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(読了後再生推奨/画質は720/60p、1080/60pがオススメです)
坂を見ただけで般若心経を唱えだす私の登坂練習のため、へまさんが連れていってくれた城山湖、裏尾根幹、入山峠、牧馬峠、梅ノ木峠などなど……。途中でゆっけさんも巻き込まれた“坂練習シリーズ”ですが、回を重ねると1つの問題が。
近場で自走で行ける坂って、もうあんまり残ってないんだよね
ヤビツとかもあるけど、自走で行くには遠いし。かといって和田峠とか風張林道とか子ノ権現(ねのごんげん)とか別次元のトコロ行ったら、オレの脚がとれちゃうし。
ムリムリムリ……昨年5月に初ヒルクラでいきなり挑戦して秒殺され、4回足ついたトラウマが。あの時からオレ自身、基本的にレベルアップしてないから。メインウエポンが長めの物差しから、ひのきの棒になっただけで、ゾーマに殴りかかりに行くのと同じだって。
いや、今までこれだけの峠を脚付きなしでクリアしてきたんだから、たぶん都民の森も大丈夫になってると思うよ。
ロンゴロンゴ語には明るくなくて、日本語でお願いします。
いやいや、都民の森手前の旧料金所で休憩するかもしれないけど、それは普通だし、料金所までなら楽に行けちゃうよ。旧料金所から先は斜度はアップするけど、牧馬や梅ノ木と比べたら、それほどキツイ事もないし。
……そうかなぁ。まあ、もうちょっと自信がついて、暖かくなったら、のぼうさんとか皆で行こうって話は去年からしてるから、それまでに心を入れ替えてもっと頑張ればなんとかなる……かなぁ。
生まれて初めてのヒルクラで、キツかった印象が強すぎて過大評価しちゃってるんだと思うよ。それならば実際どんなものなのか、皆と出かけて本格的に挑戦する前に、軽く下見してみたら?
え、下……見?それはロケハン的な感じ?
そう。攻略するには敵を知る事が重要だし。ちょっと見てきて、キツかったらやめればいいんだし。
下見……ロケハン…‥ちょっと見るだけ。いやしかし……でも…ロケハンは大事だな……んー……。
次はドコにチャレンジするんですか。
天国のようなトコロだから、ゆっけさんも参加ね。
えww ドコですか?などと前回のライド時に話していましたが、数日後、東京に雪が。都心部では少し積雪した程度ですが、奥多摩方面は……。
東京都環境局【公式】@tochokankyo
【レンジャー情報①】檜原村役場周辺では積雪しているよ☆明日の登山道は雪にすっぽり覆われて道がわかりにくくなっているかも!登山には必ず冬山装備で!!情報は檜原都民の森から→http://t.co/HLjqEHHb6N(自然公園担当) http://t.co/GF1Tp2zGFC
2015/01/30 18:29:16
どう考えても、ロードの神が「都民の森? お前が? え、マジで言ってんの? 死ぬよ? 7割がた」と忠告するために降らせた雪に違いありません。神のお告げには、素直に従うしかありません。それ以前に、東京都建設局によれば、都民の森に至るまでの道路が、積雪で通行止めになっているとのこと。
これで合法的に都民の森を回避するしかなくなりました。やー行きたかったけど雪じゃー仕方ないよね。さ、土日は布団の中でPS Vitaでもやって……
これで合法的に都民の森を回避するしかなくなりました。やー行きたかったけど雪じゃー仕方ないよね。さ、土日は布団の中でPS Vitaでもやって……
東京都建設局@tocho_kensetsu
【通行止一部解除】通行止めしていた奥多摩周遊道路の奥多摩町川野(三頭橋)~同(山のふるさと村)と檜原村数馬(都民の森)~同(九頭竜橋)は、本日(1/31)15時に通行止め解除しました。山のふるさと村~都民の森は引き続き通行止めしています。解除の際に改めてお知らせします。
2015/01/31 15:12:44
東京都除雪はえええwww!!
空気よめよ!!
空気よめよ!!


