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 ロードバイクで「◯◯に行った」というライドレポート。掲載すると、嬉しい事に読者の方から感想コメントがもらえます。内容は当然、レポートについてがメインですが、たまに“ボトルが前と変わってる”とか鋭いコメントも。中でも多いのが、“サイクルコンピューターがいつのまにかガーミンになっている”というご指摘です。

 ご存知の通り(?)「しおいんですけど」は、スマホをサイクルコンピューターとして利用しちゃおうよ派だったはずです。これまでも、アプリの紹介や、Bluetoothでスマホと連携できるスピード/ケイデンス/心拍センサーの購入記、スマホのバッテリ供給テクニックなどを、沢山記事として書いてきました。

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 つまり“専用サイコン否定派”、“スマホ活用推進派”を自認していたわけです。にも関わらず、シレッとガーミンを買いやがり、それをキチッと報告しないま現在に至っていたのです。ふてえ野郎だ。

  • なぜガーミンを買ったのか
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 理由は一言で言うと、勢いです。

 話は3月に挑戦した「奥武蔵グリーンライン」ライドまで遡ります。このライド、実はスタートする前に、Bluetoothのスピード/ケイデンスセンサーが無反応になりました。「電池が切れたのかな?」と、新しいボタン電池を入れようとしたのですが、なかなか電池蓋が開かず……。モゾモゾやっていたら、センサー自体の取り付けゴムベルト&バンドが緩んでしまいました。

 皆を待たせるのも悪いし、なんかもう面倒になってきたので「今日はセンサー無しでいいわ」と、センサー自体を取り外してポケットに。その日はスマホのGPSセンサーだけを使ってログをとり、帰宅しました。
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 帰宅後、電池を入れ替えてもう一度自転車にセンサーを取り付ければ済むだけの話ですが、何故かその時、凄まじく「同じセンサーをもう一度着けたくない。もうBluetoothセンサーとかスマホ記録とか面倒だわ」と思ったのです。

 今振り返ってみると、スマホのバッテリを頻繁に気にしたり、各種情報だけを表示するストラーダスマートにバックライトが無かったり、たまにBluetoothセンサーがスマホに認識されない事があったり……というような、蓄積された細かなイライラと不満が一気に爆発したのだと思います。

 そして、速効でGARMINのサイコン「Edge510J」をポチりました。

  • なぜEdge510Jにしたのか

 この記事を興味深く読んでいる人がいたとしたら、恐らく「GARMIN欲しいけど、どの機種を買おうか」と悩んでいる人だと思います。悩んでいる機種は恐らく「Edge1000J」、「Edge810J」、「Edge510J」の3つでしょう。

 超ざっくりですが、3機種の大事な機能を抜粋して比較すると以下のようになります。

モデル名  Edge1000J   Edge810J   Edge510J 
価格 83,000円 59,800円 49,800円
サイズ スマホかw ややデカイ ふつう
稼働時間 約15時間 約17時間 約20時間
高感度GPS
みちびき
GLONASS
地図表示
ナビ
(線表示のみ)
Bluetooth

 「みちびき」とか「GLONASS」って何だよという話ですが、これらはユーザーの位置を把握するGPS衛星(衛星測位システム)の事です。要するに「いろんなGPS衛星に対応してるから、自分の位置を把握する能力が高いんだゾ」という話。この項目だけを比べるのであれば1000Jと、510Jが良さそうです。

 次に気になるのが「地図表示」と「ナビ」。1000Jや810Jは、要するにカーナビみたいな機能が内蔵されていて、画面に地図が表示され、行きたい場所を指定するとそこまでのルートを引いて案内してくれます。使っているユーザーに聞いてみると、「(クルマのナビと比較すると)引いてくれるルートの頭が悪過ぎる」という不満をよく耳にしますが、まあヘンテコなルートを案内されても、いつかは目的地に着く安心感があります。

 最も気になるのは510Jです。地図表示はできません。しかし、ナビに「線表示のみ」と書いてあります。線表示でも目的地に行ければ、値段も安いので、コレで良さそうな気がします。つーか線表示ってなんだよ。

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 510Jには「コース」という概念があります。トレーニングコースとかの“コース”です。例えば、自分の家からスタートして、近所をぐるっと一周回るというコースを作り、それに沿って走る……という感じ。

 コースの作り方は2つあります。1つは、ネット上にあるコースデータをダウンロードし、510Jに転送する機能。例えば、ルートラボに公開されている誰かのコースや、自分で引いたコースのデータを、GPXファイル形式でダウンロード。それをPCを介して、USB接続した510Jの「NewFiles」フォルダに転送すると、510Jで「コース」として使えるようになります。

 もう1つは、GARMINが提供している「Garmin Connect」というサービスを利用する方法。走ったログデータをGarmin Connectにアップロードして、後で振り返ったりできるサービスですが、そのサービスの中に「コースを作る」機能があり、ルートラボと同様にPCでルートを作成。PCに510Jを繋ぐと、そのコースが転送され、コースとして使えるようになります。

