
(※まとめ動画は時間がとれたら掲載するかもしれません)
生まれて初めての本格的なヒルクライムは「都民の森」。難易度が初心者向けかどうかも知らないまま、たった1人で挑んでコテンパンに。それがトラウマになり、一時は坂から逃げまわって、200kmも走った事がないのに「ロングライド派」を気取り、サイクリングロードばかりを走ってお茶を濁していました。
その後、へまさんに「田舎っぽい景色の良いコースがあるよ」と言われて裏尾根幹や城山湖に連れていかれ、行ってみたら坂だらけ。「話が違う」と泣き叫びながらも、これらをなんとか試行錯誤でクリア。
こうした、へまさん特有の“ソフトな感じでキルゾーン”な坂練習、初期はゆっこさんも巻き込まれていましたが、その後、知らない間に“俺とゆっけさんがへまさんの地獄ツアーに参加する”という図式が構築。
その後も様々な坂に挑んだ結果、激遅登坂&スタミナ切れで帰路は輪行逃亡のクセに、「獲得標高2,000mなら、休みながら行けば脚付きなしでイケるよ」などと小生意気な事を言うアホが爆誕。今に至るのはご承知の通りです。
とどのつまり、“登れる先生に、出来の悪い生徒が泣きながらついていく”、“こんな坂があるなんて聞いていない”と叫ぶパターン。貧脚代表の私が、過酷な目に遭うという巻き込まれ構図の物語と言いかえる事ができます。

しかし、今日は様子が違います。


おかしい……俺の写真に、誰の背中も写っていない。“ロードバイクで出かけているよ”という写真ではなく、単なる道路の写真だ……これはどういうことだ?
先行グループにちぎられたのではありません。今回のライドはなんと!! 私が先頭で牽いているのです。
こんな光景は、恐らく今後2万年はお目にかかれません。そんなスミソニアンレベルの超貴重なライドに参加しているのは、まっつーさん、Deroさん、と~るさん、トミィさん、えりかさん、そしてお初のあきあきさん。女性メンバーが3人という、なんとも華やかなライドです。
事の起こりはしばらく前、「坂も登らなきゃねぇ」と言っていたゆっこさん、まっつーさんが、少しでも楽に登坂できるよう、乙女ギアと軽いホイール導入を計画。優しいDeroさんが余ったホイールを貸してくれる事になり、スプロケはsuzukiさんが余ったものを提供。ついでにDeroさんがスプロケやチェーンの交換もしてくれるという話に。







「さすがDeroさん、手際いいわー」と眺めていると、またたくまに、まっつーさん、ゆっこさんの自転車アップグレードが完了しました。

なんて高カロリーなお礼だwwwwwww 武蔵境BCから自走で行けて、それほどキツくないヒルクラコースと言えば、大垂水峠や入山峠など。しかし、既に登ったことがあるメンバーが多いので、なかなか行き先が難しい。
けれど、今回のライド。へまさんもゆっけさんも仕事で不参加。道案内できるのは、このコースを何度か走った事のある私だけ。というわけで、私が前を牽いているわけです。
ああ……前を牽くって難しい。信号のタイミングとか、後続がどうなっているかの把握とか……いろいろ考える事があって何が何やら。どう? Deroさん、俺の牽っぷりは。
んー、今日のメンバーだとちょっと速すぎるかな。65点。
ええええええええええ!!
へるさん、最初に25km巡航だからねって言ったのに30km出てる!!
ちっ……25kmから28km、29kmとコッソリ盛っていたのバレてたか。まっつーさん、平地速いから大丈夫じゃん
これから坂があるの!!
すいません
とかなんとかやりつつ、矢野口から尾根幹にエントリー。えりかさんは、いろいろなブログに頻繁に登場するこの“尾根幹”を前から走ってみたかったとのこと。ウエルカム坂からスタートし、幾つかのアップダウンを経て、いよいよバーミヤン坂へ。
ハルヒルコースを脚つき無しでクリアしたえりかさんには、余裕だろうと思っていましたが、意外にもけっこうキツそう。
もしかしてえりかさん、短い区間でアップダウンが連続する尾根伝いの峠みたいなヒルクライムって苦手?
遅くても、一定のペースでずっと長い時間耐える方が好きですね。奥武蔵グリーンラインで完敗した後、ハルヒルコースを走ってわかった事ですが、ヒルクラと一口に言っても大きく3タイプあります。1つは「激坂はないけれど、緩い坂がズーッと続く“大きな山タイプ”」、尾根幹や奥武蔵グリーンラインのように「短い小山のアップダウンが連続する“尾根タイプ”」、そして和田峠や東都飯能カントリー倶楽部裏のような激烈な斜度まみれだけれど短い距離でサクッと終わる「峠ではなく“激坂ネタ坂タイプ”」。
私もまさにえりかさんと同じで“大きな山”タイプが得意……というか、“まだマシ”。その次に相性が良いのは“激坂ネタ坂”、相性最悪は“尾根タイプ”。恐らくスタミナと脚力の問題なのでしょう。まっつーさんに聞くと、「尾根タイプが一番マシ」とのこと。ダウンヒルや平地で加速したスピードで目の前の小山をやり過ごし、再びダウンヒルで~を繰り返す方が得意なようです。