東京都の勤勉な仕事ぶりの結果、今週も武蔵五日市駅前に到着。
駅前を右折すると、先週のつるつる温泉 with 梅ノ木峠。左に行くとラスボス・都民の森が鎮座しています。つまり、ここを左折するという事は、私にとって99.7%くらいの確率でローディー的な敗北(脚付き)を意味します。ああ……胃が痛い。

いきなり左折すると精神的プレッシャーに耐えかねて、引きつけを起こす可能性もあるので、駅の並びにあるパン屋さんで燃料補給。アンパンとココアをもぐもぐ。
当日の最高気温は8度と、あまり上昇しない予報。日があたっている場所はまだマシですが、日陰に入ると冬装備でも寒気がします。登坂自体も憂鬱ですが、山の上に行ったら氷点下になっているかも……生きて帰れるかという心配も出てきました。
ちょっとへるさん、ここに来るまで脚を温存し過ぎじゃないっすかww
オレはもう、ここに来るまで前方に赤信号が見えたら一切漕がないと心に誓ったんだ。
元気も無いし、体調悪いんですか?
ゆっけさん、都民の森行ったことないんだっけ。
ないです。
……いっそ、人生にとってはその方が幸せなのかもしれない。
やめてください、怖いじゃないっすかw
思いつめ過ぎだってww
しかし都民の森は、この武蔵五日市駅から頂上までで約28km、駅からカウントする人はあまりいないけど、緩やかな登りは始まってるから脚へのダメージという意味では既にヒルクラは始まっている。檜原村の役場を左折してからが本格スタートだが、役場から頂上までだって20kmもあるんだ。
……
俺たちが得意とするインナーローで耐えていればなんとかなる作戦も、例えば梅ノ木峠をクリアした後で「じゃ、今と同じやつあと4回登ってきてね♪」とか言われたら出家するだろう?
……確かに。
いやいやw 梅ノ木よりぜんぜん斜度は緩いから大丈夫。
その斜度も都民の森の一番恐ろしいところなんだ。ルートラボとかで都民の森を探すと、平均斜度は5%だとか6%とか、さほど大したことない数字が出てくる。名前もフレンドリーだし、どうってことないように見える。だが、そこから奴の罠は始まっている。
1,000mという高さも今までの峠と比べると別格だが、問題はそこじゃない。標高グラフをパッと見ただけだと、頂上まで滑らかなカーブを描いているように見える。でも、注意深く観察すると、このグラフで50kmあたりに、小刻みなギザギザが見えるだろ。
これはすなわち、脚がゴリゴリ削られる細かなアップダウンが連続しているという事だ。仁田山峠とかと同じで、こういう峠は数値的なトリックで平均斜度は低く出るけれど、実際に登ってみると悶絶ポイントがワサワサ出てくるんだ。
と言ってる人もいるけど、大丈夫だよ。ゆっけさんなら普通に登れるから。それに、都民の森から奥多摩への道はまだ雪で閉鎖されてるから、今日は車がほとんどいないと思う。気持よく走れるんじゃないかなー。
ほら、俺達の食べこぼしのパンのかけらを鳥がついばんでいる。都民の森で無様に倒れたオレを骸をついばむハゲワシを暗示させる光景だと思わないか
楽なのか、辛いのかどっちなのww すげえ怖いwww

アンパン食ったので出発(隠語ではありません)。






路肩の雪の厚さが、私の家のまわりとまったく違います。ここは東京都でありながら、いわゆる”東京”と言われてイメージする場所とは大きく違う世界である事を痛感します。
いくつかの坂をクリアし、林を抜け、足湯に心奪われた瀬音の湯を通り過ぎると、檜原村の役場が見えてきました。何度も書いているように、このT字路が運命の分かれ道。右へ行けば平和な藤原集落、左へ行けばギアガの大穴、ラスボス・都民の森が待ち構えるラストダンジョンがスタートします。

え? マジで?? マジで左曲がるの?
まだ言ってるww
左はジョークで、右曲がって、豆腐スイーツ食って帰るんでしょ?
ねえほら、右にも道はあるから!!
まがっちまったああああああああああああいやだああああああああああああ!!!