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 しかし、前述のように510Jに地図を表示する機能はありません。つまり、「一周コース」を510Jのディスプレイに表示すると、上写真のように”コースの線”だけが寂しく表示されるわけです。走り始めると、線の上を三角形が移動していきます。三角形が自分の位置。つまり「あらかじめ作ったコースの上を、しっかり走っている事がわかる」というわけです。

 一般的なカーナビを想像してると、510Jの機能はまるで違います。「次のガソリンスタンドを右」とか言ってくれませんし、そもそも地図すら表示されていません。もっと言えば、ライドの途中で「周囲に駅はないかな?」と検索したり、「駅があったから、そこに寄ってみよう」目的地を変更する事もできません。出発前に作成したルートの線がひたすら表示されるだけなのです。

 使えねえwww と思いますが、実際に走ってみるとなかなかどうして、これで十分だと感じる事が多いのです。それこそが、私が510Jをあえて選んだ理由でもあります。

  • 迷子にならなければそれでいい

 この簡素極まる「ルート線表示」。実際のライドでどう見えるかというと、以下の様な感じです。

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 ライン上にある三角マークが、自分の位置。これから先に進む道路が、大きく左にカーブして、その次に右へのヘアピンカーブがあるのがわかります。実際に視線を前に戻してみると……

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 確かに左に曲がってます。

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 ゆるやかに右に曲がりつつ、その先が左に曲がっているこの道路の場合は……

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 こんな風に表示されます。確かに、右に曲がりつつ、次に左にカーブしていますね。

 下写真の「ちとせ屋」のように、たまにラインドマークも表示されますが(セグメントの関係?)、基本は線のみ。味も素っ気もありませんが、「この道路を右に行けばいいのか、左にいけばいいのか」という一番大切な情報は把握できます。

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 もしGARMINのディスプレイを見ていなくて、違う道を曲がってしまったとします。すると、画面に「オフコース」というメッセージが出て、「ビーッ」と警告音が鳴ります。

 このように、“曲がり角をどっちに行けばいいか”、“予定していたルートに沿って走っているか”という、最も基本的で、最も大切な部分は510Jでも把握できます。簡単に言えば“予定通りに走っていて、迷子になっていない”という安心感が得られるわけです。

 それでも迷子になってしまったらどうでしょうか? 510Jには味気ない線しか写っていませんが、来た道を引き返す事や、目的地がどちらの方向にあるのかは把握できます。ただ、ナビはしてくれないので不安は残ります。

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 (ルートを外れて走ってしまったけれど、そのまま進んで再びルートに戻るとこのような表示になる)

 私の場合、「迷子になったらスマホを取り出す」と決めています。スマホには優秀な地図アプリや、ナビソフトが沢山揃っています。要するに「困ったらスマホがあるからそれに任せればいい。超基本的な“コースに沿って走れているか”がわかりさえすれば良いのなら、510Jで十分」という考えで、510Jを選んだわけです。その結果、非常に満足しています。
  • 510Jがマッチする人、しない人
 510Jのルート表示を、簡易地図/ナビ代わりに使うというテクニック。しかしコレ、人を選びます。510Jが合わないだろうなぁという人を以下に列挙します。

  1. いちいち前日にルートを作成したり、転送するのが面倒な人
    (ルートが無ければ、単なるスピードやケイデンスなどを表示する箱。もっと低機能なサイコンでも良いかもしれません)

  2. 行き先やコースをカッチリ決めないポタリングメインな人
    (走り出した後でのコース変更ができない以上、ポタリングには向いていません)

  3. 都市部ばかりを走るという人
    (分岐点の少ない田舎の道路では“どこを右に曲がるか”というのが、線のみの表示でもわかります。しかし、都内のゴチャゴチャした小道が入り乱れるような場所では、線ルートのみだとわけがわからなくなる可能性が大。逆に「行き先はサイクリングロードやクルマの少ない田舎方向がメイン」、「ヒルクラやるから都会はあまり行かない」という人は510Jでも大丈夫でしょう)

  • 地図が苦手、ライドをより前のめりに楽しみたい人は510Jを

 結論逆じゃね? と思われるかもしれませんが、理由があります。私がいつものライド前にしている“下準備”を紹介しながら説明します。



 例えば、誰かが引いてくれたルートを翌日走るとします。そのルートは、ルートラボに登録されています。ルートデータをGPX形式でダウンロードし、PCを使って510Jに転送……すればいい話ですが、私はあえてそれをしていません。

 何をしているかというと、ルートラボのルートを横目で見ながら、Garmin Connectのページにアクセス。そのルート作成機能を使って、ルートラボのコースをマウスを使って、手動で引き直しています。

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 何その無駄な作業と思われるかもしれませんが、理由があります。それは“コースを予習し、理解が深まる”という事。

 例えば、「輪行で駅からスタートし、山を2つ越えて、また駅に戻ってくる」という誰かが作ってくれたルートを走るとします。ルートのGPXデータをドラッグ&ドロップしてサイコンに転送した場合、「だいたいどこらへんを走るか」はわかるかもしれませんが、細かい道順を把握しないまま、実際の走行を迎える事になるでしょう。

