以上に「何処に行けば満足度の高いライドができるのか」を教えてもらえるのが何よりの恩恵となります。
1人で街中やサイクリングロードばかりを走って、ロードに乗った気になっていたかつての私に、タイムマシンで戻って「恥ずかしがらずに早く皆と走ってイロイロ教えてもらえ」と言いたいというのが、このブログの裏テーマでもあります。
それはさておき、先輩方に「今までで一番凄かった場所ってどこ?」と聞いてみると、必ずと言っていいほど名前が挙がるのが「乗鞍」、「渋峠」、「美ヶ原」の3カ所。いずれも十傑集のメンバーであり、全部長野じゃんとか、言いたいことはありますが、これだけ名前が出てくるという事は、やはり凄い場所なのでしょう。
それゆえ、同人誌のロングライダースや、コミックの「ろんぐらいだぁす」などを読んでも、これらの場所のレポートは沢山収録されています。以前私が買った、「温泉ヒルクライム」でも、渋峠が細かく紹介されていました。
そんな下地があり、私の中で「乗鞍」や「渋峠」は、いつしか行ってみたい憧れのヒルクラポイントに。
しかし、憧れの地には“行きにくい”という但し書きが付くのもまた事実。しょっちゅう行ける場所なら、そもそも憧れにはならないのです。今回挑んだ渋峠。そのスタート地点である草津の場所を地図で見てみましょう。
遠いww
上の地図では、右下にあるのが草津温泉。左上の「渋峠ホテル」と書いてあるところが、渋峠のてっぺんです。場所は群馬県と長野県のちょうど境目。群馬県側から登りはじめ、てっぺんに到達し、向こう側へ行くと長野県という峠。登り始める場所である草津は、あの温泉で有名な草津です。
この草津、山の中にあり電車が通っていません。最寄りの駅は、山を下った場所にある吾妻線の長野原草津口駅。吾妻線は渋川から出ているので、新幹線などで渋川まで行き、そこから吾妻線で長野原草津口駅まで輪行して、そこから草津へ……という輪行アタックは、理論的には可能です。
しかし、この吾妻線というのがなかなか曲者。ローカル線で本数が少なく、東京の最寄り駅を始発で出たとしても、長野原草津口駅に到達するのが朝の9時や10時になってしまいます。そこから草津まで自転車で登り、渋峠に挑み……とやっていると、すぐに夕方になってしまいます。
帰りは長野原草津口駅から輪行で……となりますが、その電車本数も少なく、東京に帰るのがかなーり遅くなってしまいます。では、草津の温泉にでも一泊してから帰るとか、そもそも前泊して、次の日に登るとかの方が良くない? などと考えていると、なかなか普通の土日にはチャレンジしにくく、連休を待つ事に。しかし、連休だと草津温泉の宿が予約しにくく、価格も高く……などなど。
それでは車にロードを詰め込み、トランポで草津まで行けば……と、これもなかなか大変。理由は単純に、東京から草津が遠い事。関越自動車道を飛ばして、渋川伊香保インターチェンジで降りて、そこから草津まで下の道を走る事になるのですが、これが55kmだかあり、東京からトータルで4時間近くかかります。渋滞などがあれば、5時間、6時間かかる事もあるでしょう。
朝早く、渋峠へのゲートがオープンする8時から(火山性ガスなどの理由でゲートが閉まる)登りたいといった場合、夜中の2時とかに家を出発せねばなりません。いつも帰宅が午前様みたいな仕事をしている手前、金曜日にヘトヘトで帰宅し、寝ないで運転し、朝に草津到着。1時間くらい仮眠して、そのまま渋峠に登り、少し仮眠して運転して帰宅とか、考えただけでキツすぎてゲンナリ……。
そんな難問が立ちふさがった場合、金の力でなんとかするという選択肢をとりつづけている私。シルバーウイークに渋峠にアタックすると決めた瞬間、ネットで草津温泉にアクセス、残りわずかな安宿に滑り込み予約をし、前泊で挑む事を決意。家を前日の午前中にゆっくり出て、午後に草津温泉に到着。温泉にゆっくり入り、疲れを癒やし、グッスリ寝て、翌朝8時から登り始めようというプランを立てました。