曲がってしまったのだから、仕方ありません。それにしても、ヒドイことになるとわかっていながら、何故か坂道に自ら首を突っ込んでしまうこの極めて不可思議な心境をどう表現したら良いのでしょう。マゾとか禅を超えた、無我の境地の匂いがします。
昨年の5月に登って叩きのめされた時、当然“登坂行程”は全てアクションカムで撮影していたのですが、あまりにボロボロだったため見返したくなくて封印。再び再生したのは、年末に「2014年血の味ランキング」を作る際、何枚か静止画を切り出すために仕方なく……というトラウマっぷり。
つまり、本来であれば「この先の坂がどうなっているのか」なんて、さほど覚えていないハズです。しかし、T字路を曲がって最初のカーブを見ただけで、脳内の封印箱がフルオープン。約8カ月前に「ゾンダ買ったからもう坂道も楽勝でしょ」という勘違い野郎が、2つ目の坂あたりで「あれ?」っとなり、4つ目の坂で「うそでしょ?」、6つ目で「さ、ささささ、撮影しないと、ほら」とか言いながら足をついた記憶がフラッシュバック。震えるほど寒いのに、脂汗が浮かびます。





しかし、これまで幾つかの峠を超えてきた成果なのか、3人で走っている気楽さなのか、“この先がどうなっているか知っている”安心感なのか、身構えていたわりには、楽に進めます。
「そうそう、ここのカーブを見た時に“マジかよ”って愕然としたんだよなぁ」と、8カ月前の自分の記憶を、たどりながらのヒルクライム。しかし、脚にかかる負担は、あの時よりもかなり軽く、ヒーヒー言いながら立ち漕ぎで抜けた坂も、ゆっけさんに「この後まだまだ地獄が待ってるんだぜ!!」などと精神攻撃を加えながらクリアできる余裕ぶり。





やがて、最初に脚をついたポイントを通過。「なぜこんな序盤で脚をついたんだオレは」と、今になると不思議な気すらします。
同時に、「あれ、意外とイケるじゃん」と、口からは余裕の発言が。
このまま行ければ、2回目に脚をついた数馬の湯の金網ゾーン、3回目に脚付きというか大休憩した旧料金所、4回目に脚付きした給料近所先のナイスワイディングポイントまでも、脚をつかずにクリアし、都民の森を完全制覇する事も夢ではないかもしれません!!





んなわけねえwww


序盤の坂を幾つか超えたあたりで、ぶっちゃけ前述のような「修行から帰還してパワーアップしたオレ様が、過去に苦戦した敵を楽勝モードでねじ伏せる」というジャンプ漫画的なストーリーが頭をよぎりましたが、そもそも修行と言えるような事は何もしていない事をすっかり忘れていました。
短い下り坂が終わると、キツ目の登りが続き、嫌になった頃にまた下り坂という地獄のシーソーゲーム。徐々に脚が削られ、序盤で感じていた余裕がみるみるうちに無くなっていきます。にも関わらず、坂道の連続パンチは途切れず、楽勝かと浮かれた自分の心に、都民の森の圧倒的なまでのラスボスプレッシャーが充満。精神的な余裕も無くなり、「やべえな」という焦りの気持ちが頭をもたげてきます。
私自身について、以前と変わったところがあるとすれば、「もっと斜度的にキツかった峠もクリアしてきたのだから、これくらいで降参するなんてありえない」という意地のみ。とどのつまり、“斜度に慣れた”という心の余裕くらいしか、使える武器はありません。
あとは、一度登坂している経験を活かして、“エネルギー配分”をうまくやり、最後のゴールまで余力を残す作戦は使えるハズ。
しかし、ここで問題発生。
しかし、ここで問題発生。
前述の通り、「前はココで脚をついたんだなぁ」とか「ここはキツかった思い出があるのに、今回はそうでもないな」と、坂の特長を記憶している……ハズなのですが、この記憶がまったくあてにならない事が徐々に判明します。
「あーここだここ!! ここがキツかったんだ」と言いながらカーブに入ると、すぐに坂は終了。「あれ? 違ったかな??」っと思っていると、次の次の次のカーブが記憶にあったカーブで……という具合に、記憶の信ぴょう性がボロボロです。
つまり、とびきりキツかった坂は鮮烈に覚えているのですが、その坂と坂を繋ぐ記憶があやふやで、「どの坂が何番目に出てくるのか?」、「あとどのくらいでその坂が登場するのか?」、そして「そもそも後どれくらいでこの苦行が終わるのか」という、エネルギー配分で最も重要な記憶が欠落。これじゃあ経験もクソもありません。
……おそらく前回、キツ過ぎて部分的に記憶喪失になっていたんだろうなぁ……