あきあきさんは、ロード歴はまだ短いそうですが、ショップの走行会に定期的に参加しているとのことで、バーミヤン坂も楽々クリア。私のように「ショップの走行会=ガチで走れる人達にシゴカれる」という偏見を持っている人間からすると、「さすが!! すげえ!!」という感じですが、ご本人によれば「いつもはポタリングがメインで、坂を登るにしても連光寺坂程度」とのこと。それでもはやり、定期的に坂を登るっているのとそうでないとでは“地脚”に雲泥の差が出ます。

(そんなあきあきさんの愛車もパチリ! 隊長のランプレカラーのメリダを見慣れると、ブルーカラーは新鮮でカッコイイ!! バーテープやボトル、ツール缶にも青いラインが入っていて爽やかな印象です)


とかなんとか、坂談義をしているうちに、尾根幹をクリア。



ここからウネウネとよくわからない道を通りつつ、城山湖への本格ヒルクラポイント、穴川林道に向かいます。いつもはへまさんにのほほんとついて行くだけなので、何も考えてませんが、今回は私が道案内。ガミ夫の線画をチラ見しつつ、過去の記憶をほじくりかえしながら進みます。



ここからウネウネとよくわからない道を通りつつ、城山湖への本格ヒルクラポイント、穴川林道に向かいます。いつもはへまさんにのほほんとついて行くだけなので、何も考えてませんが、今回は私が道案内。ガミ夫の線画をチラ見しつつ、過去の記憶をほじくりかえしながら進みます。







ご存知の通り、私の場合、道中に写真を撮りまくり、帰宅後にはそれを現像。ブログ掲載にあたり、時系列に再配置したりしているので、「途中にどんな景色のところを通ったのか」は、普通の人より記憶しています。





それでも2回ほどちょっと行き過ぎて慌てて戻るなどの失態を交えつつ、ようやく田舎っぽい風景のところに到着。
間違いありません、ここが城山湖への道、穴川林道の入り口です。





それでも2回ほどちょっと行き過ぎて慌てて戻るなどの失態を交えつつ、ようやく田舎っぽい風景のところに到着。
間違いありません、ここが城山湖への道、穴川林道の入り口です。

穴川林道の血の味指数は「7」。入山峠より低く、大垂水峠に毛の生えた程度。しかし、山奥の雰囲気が手軽に味わえて、登りきった先のダムまで行けば景色のご褒美も味わえる、なかなかお得な林道です。

峠に入れば、一本道。道案内は不要なので、ようやく最後尾に移動。走る皆の後ろ姿を撮影します。

あー、最後尾落ち着くわー。やっぱこれだわ。ついでに、乙女ギアを導入したまっつーさんの登坂をチェック。乙女ギアはとどのつまり、鬼のように軽いギアが手に入るスプロケなので、“激坂で脚が回らない”という事が防げます。同時に、ややキツ目程度の坂であっても、通常の25Tや27Tといったスプロケと比べ、より軽いギアで登れるため、脚への負担が少ないという利点があります。
しかし、ギアが軽いぶん、沢山回さねば前には進みません。つまり、脱力して軽い力でクルクルと沢山回す、「弱ペダ」で言えばハイケイデンスクライムをする必要があります。逆に不必要に力を入れ、うんしょうんしょと踏んでしまっては、乙女ギアを入れた意味がありません。乙女ギアを導入するという事は、上り坂でもリキミやムダのない綺麗なフォームでハイケイデンスを維持し、それでも限界まで上がり過ぎない心拍を手に入れる必要があります。
しかし、まっつーさんを後ろから見ていると、まだペダルに力が入って“踏んで”います。惰性で回すのではなく、筋力で踏んでしまうと、自分でも驚くほど早く“終わり”が来て脚をつかざるおえなくなります。
尾根幹のように、“終わり”が来る前に坂のほうが終わってくれれば問題はありませんが、穴川林道のように本格的な峠が相手の場合、気をつけなければ、「スタート直後で殺られる」という事態になってしまいます。
尾根幹のように、“終わり”が来る前に坂のほうが終わってくれれば問題はありませんが、穴川林道のように本格的な峠が相手の場合、気をつけなければ、「スタート直後で殺られる」という事態になってしまいます。
休憩したいー!!
まだダメ!! がんばって!!
ダンシングしたいー!!
加速してもまだ終わらないから、今日はダンシングに逃げちゃだめ!! クルクル回してクルクル!!
もしDeroさんのように筋力が強く、それを持続する力がある人であれば、重いギアをガンガン踏んでも問題はありません。もちろん、ガン踏みを永遠に続けられる人間はいません。しかし、ガン踏み登坂はスピードが速く、軽いギアよりも“速く登り終わる”ため、相手が本格的な長い峠であっても、筋力が無くなる前に走り切る事ができてしまうので、登坂方法としては破綻していません。
そういえばDeroさんは前に、「逆に軽いギアでクルクル登るのは苦手」と言っていました。要するに、自分に合ってさえいれば、どんな登り方をしても構わないという事。大事なのは今の自分が使える手札を知り、その手札をどう使えば、目の前の長い峠のてっぺんまでたどり着けるのかを考える事。これがある種ゲーム的な要素で、ヒルクライムのオモシロさでもあります。