つきあってくれるのは、お馴染みのと~るさん、アキアさんの2人。この2人は車好きでもあり、たまーーにしか運転しない私と違い、長時間の運転もへっちゃら。前泊する私とは違い、前日まで仕事をして、深夜にドライブ。朝に草津で私と合流し、渋峠ヒルクラして、そのまま泊まらずに運転して帰る……という強行軍もなんのその。若いっていいわー。
そんなこんなで前日。慣れないトランポに挑戦。私の愛車(デミオ)の後部座席に、ビニールシートを敷き、そこに両輪を外したフレームを逆さに設置。100円ショップで買ったゴムバンドを使い、フレームが倒れないようヘッドレストと固定してみました。
後部座席を倒せばいいのでは? と思われるかもしれませんが、デミオのような小さな車の場合、後部座席を倒しても、前後輪を外さないとフレームが入りません。変に後部座席を倒してフラットにすると、このフレームを固定するのが面倒に……。であるならば、後部座席を立たせたまま、それを活用してフレームを固定すればいいという考えです。
このやり方だと、後部のシート上にフレーム1つ、後部座席の脚の空間にもう1台のフレームを配置すれば、2台のロードが無理なく、安定して置けそうです。ホイールは後部などに適当に……。ちなみにこのアイデア、ネット上で誰かの実践写真を見て知りました。デミオ以外も、コンパクトカーでロードを積みたい人は、この方式の方が楽だと思います。
なにこの人の家感
温泉宿というより部活の合宿所ww
とはいえ、数万円が当たり前、しかも空き室すらないシルバーウイークの草津で文句は言っていられません。寝られればいんです、寝られれば。
温泉宿にはたいてい、立派な大浴場が用意されているものですが、“温泉ツウ”は街中にある、地元の人が愛用している共同温泉に入るのだとか。しかし、共同浴場は日によって温度が異なり、しかもかなり“熱め”。暑さに弱い人は、肩までつかれない事もあるのだとか。
大滝乃湯はそんな“熱いお湯”に慣れるために、「合わせ湯」というユニークな施設が用意されているとのこと。温度の異なる複数の湯船が用意されたもので、順番に入っていけば、熱いお湯にもつかれるようになるという仕組み。街中の共同浴場に挑む前に、まずここで練習をしようというわけです。
さっそく木目麗しい、雰囲気満点の合わせ湯へ。温度に慣れるといっても、ぬる過ぎるお湯に入る意味もないので、かけ湯をしながら手をつっこんで、「このへんからスタートしようかな」と吟味。「もうちょい熱くてもいいかな」、「お、これは気持ち良い温度だ」という湯船にザブンとつかり、「ふぁー、草津最高!」とひとごこち。
しかし、まわりを見回すと、この湯船が合わせ湯ゾーンのど真ん中。「……もしや」と、周囲の湯に手をつっこんでみると、私が浸かっている湯船が一番高温wwwwwww 合わせ湯の意味なかったwww
ほかの人を観察していても、私の使ってる湯に脚を入れ、しばらくして「熱過ぎてコレは無理だw」と他の湯船に行ってしまう人が何人も……。江戸っ子ではありますが、それほど熱い湯が好きだという自覚もなく人生を送ってきた手前、軽いショックを受けました。やはりデブは脂肪バリアが強固なので温度に鈍感だという事なのでしょう。
「共同浴場も大丈夫っぽい」という謎の自信を持った私は、共同浴場を求めて温泉街をウロウロ……まずは“白旗の湯”に入ってみました。共同浴場は地元の方々が共同で管理・利用しているもので、“観光客も入ってもいいよ”というスタンスなので、先に入っている地元のおっちゃん達に「こんにちわー、お邪魔します」と挨拶しつつ潜入。
見回すと洗い場などは何もなく、2つの湯船があるだけ。本当に“温泉に浸かるだけ”の場所ですが、草津の温泉はどこも酸性度が強く、皮膚の雑菌を瞬殺するため、石鹸は不要なんだとか。
