私がいつもヒーコラ登っている、奥多摩方面や秩父付近の山。いずれ劣らぬ強敵ぞろいですが、どんなに強敵でも“東京近郊では”という注釈がつきます。東京から遠く離れれば、文字通り、レベルの違う山々が現れます。中でも”山のメッカ”と言えば、泣く子も黙る日本アルプス。長野は、私ごときが挑む事も許されないような異次元の魔王達の巣窟です。
そんな貧脚ローディーには危険な長野県。しかし、地図を良く見てみると、鬼のような山々がポッカリ存在しない平地ゾーンがあります。松本盆地と呼ばれるこの地域は、周辺に3,000m級の北アルプス、2,000m級の上高地や美ヶ原(うつくしがはら)などの魔王に囲まれていながら、奇跡的に平地が主体の、貧脚ローディーにとってのオアシスです。
そんな盆地を、最大で160km走ろうというイベントが「アルプスあづみのセンチュリーライド」。長野のほぼ中心にある松本市から、新潟や富山のある日本海方向に北上、スキー場で有名な白馬でUターンして、また松本市に戻って来る……というロングライドイベントです。
特徴は大きく3つ。
1つ目は、盆地を走るイベントなので、周囲に「なんの冗談だ」と言いたくなる山が大沢山見えているのに、山には登らない、ヒルクライムレースではない事。つまり坂が苦手な人でも参加可能。
2つ目は、そもそもレースではなく、順位を競わないファンライド。途中寄り道しまくったり、写真撮影しまくったり、エイド(休憩ポイント)で出される料理を食べまくったりしてOK。有り体に言えば、「皆で楽しくワイワイ走ろうよ」イベント。
3つ目は、某アニメシリーズの聖地巡礼(作品の舞台地訪問)地点である木崎湖が、コースに組み込まれている事。もともとアニメファンが足繁く通っていた木崎湖を、自転車で堪能できるイベントであるため、アニオタな自転車乗りがこぞって参加。その魅力が、その界隈で伝搬していった結果、アニオタなローディーが沢山あつまるイベントにもなっている(私もその1人)。
要するに「ヒルクライベントはちょっと無理だけど、平地主体でのんびり走れて、木崎湖で巡礼できて、美味しいものも食べたい」というローディーにとっては、奇跡的にマッチしたイベントなのです。
帝釈天で産湯を使った頃からアニオタな私は、学生時代から木崎湖には車で何度も通っていました。そんな私が、ロード沼に転落後、アルプスあづみのセンチュリーライドに巡り合ったのは必然と言えます。
ロードバイク購入から約半年、生まれて初めて参加したライドイベントが、2年前、2013年のアルプスあづみのセンチュリーライドでした。80km、120km、160kmと挑戦コースがあり、無事に120kmをクリアしたのはレポートの通り。
いつかは160kmをクリアせねば……と、思っていましたが、翌年の2014年は仕事で参加できず。そして今年、再び木崎湖に自転車で訪れる機会に恵まれました。
大会前日
土曜日早朝、新宿駅・駅弁屋。
土曜日早朝、新宿駅・駅弁屋。
私の旅のお供と言えば、御存知の通り「牛肉どまん中」。これ以外の選択肢は無く、ソウルフードと呼んでも差し支えありません。あれを食べて、タンパク質と炭水化物を効率的に補給。精神も充足した万全の状態で、木崎湖へのライドに臨む事。それは私にとっての義務であり、私の中のセンチュリーライドは既に始まっていると言っても過言では、
店:「すみません、売り切れで……」
へるはうんど@心は木崎湖に置いてきた@HELL_HOUND_No9【悲報】牛肉どまんなか売り切れ
2015/05/23 07:55:57
俺のAACR終了
帰ってむせび泣き寝入る http://t.co/0cD0T2dqrp
~ AACR 160kmに挑戦 終了 ~
出鼻を完全にくじかれ、適当な鳥弁当を購入してホームへ。抜け殻ようにスーパーあずさに乗り込みます。新宿駅が始発、なおかつ通路近くの席をとったので自転車を置くスペースは余裕で確保できるだろうと高をくくっていましたが、ホームには驚くほど大量の輪行袋がwww 全員AACR参加者で間違いはないでしょう。
それでもなんとか、座席後ろのスペースを確保。鳥弁当を涙ながらについばんでいると、途中の駅から、ゆっけさんや病気さんが乗り込んできます。