そんな不確かな記憶の中にあっても、特に強烈に覚えているのは「数馬の湯のあたりにあった左カーブの斜度が強烈だった」という記憶。左の斜面に落石防止の金網があった事から、私の中では金網カーブと名付けられています。あの金網カーブがいつ現れるのか、ビクビクしながら登っていきます。
路面は側溝にたっぷりと雪が残り、時折、道路の中央付近にも凍った雪が残る危険な状況。濡れていないルートを慎重に選びながら進みます。
気になるのは、私と同じインナーロー教団の教徒であるゆっけさんの状態。いつも“どっちが先に脚をつくかバトル”を繰り広げているためか、ゆっけさんは私に「数馬の斜度がキツイところは、あとどのくらいで出てくるのか?」、「旧料近所まではあとどのくらいなのか?」と、執拗に質問してきます。それに合わせてエネルギー配分をしたいのでしょう。
それに対して、私は「ふひひひ」と狂った笑いを返すだけ。同じ教団の構成員とは言え、ライバルに有利になる情報を与えるわけにはいきません。むろん、自分の記憶があやふやで、いつ激坂が出てくるのかサッパリわからなくなっているとは口が裂けても言えません。
結果的に、両者が互いの様子を伺い、速度を落として脚をため合い「先に行ってよ」、「いやここは経験者が」と譲り合い続けるという悪循環。結果的に、登坂にかかる時間はさらに長くなり、ただでさえ距離の長い都民の森の恐ろしさが、さらに増強されていきます。
結果的に、両者が互いの様子を伺い、速度を落として脚をため合い「先に行ってよ」、「いやここは経験者が」と譲り合い続けるという悪循環。結果的に、登坂にかかる時間はさらに長くなり、ただでさえ距離の長い都民の森の恐ろしさが、さらに増強されていきます。

やがて、前方に恐れていた「数馬の湯」の看板が。ハァハァと荒い息をしながらも、ついに訪れた激坂ゾーンに冷や汗が吹き出します。
前回は、立ち漕ぎするパワーも残っておらず、精魂尽き果てて脚をついた“完敗ポイント”。しかし、今回は覚悟完了した上で挑んでいるので、キツイですが、脚をつく恐怖を感じないままなんとクリア!!


喜んだもつかの間、その後は斜度がなかなか落ちず、長い登りが続きます。
この先にそろそろ旧料金所があるはずなのですが……。
この先にそろそろ旧料金所があるはずなのですが……。

あれ? 数馬の湯を一生懸命クリアしていたら、いつの間にか近くにいたハズのゆっけさんがいない……。
あ、前方のへまさんの近くにいた。おかしいな、いつのまにスピードアップしたんだ?
あれ……へまさんまで抜いていくぞ……
なんかゆっけさん、寒すぎてトイレ行きたくなってきたってww
マジで!?www
先に進んでトイレに行くって、スパートかけて抜かれちゃったww
あんにゃろう!! やっぱり本気出せばもっと登れるんじゃねえか!!
インナーロー教団破門だ!!


なんという事でしょう、戦友だと思っていたゆっけさんは、実際にはあんなスピードで登れる実力の持ち主だったのです。いえ、そもそも、あれだけ痩せているのに、デブリンなオレと同じような速度でノロノロ登っている事自体がおかしかったのです。私が情報戦を仕掛けているつもりが、逆に高度な心理戦を仕掛けられていたというわけです。
さらに、ゆっけさんが心配だと、へまさんもスーッと加速。私はいつの間にか、この凍てつく魔王のラストダンジョンで、一人で孤独にクランクを回す事に。これでは、8カ月前の状況と同じであり、悪夢が脳裏にフラッシュバックします。そう、誰かいないと怠けるんだオレは。
この世で最も信用ならないのがヒルクライム中の自分ですが、脚付きの誘惑を振り払い、黙々とクランクを回しつづけ、数馬の湯からの続いた長い上り坂をクリア。
前方に旧料近所が見えてきました。記憶が定かではありませんが、ここは多くのローディーが途中休憩ポイントとしていた場所、もしかしたらトイレがあったかもしれません。いやあってくれ!! 無くても15秒以内で作ってくれ!!
前方に旧料近所が見えてきました。記憶が定かではありませんが、ここは多くのローディーが途中休憩ポイントとしていた場所、もしかしたらトイレがあったかもしれません。いやあってくれ!! 無くても15秒以内で作ってくれ!!