あー、ちょっと休憩
はや!! wwww 乙女ギアの効果は!?
何ギアでもツライ!!
身も蓋もないwwwwwwwwwwただ、ぶっちゃけ、ずっと続く坂道を前に、そんな事をウダウダ考えている余裕はありません。誰しも、頭の中が「ひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい」という単語で埋め尽くされている間になんか終わってしまうもの。
まずは坂に対する恐れを無くし、心に余裕を持ち、「もしかして、こうすれば、なんとか耐えられるんじゃね?」、「なんかテンパッて踏んでたけど、こんなに踏まなくても進むことは進んでるな、遅いけど……」と気づく事が重要。最近になって「ひいいいい」の合間に、ようやく少し考えられるようになってきた私が言うのだから間違いはありません。
そんなわけで、私が提唱したいのは、筋トレとか体重減とかそういう具体的な話の前に、「坂ひいいいいい」という心の乱れを抑える事。有り体に言えば、坂に慣れる事です。いつも坂が出てくるたびに「ぎゃあああ」とか言ってる俺が言うと説得力が笑えるほどゼロですが。


あ、ドーナツが出てきた
これ、激坂にあるやつですよね
……
ちょww まっつーさん、斜度変わってないから!! 道に模様が出てきただけでスピード半分くらいに落ちたよ今!! 気持ちの問題だって!! www




とかなんとか、騒いだ末に城山湖到着。あいにくの曇空ですが、開放的な場所まで来ると、「登りきったんだなぁー」という一区切り感が出て、疲労も少し軽減されます。ヒルクラはつくづくメンタルなスポーツです。


城山湖からのダウンヒルを経て、お次は津久井湖へ。もう本格的な峠は無く、あとは細かいアップダウンがあるだけです。


脚が限界です。もう坂道無いよね?
うん。ヒルクラと呼べるところはもう無いね。あとはちょこっとアップダウンがあるだけだよー。

!?
!? !?
坂もう無いって言ったのに!! へるさんウソつき!!
いや、これ坂じゃない、丘だから!!
なんかへるさん、昔と言ってる事が真逆なんだけどwww
え!?
Deroさんより厳しい!! 自分がかつてされた事を新人にもやろうとしているんでしょう!!
なっ!!?? このコース引いたのへまさんだから!! 俺じゃない!! 俺じゃないから!!なんという事でしょう、へまさんに責任をなすりつけつつも、Deroさん&まっつーさんの言葉が胸に突き刺さります。
言われてみれば、「坂道はもう無いって言ったのに!!」、「ローディーはウソつきだ!!」というセリフは、今まで私が飽きるほど口にしてきたもの。脚がもう動かないのに、頼んだ覚えのない山盛りの坂がニコニコと追加されるヒルクラわんこそばの絶望を、誰よりも理解し、声高に非難してきた自分が、いつしかその非難を受ける側に回っていたのです。
ば、ばかな……。俺がいつしか、ローディーはウソつき呼ばわりされる側になっていたなんて……
へるさん、俺の気持ちがわかったでしょwwww
あああああああああ!! なんてこったあああああああああああ!! これが、これが“ローディーはウソつき”の正体だったのか!!
良かれと思ったオモテナシが、生まれたてのトムソンガゼルの脚から摂取すると真逆の劇毒になるカラクリだったのかああ!!



ちなみにここが津久井湖の吊り橋ですが、まっつーさんの視線に「はやくクロワッサン食べさせろ」ビームが含まれているので先に進みます






うまうま







(マジックショー鑑賞中)


でもさあ……
脚売り切れたって言うまっつーさん、平地に入ったら、Deroさんと~るさんにツキイチで、えりかさん&あきあきさんグルペットとスゲエ差が開いてんだけど、ホントは売り切れてないよねあれ。
売り切れてないですねww
ぜったい気の持ちようだよねあれww
以上で、乙女ギア導入、テストヒルクラライド無事完了。ローディーの言葉が信用ならないのは以前から知っていましたが、それが良く言えば受け継がれる伝統芸能、悪く言えば感染症のように伝搬していく仕組みを身をもって知る、示唆に富んだライドになりました。
最大の問題は、私が高いヒルクライム能力を備えた上でこの感染症にかかっていれば良いのですが、ろくに登れないくせに、いろいろな坂に行っただけでなんかそんな気になっている、耳年増ならぬ、脚年増になっているだけという点。
今後は身分をわきまえ、気を引き締めて、しっかりと後ずさり、目の前の坂にしっかりと恐怖していきたい所存です。
へるはうんど
























気づいた時にはもう手遅れのようですww
ワクチンどっかにないかなー