かけ湯をしつつ、どっちの湯に入ろうかと考えていると、おっちゃん、おじちゃん達がニヤニヤしながら「おー、兄ちゃん、初めてならこっちがヌルいから」と右側の湯船を指さします。もはやダチョウ倶楽部並のお約束臭がプンプンで、どう考えてもそっちの湯が熱いにきまってます。
ただまあこのテンションならば、付き合わないのは逆に野暮というもの。「んなこと言ってー、絶対こっちの方が熱そうじゃないですか。ほんとにヌルいんですか?」と言いながら、脚を入れて「あつっ!!!」とリアクションし、おっちゃん一笑い。しかし、お約束を抜きにしてもマジで熱いです。先程の大滝乃湯・合わせ湯より遥かに高温。酸性だというのもあるのでしょうが、脚の皮膚がジンジンと痺れてくるほど。
ただ、我慢すれば肩までつかれます。「おー、立派立派」とおっちゃん達も褒めてくれ、「湯もみしてやるよ」と手でお湯をかき回すサービス。中の湯が対流すると、さらに熱く感じて顔をしかめますが、飛び上がって逃げ出す一歩手前で大丈夫という感じ。
ちょうど私と同じような観光客のお兄さんも入ってきましたが、この人は体脂肪率10%を切っていそうなスリムな体。「たぶんヤバイんじゃないかな……」と思っていましたが、案の定、私の湯に脚を入れただけで飛び上がっていました。結局、ヌルい方の湯に腰までつかるのでも精一杯な様子で、恐らくこれが普通のリアクションなのだと思われます。
にしても、地元のおっちゃん達はすこぶる元気で、しばらく湯船の外で涼んだあと、ザブンと熱い方に浸かり、「っかー!! ケツの皮がむけそうだぜ!!」、「背中が焼けただれそうだ!!」とか叫んでガッハッハ。そういえば昔、家の周りに銭湯が沢山あった頃は、こんなおっちゃん達と風呂に入ってたなぁなんて、遠い記憶にも浸かっていました。
その後も共同温泉を何個かハシゴ……
夜の草津を堪能しました。
~翌朝~
道の駅「草津運動茶屋公園」で、とーるさんアキアさんと合流。さっそく渋峠に挑みます。
渋峠の坂ペックは、頂上が標高2,172mで、日本の国道最高所。以前挑んでコテンパンにされた大弛峠は、国道ではなく、自動車が通行できる日本最高所の車道峠で2,360m。あれよりは低いですが、十傑集に名を連ねる2,000mオーバーのモンスター峠に違いはありません。
ただ、大弛峠と大きく違うのはスタート地点。私がいる草津は、既に標高1,000mオーバー。そこから登るので、2,172mと言えど、上昇は1,000mちょっと。しかも横移動距離は約20kmとたっぷり目。平均社ドは6.8%とちょい高めですが、“都民の森や風張峠が登れる人ならなんとかなる”と言われています。
草津からいよいよ登坂開始。最初は緑のトンネルを進んでいきます。斜度は5~6%、楽勝ではありませんが、キツイというほどでもなく、いつものマイペースで進んでいきます。道は広く、路面は非常に綺麗。8時のゲートオープンに合わせて登っているので、他の車もまだ少なめです。
数キロ進んだところで、と~るさんとアキアさんが脚を止めています。何かと近づいてみると、その場所で緑のトンネルが途切れ、草原のような山肌が目に飛び込んできました。そう、標高が上がり、森林限界(木が生育できなくなる限界高度)を超えたのです。「いよいよ渋峠の本番区間か」と、テンションが上がってきました。
次に現れたのは地獄谷のような風景。「殺生河原」(せっしょうがはら)という、西尾維新のキャラみたいな名前のゾーン。硫化水素ガスがかなりの濃度で噴出しており、長時間留まるのは禁止というゾーン。
さぞや硫黄臭く、凄まじいゾーンなのだろうと進んでいきますが、特に何の匂いもしません。
いやー空気が美味しい
この空気を袋に入れて持って帰りたい
と叫びながら進んでいると、一気に強烈な硫黄の匂いが。どうやら風向きで、入り口にはあまりガスが無かった模様。
くさっ!!
みなさんさようなら! さようなら!!