もしここにトイレがあれば、ゆっけさんがいて、へまさんもいる事でしょう。そうすれば、「やったー! ゆっけさん脚ついたー! オレの勝ち!!(小学生)」的な小ネタを交え、ごくごく自然な流れで、合法的に、仕方なく、オレの心が傷まない形で脚をつく事ができます。
しかし、都民の森に近づきながら周囲を見回しても、どこにもトイレが無いwwwwwww

もしかして、ゆっけさんが近くの草むらで、ネイチャースパーキング(意味:ネイチャーの中でスパーキングする事)をしているかもしれないと、目をこらしましたが、誰もいません。つまり2人は、この給料近所で立ち止まらず、そのまま都民の森の最終ゾーン、魔のグッドワインディングに突入した事を意味します。
と同時に、ここでもし私が脚をついて休憩すれば、今回のライドで脚をついたのは私だけ。私の一人負けが確定します。

嘘だろ……まじで先に行ったの? ウソだろ……
冗談のような話ですが、この旧料金所を抜けたら、山肌に見える白いラインを右に登り、さらにその上に薄っすら見えているラインを左に登っていくハメになるのです。
止まりそうな速度で進みながら、旧料金所を見回しても、やはり人影はゼロ。「どうする? 休まずに進むか? そうすれば脚付き無しでのオールクリアという栄誉が得られる確率は生まれるが、本当にここで休まずに、この先のキルゾーンを走破できるのか?」
時間にして数秒ですが、私にとっては数時間にも感じられる長考が終了。
私はロードを降りずに旧料金所を通過。そのまま最終ゾーンへと登り始めました。
私はロードを降りずに旧料金所を通過。そのまま最終ゾーンへと登り始めました。

旧料金所から先は、まさに山の頂上という景色。見晴らしは最高ですが、キツイ斜度がさらにアップし、常時8~9%に。そして、ここまで時折存在した下りが無くなり、おまけに平坦も無くなり、キツイ負荷が常時課せられるという、鬼の最終ステージ。
ここまでの長い登坂で、既に脚は95%ほど終わりかけています。休むダンシングをしたくても、もはや立ち上がる気力も無いので、インナーローでひたすら回すしかありません。時折斜度がキツくて、小さく蛇行すると、それだけでよろめいて脚をつきそうになってヒヤリとする疲労具合。
恐らく今ロードを降りたら、へたり込んで立てないほど疲れていますが、困ったことにロードであればまだ進めてしまいます。「帰り、自走で家まで帰れるのか?」という不安すら、もはやどうでもいい事のように思えてきました。
恐らく今ロードを降りたら、へたり込んで立てないほど疲れていますが、困ったことにロードであればまだ進めてしまいます。「帰り、自走で家まで帰れるのか?」という不安すら、もはやどうでもいい事のように思えてきました。


相変わらずの、恐ろしい風景。
そして、さらに恐ろしい事に、後からアクションカムの動画を見返してみると、小声でボソボソ「バンゲリングベイ」とか「あいつに借りたメガドライブがまだ箱ごとどっかに」とか、「ジッピーレースが」という、古代史レベルのゲームの話をしています。オレが。一人で。1,000mの山の上で。
ここに到達するまでに、脳と体の神経接続を完全にカットし、体の疲労を感じずに走り続ける「ゾンビ走法」はとっくに活用しています。どうやらゾンビ走法でも耐えられなくなると、脳の大部分が活動を停止。代わりに、小学生時代の借りパク罪悪感パンドラボックスがフルオープンするという事象が発生するようです。これについては、しかるべき機関による詳しい調査が必要になる事でしょう。


幼児退行しながら登坂を続けていると、前方からへまさんが。どうやら、ゆっけさんと共に登頂を果たし、降りてきてくれたよう。

あそこが最後のカーブだよね!!
いや、もう少し先かな
あそこだ!! あそこが最後のカーブだ!!
いやもう少し
あそこだったわ!! あそこが最後だ
そうかな……いや、違うや
あそこ!!既に一度登坂を果たしている経験のアドバンテージなど、粉ほども残っていません。記憶にあるのは「右に曲がったらゴールだった」というビジュアルのみであり、それに基づいて、視線の先にある右カーブを、全て最終カーブだと主張し続ける壊れかけのレディオ状態。もはやこの苦しさからコンマ数秒でも早く開放されたいという、願望に基づく喘ぎ声と大差はありません。





役場過ぎのT字路から、都民の森まで、速い人なら1時間のコースを、約2時間で登坂完了
おせええええええwww
しかし、どんなに頑張っても旧料金所で一度脚をつくと思っていたので、脚付き無しでのオールクリアは我ながら大したもの(自画自賛)。単純に意地で降りなかっただけですが。(ゆっけさんのトイレは間に合いましたw)