 自分の手でルートを引き直すと、自然に“全ての曲がるポイント”に一度目を通す事になります。「えーと、駅を出たらまず左折」とか「まっすぐ進んで、小学校の横にある信号を右に行くのか」というような情報を、ルートラボの地図を横目に見ながら、自分で理解して引き直していくからです。こうする事で、実際のライドでいきなり駅を出て、真逆の方向に走りだしたりする事がなくなります。

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 同時に、地図を見ながら引き直しているので、ルート以外の情報が目に入ります。「この曲がり角の近くに○○の滝って書いてあるけど、こんなところに滝があるのか」とか、「○○彫刻公園って書いてあるけど、彫刻が並んだ公園なのか?」など。気になるとつい検索してしまうので、道中にどんな見どころがあるのか、自然に予習ができます。

 食事できそうなポイント、トイレがありそうな道の駅、どこからキツイ峠が始まるのか、そうした事を理解しながらルートを引き直す事で、他人が考えてくれたコースが、自分のものになっていきます。それは、翌日のライドを主体的に楽しむ姿勢にも繋がると考えているわけです。
 
 “方向音痴”、“地図が苦手”という人も、一手間かかりますが、これをやる事で、迷子になりにくくなるかもしれません。逆方向に走りだしたり、登場するはずの曲がり角の目印がぜんぜん出てこなかったり……道を間違えた時に、「あれ? なんかおかしいぞ?」と気づきやすくなるハズです。繰り返していけば、きっと“地図が苦手”という意識も消えるハズ。それでも迷ってしまったら、スマホを取り出せばいいのです。コースを外れて迷っているか否かは、GARMINがブザーで教えてくれますので大事には至りません。

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 なお、Garmin Connectで作成したルートは、スマホアプリの「Garmin Connect」から表示することも可能です。510JとスマホはBluetoothで接続できるため、アプリから「このルートを510Jに転送する」ボタンを押せば、510JをPCとUSB接続しなくても、ワイヤレスでルート転送が可能です。

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 (PCでルートを書き写した後、スマホのアプリからルートを呼び出したところ)

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 (Bluetooth経由でコースデータをEdge 510Jに転送)

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 (ワイヤレスでPCとサイコンのコースデータが同期できた)

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 こうした作業をやってから就寝する事にしています。また、翌日ルートを走り終わったら、510JのログデータはBluetooth経由でスマホに渡され、スマホからネット上のGarmin Connectにアップロードされる……という流れになります。

 以上を踏まえ、510Jの私的な結論は以下のとおり。
  • 低価格モデルで地図やナビが無いけど、ルート機能で迷子にはなりにくい
  • 都会をポタリングにはまったく向かない
  • 適度に不親切なので地図が苦手な人の訓練になる(気がする)
  • お金がある人は1000J買ってください


 一番大切な、「スマホアプリ派だった俺が、510Jを買ってみたらどうだったのか?」という点ですが

 ハイパー買って良かったです。

 良かった点は

  • Bluetoothの各種センサーが無駄になるなぁと思ってたけど、510JにはANT+の各種センサーが最初からセットになってるので、まあ無駄になっても別に気にしなきゃ関係なかった。

  • 1日のライドで電池がカラになる事はほぼないので、スマホも含めてバッテリ残量気にしなくて良くなって精神的に超楽

  • 夜間、バックライトで情報が確認できるので超便利

  • コンビニやレストランに駐車した際、スマホ+ケーブル+モバイルバッテリという一式を自転車からうんしょと取り外す面倒からの開放。GARMINのサイコンはクルッと横に回すだけで、とにかく外しやすい

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  • 斜度がわかりやすい

  • 高低差グラフ表示がヒルクラ時に便利

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     (地獄の上り坂があとどのくらいで終わるのかがなんとなくわかります)

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     (なんという恐ろしげな表示だ……)

  • 他のローディーと同じように、停止時や発進時に「ビビッ」、「ビボッ」みたいなビープ音がし「俺なんか超ローディーっぽい」とニヤニヤできる。ビンディングを導入した時に、クリートをはめる「パチッ」「カチッ」って音を自分で聞いて「うはー、俺ローディーになったぜ!!」とニヤニヤした人はGARMINも買ったほうが良いです
 ……以上。

 追伸:次期モデルでは、斜度がアップすると自動的に水橋かおりの声で励ましてくれるか、斎藤千和の声で罵ってくれる機能をおながいします>GARMIN様

 ちなみに地図データをPCでちょちょっといじって、510Jの特定フォルダに転送すると、ライン表示の下に、地図の画像を重ねて表示できました。しかし、メモリが少なすぎ&プロセッサのパワーが貧弱過ぎて、ハングアップの嵐。地図データを極限までスリムにして、特定地域限定にすればなんとかなるかもしれませんが、「あんま実用的ではないな」というのが個人的な感想です。

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