と、炭鉱のカナリアごっこをしばし堪能しました。
……そこから先の光景に、もはや言葉は不要。写真と動画が全てを物語ります。
高い木が無いおかげで、起伏に飛んだ山の形状が遥か遠くまで見通せます。荒涼とした景色ではなく、高山植物が咲き乱れ、生命の息吹を感じる緑の絨毯。青空には雲ひとつなく、まさに高原、本場アルプスの地に迷い込んだような絶景が広がります。
かつて、大弛峠のてっぺんにある「夢の庭園」で絶景に圧倒されましたが、渋峠はあれを超える絶景の中に、1本の道がスッと伸び、その上をゆっくりと走れるという贅沢具合。首を動かせば、これから進む道も、進んできた道も、全てが見通せます。
見通しの良さは、地平線の先の細かな山脈まで視認できるほど。丸い地球の上に出来たヒダのようなデコボコが山で、その山を引っ掻いてアスファルトを敷き詰めたのが道路で、その上を輪っかに乗った自分が進んでいる。「お前はこんな世界で生きているんだ」という、普段は忘れていた、当たり前の事を渋峠が教えてくれているようです。
斜度は5~7%程度でしょうか。激坂と呼べる区間は無く、絶景過ぎる場所で立ち止まって撮影を頻繁にしているので、「キツすぎる」という感覚はありません。脚にはそれなりに疲れがたまっていますが、目に入る風景が凄すぎて、「もっと先に進みたい」、「もっと上から見てみたい」という欲求が疲労を凌駕します。
このブログでも「景色のご褒美があるから頑張れる」という言葉を、何度も使ってきました。そのご褒美効果は理解しているつもりでしたが、ご褒美が凄まじ過ぎると、「ヒルクラの辛さなんてどうでもいい」、「むしろこの上り坂が終わらなくても構わない」という異次元の心境に至る事を、この時初めて知りました。
休憩が自動的に多くなるため、恐らく都民の森を休み休みでなんとか登りきれる人であれば、この峠は制覇できます。逆に言えば、そのくらいの脚力が備わったヒルクラ初心者は、渋峠を目指すべき。低い山ではわずかに感じるだけだった「ヒルクラの楽しさ」を、一週間煮詰めて、ドロドロのシロップ状にして、それをさらに粉になるまで空焼きして錠剤にして口いっぱいに頬張ったような濃厚体験が味わえます。
なんかこれ、CGなんじゃねえの?
というのが道中の感想。あまり現実として受け入れられない絶景ぶりです。
ここから少し進んだところにあるのが、「ろんぐらいだぁす」でもお馴染み渋峠ホテル。群馬と長野の境目が、建物まで貫通しているというユニークなホテルです。
玄関には、このホテルのアイドル、インディ君の姿が。ふわふわもふもふな大型犬で、ありえないほど人懐っこく、私のようなおっさんでも、近づくと別け隔てなくもふってくれます。ただ、私本体より、背中からモコッと出ているウインドブレーカーにご執心のよう。ヒラヒラ、フワフワしたものにむしゃぶりついてくるようですので、女の人は注意した方がいいかもしれません。
ひとしきりインディ君をなでくり回したあとは、渋峠ホテルでまったりお昼ご飯。ホテルというより、大きな山小屋という感じすが、それが逆に新鮮。山小屋と言えばカレーでしょう。期待に違わぬオーソドックスな味ですが、それがこの場所にとてもマッチしていました。ちなみにこの渋峠ホテルに宿泊すると、夜は満天の星空が楽しめるそうで……いつか泊まってみたいものです。
渋峠制覇という意味では、今回のライドの目的はここで達成。しかし、獲得標高は1,000mちょいで、まだヘトヘトと言うほどではありません。今回の旅の第二目標、“毛無峠”に向かう事にしましょう。
“毛無峠”、なんとも妙な名前の峠。日本人でこの名を知っている人はあまりいないでしょう。しかし、この峠の写真は恐らくかなりの数の人が見たことがあるハズです。
これですコレ、群馬県の田舎っぷりをギャグ的に表現した、いわゆる「グンマー」系の写真、その中でも代表的な一枚が撮影されたのが毛無峠なのです。
撮影好きローディーの端くれとして、グンマー写真を撮り逃すわけにはいきません。渋峠を少しだけ下り、分岐点を万座プリンスホテル方面へ。
見事なつづら折れのカーブを下り、万座プリンスホテルの前へ……。このホテルの脇が、毛無峠への入り口だそうです。
見事なつづら折れのカーブを下り、万座プリンスホテルの前へ……。このホテルの脇が、毛無峠への入り口だそうです。
比較的斜度が緩めな渋峠で油断していましたが、プリンスホテル前の坂はかなりの斜度。15%はあろうという強烈なワインディングに悶絶しながら毛無峠への玄関をくぐると、7~9%程度の斜度が続きます。渋峠よりややキツ目。疲れが出始めた体に、このヒルクライムはかなりこたえます。
しかも景色は緑のトンネルばかりで、渋峠のような眺望は無し。「なんでこんなことやってんだ」、「グンマー写真なんてどうでもいい」という、いつものヒルクラ中のネガティブ思考が頭をもたげはじめます。渋峠から400mか500mくらいは下ってしまったので、毛無峠(標高1,900mくらい)までまた登り直さねばならないのです。
それでも我慢しながら進んでいくと、徐々に木々が減り、やがて渋峠の景色を世紀末っぽくした絶景が目に飛び込んできます。赤い土や、岩肌が多めで、まるでアメリカ大陸の砂漠付近をヒルクライムしているかのよう。渋峠の緑に満ちた世界も美しかったですが、この世紀末的絶景も一見の価値があります。
とーるさん達と「Raphaっぽい、Raphaっぽい」と撮影しながら進んでいくと、舗装路が終わり、砂利道に。どうやら毛無峠の最終地点にたどり着いたようです。ここから、写真が撮影された看板までは歩いてすぐ。自転車を降りて砂利道を進むと、ネットで見慣れたあの光景が広がっていました。
あー、とーるさんもうちょい右に立って、左を向いて腕をのばして。アキアさんはその隣に片膝ついてしゃがんで、そう。もーちょい近寄って……
え? このポーズに何か意味はあるの?