ちなみに石碑の前に突っ立って撮影すると、駐車場の車くらいしか背後に写り込まない、つまらない写真になりますが、ローアングルから撮影すると、山がフレームに入るので「山登ったぞおんどりゃー!」という感じの写真になります。登った後で、そんな事を思い出す心の余裕があったら試してみてください。


自転車を降りると、案の定、膝が笑ってまともに歩けない状態。
都民の森は日当たり良好ですが、気温は2度か3度くらいしかないため、外でまったりしていると凍えてしまいます。とりあえずヨロヨロと土産物屋さんに避難し、皆で暖かいお汁粉(餅入り)を注文。


へるさん、なんかこの付け合せのわさび漬けみたいなの、駄菓子味で凄いっすよ。
駄菓子味って何よ、パクッ。
凄いでしょちなみに、都民の森で上り坂は終わりではありません。この先をさらに登ると、標高1,146mに至り、風張峠(林道ではない)が登場します。そこを走ると奥多摩湖へと抜けられますが、残念ながらまだ雪に埋もれており、通行禁止のバリゲードが。
あ、そんな事話してたら、ちょうど除雪が終わって通行禁止が解除されたよ
帰ろ!! お願いだからwwwwwwww

長い長い、ひたすら長い登りのご褒美は、ハイパー長いダウンヒルタイム。しかし、写真でわかるように、ここまでの道のりは雪まみれなので、スピードを出すとスリップし、冗談抜きにアイキャンフライしてしまうので、安全第一。ゆるゆると降りていきます。


もう1つ、ゆるゆるとしか降りない理由が。
寒いwww 下までもたないかもww
だからユニクロのウルトラライトダウンが便利だって言ったのにww実は、私とゆっけさんは、冬装備+ウインドブレーカーに、さらにユニクロのダウンを装備するという完全防寒対策仕様。周囲は2度とか3度で、風を切って降りるとマイナスに突入する冷凍庫状態ですが、これを着ていればポカポカでへっちゃら。
もともとゆっけさんがサドルバッグにダウンを詰め込んでいて、私がそれを真似てツール缶に押し込む技を開発(袖なしのベストタイプがより小さくなって吉)。この装備が無ければ、真面目に凍死しかねない寒さ。流石にこんな状態の都民の森に挑戦するローディーは他にいないだろうと思っていましたが、道中、8人くらいとすれ違うという、ローディーの頭はどーなってんだ状態。



ユニクロのダウンは暖かいですが、さすがにこの距離をダウンヒルで飛ばすと、顔や体の末端が凍りついてヤバイい感じに……。おまけにジワジワと下半身も冷えてきました。

下り終えて、役場の手前まで戻ってくると、3人そろって冷凍人間状態。さすがにたまらず、たちばな屋さんに駆け込みました。


はあああああああああああ店の中あったけええええええええ
チャーシュー麺あったけええええええええええ
塩ラーメンあったけえええええええええええ
温度の話じゃなくて、味の話をしようよ(やさしい味で美味でした)





都民の森:11.8血の味
昨年から血の味指数に変化無し。未だ、私がチャレンジした峠の中では堂々のナンバーワンであり、やはりちょっと別格のキツさ。ラスボスの地位は、まったく揺るぎませんでした。
数値に変化が無いのは残念ですが、初挑戦時、実は輪行でアタックしており、なおかつ脚をつきまくり、休みまくりで登った数値。対して今回は、家からフル自走(合計152km)、脚つき&休憩無しで、数値に変化無しという事で、少しは進歩した……のかなぁ。
でもこれ、暖かくなって、気温からの疲労や水分の枯渇もプラスされると……脚付き無しではヤバイんじゃねえかなww
【自転車レポで主に使用している機材】
へるはうんど


























いやいやいやいやwwww
私もまだまだまったく登れませんからww
登れる奴みたいな感じにしないでください(((^^;
インナーローで耐えてるだけでございます。
>もう少し登れば、「東京で一番高い道路 」という標識が立っているんですが、それは見に行かなかったんですね・・・。
ぶっちゃけ今の私は都民の森が限界ですww
もう少し暖かくなったら、さらに先まで行ってみたいですが
相応の覚悟期間が必要ですw