いいからいいから。あーいいよー、もーちょい厳しい表情で。いいわー、はい、OK。
ちょwwwwwww
東京ではお目にかかれない絶景を、網膜と撮像素子にぞんぶんに焼き付け……名残惜しいですが別れの時が来ました。ヒーヒー言いながら400mほど登り直し、渋峠のダウンヒルルートに復帰。そこから草津まで、再び天国のような絶景の中を下ります。
時間にすると40分程度でしょうか? しかし、永遠にも思えるような悦楽のダウンヒル。坂道を下っているというよりも、自分が雲の世界で、横に滑り続けているような、なんともいえない感覚。ちょっとジャンプしたら、そのまま飛んでいけそうな気がする、間違いなく今までのライドで最高のダウンヒルを味わいました。
興奮さめやらぬまま、スタート地点の道の駅に帰還。温泉でひとっ風呂あびたいところですが、今風呂に入ると、疲労で本格的に寝てしまいそうなのでグッと我慢。体を拭くシートでサッパリした後は、興奮で脳がハッキリしている間に渋川伊香保インターチェンジまで行こうと、午後4時頃にドライブ開始。
その後、パーキングエリアで休憩をはさみつつ、短い渋滞にも巻き込まれましたが、夜の9時頃に無事家につきました。
「一年に一度は走りたい」と言ってた人がいましたが、完全に同意。遠いのが玉にキズなので、輪行の際は宿泊を交えるか、長野側に下って長野から新幹線で帰る……なんてのも良いかもしれません。交通費その他を考えると、多人数で大きなレンタカー(ハイエース)でも借りて、交代で運転しながらトランポで行くのが理想的でしょう。
それにしても、これだけのドピーカン、雲一つない青空の渋峠を走れるのは非常に稀な事なんだとか。何回も挑んで、ようやく良い天気に走れるというローディーが多い中、思いつきで行って晴天に恵まれるというのは運が良かったの一言。それだけに、絶景の衝撃具合はただならぬものがありました。
逆に言えば、入念に準備をして、ずっと前から企画しても、雨に降られたり、雲だらけで景色が見えなかったり……そんな挑戦になる事もあるでしょう。さらに当然ではありますが、このあたりは冬期は閉鎖されて登れなくなります。
チャレンジのしにくさ、挑む者に金銭的な面も含めて心構えを強いる気高さ、“絶景に会えるかどうかわからない”という運も含め、やすやすと攻略はさせないという十傑集らしい総合的な難易度。しかし、それを乗り越えてなお、「ロードバイクにまたがったのなら絶対にあの道を走ってほしい、いや、走るべきだ」と声を大にして言いたくなる、そんな別世界でした。
血の味指数 渋峠:18
血の味指数 渋峠+毛無峠:24
それにしても、これだけのドピーカン、雲一つない青空の渋峠を走れるのは非常に稀な事なんだとか。何回も挑んで、ようやく良い天気に走れるというローディーが多い中、思いつきで行って晴天に恵まれるというのは運が良かったの一言。それだけに、絶景の衝撃具合はただならぬものがありました。
逆に言えば、入念に準備をして、ずっと前から企画しても、雨に降られたり、雲だらけで景色が見えなかったり……そんな挑戦になる事もあるでしょう。さらに当然ではありますが、このあたりは冬期は閉鎖されて登れなくなります。
チャレンジのしにくさ、挑む者に金銭的な面も含めて心構えを強いる気高さ、“絶景に会えるかどうかわからない”という運も含め、やすやすと攻略はさせないという十傑集らしい総合的な難易度。しかし、それを乗り越えてなお、「ロードバイクにまたがったのなら絶対にあの道を走ってほしい、いや、走るべきだ」と声を大にして言いたくなる、そんな別世界でした。
血の味指数 渋峠:18
血の味指数 渋峠+毛無峠:24