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 2014年2015年と参加してきた宇都宮「ジャパンカップサイクルロードレース」に今年も参加。その翌週には、さいたま新都心で行なわれた「ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム」にも。今年の後半は、自転車系イベントをどっぷり楽しんでいます。

 楽しむと言っても、楽しみ方は人それぞれ。応援している選手に会いたい、サインが欲しい、会場だけの限定グッズが欲しい、アウトレットでウェアを安く買いたい……などなど。私の場合、熱烈に応援している特定の選手がいるわけではなく、フルームやウィギンス、サガン、カンチェラーラなんかに会えたらいいな♪ 程度のミーハー具合。最大の目的はやはり、ロードレースの写真をカッコよく撮りたいに尽きます。

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 そんなこんなで、今回は「宇都宮のジャパンカップ」と「さいたまクリテ」、写真撮影に行くならどっちがオススメか? というお話です(TwitterのDMで「選手の大きい画像ちょうだい」と何人かに言われ、その都度転送サービスにUPするのが面倒になったので画像置き場も兼ねます)。

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 まずは宇都宮のジャパンカップ。1日目は宇都宮の駅前でクリテリウム(短い区間をグルグル)、2日目はアップダウンの激しい古賀志林道でのバトルが展開します。仕事の関係で、1日目は参加できず。2日目の古賀志林道に、と~るさんのクルマで突撃しました。

 写真撮影という観点からすると、実はレースが始まる前から悩む事があります。それは重さの問題です。

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 古賀志林道はその名の通り、小山を含む森の中の道で、平地もヒルクライム要素も含んだコースです。クルマで乗り入れられるのは、コースから少し離れた駐車場まで。そこから大会のバスに乗ってスタート地点まで行くか、車載してきた自転車に乗ってスタート地点に行くか、頑張って徒歩で行くかの3択になります。

 バスは搭乗数が限られており、またレースがスタートするとコースをバスで走る事ができなくなるので時間的なリミットも存在します。自由度が高く、安心で快適にスタート地点まで行くためには自転車を持参する事。これが、過去2年の参加で得た結論です。

 しかし、自転車での移動となると、あまりにも重いカメラやレンズは持っていけません。いや、いけない事はないかもしれませんが、スタート地点に辿り着く前に私の背骨が面白い方向に曲がる可能性が172%ほど存在します。

 写真のためには、バカデカイ一眼レフと、大砲のような望遠レンズを持参したいところですが、玄関で深呼吸して「はっ!!」とか声を出さないと背負えないような重さのカメラリュックでは、自転車に乗れないのです。

 そこで古賀志林道に向けて装備を見直し。友人から、連写に強いAPS-Cのミラーレス一眼としてソニーの「α6000」を借りました。一眼レフならボディだけで1.4kg以上ありますが、コイツは約285g。おまけにコンパクト。値段もウン十万円する一眼レフに対して、コチラは4、5万円程度。運動会で子供をパパが頑張って撮影するような感じのカメラです。

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 ただ、AFは位相差AFとコントラストAFを併用した「ファストハイブリッドAF」(詳しくは以前の記事を参照)、連写もAF追従しつつ最高約11コマ/秒と、スペックとしては立派。触るとオモチャみたいで心配ですが、まあ撮れなかったら「テヘペロ(*ノω・*)」で済む遊びなのでよしとします。

 レンズもF2.8通しのズームや、開放F2のバケモノレンズは持っていけないので開放F4とちょっと暗いですが「FE 70-200mm F4 G OSS」をメインにチョイス(いわゆる小三元の1本)。小さめのリュックに入れて、準備完了。自転車も盗まれると怖いので、ミニベロをクルマに乗せて出発しました。

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 案の定、駐車場からスタート地点に向かうバスは混雑していましたが、ミニベロを組み立てて颯爽と会場へ。

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 ……しかし

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e3e05b84なんだこの坂はwwww

 

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 すっかり忘れていましたが、ここはヒルクライムコースでもあるわけで、当然ながら坂が存在します。古賀志林道に来るのは3回目ですが、自転車で走ったのは初めてなので、坂の事などすっかり忘れていました。

 しかもこの坂、斜度がヤバイです。6%、7%ならまだしも、おそらく12、13%程度は確実にあります。ミニベロにサイコンつけていませんが、斜度のキツさは自分の体に刻み込まれているので間違いありません。

 しかもズドンとストレートで斜度が落ちない、心を折るタイプの激坂。軽量化したとはいえ、子泣きじじいのように背中を引っ張るカメラの重さと、ビンディングもついていないミニベロの登りにくさにが組み合わさり、半泣き状態。斜度もさらに上がり、おそらく瞬間的には15%程度あったと思います。

 まわりを見ると、ロードでも足をついて押して歩いている人がチラホラ。しかし、ミニベロとはいえ、足をつくのは私のポリシーに反します。半ばヤケクソで登りきりました。もう帰りたい。というか、こんな場所を何周もして速度を競う事でご飯を食べている人達がこのあとやってくるのです。どうかしてるぜ。



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 苦労の末にたどり着いた古賀志林道。結論から言うと、撮影場所としては面白いです。

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 まず、(ダウンヒル区間を除いて)コースを自由に移動できる事。スタートした後も、コース内を歩く事ができるので、1つのポイントでの撮影に飽きたら、別の場所に移動できます。もちろん選手がやってきたら道の端の安全な場所に退避する必要はあります。

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 また、沿道には椅子やシートで場所とりをしている人が既にいますが、高低差のある林道なので、ちょっと高い場所まで移動すれば人垣の上から撮影できます。見通しの良い場所であれば、遥か下の林道を走ってくる選手の姿も視認できるので、◯◯選手は◯番手だ! と心構えする事もできます。

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 さらに、ヒルクライム区間であれば、選手のスピードも落ちるため、目当ての選手を探したり、構図に凝ったりする時間的な余裕があります。平地や下りではとんでもないスピードになるため、狙った絵を撮るのは極めて困難。古賀志林道はその点で、ロードレース撮影入門に適しているかもしれません。

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 難点は、林道なので木が多く、日陰が多いところ。木漏れ日がドラマチックな絵を描いてくれますが、暗い場所では当然シャッタースピードが遅くなり、ブレてしまう危険性が増加。感度やシャッタースピードはこまめに変えたり、確認して最適なものを選びたいところ。レンズは70~200mm程度で十分だと感じますが、自分のすぐ近くを選手が駆け抜けるシーンでは広角レンズも欲しいところ。ボディが2台ある人は、広角レンズ装着カメラと、望遠カメラの2台体制も悪くないと思います。

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 ちなみに、ぶっつけ本番のα6000でも、なんとかそれっぽい写真は撮れました。ミラーレスもバカにできない時代になったもんです。

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 対して、さいたま新都心で行なわれたのはクリテリウム。平地主体の街中を、選手が超高速で周回します。

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 古賀志林道との大きな違いはアクセスの容易さ。さいたま新都心駅を降りて、数分歩けばもうコースが目に入ります。アクセス容易過ぎて、駅の改札抜けたら普通にフルームが歩いていていてビビリました。これだけ近いと、バカでかい一眼レフと、明るいけれど糞重いレンズも持って行けます。つまり機材面では、古賀志林道よりも有利です。

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 しかし、誰もが来やすいという事は、観客数も多くなります。となれば、朝の場所取りが大事。幸い、ぼんさんが始発での場所取りをしてくれたので、ゴールカーブ間際の、見通しの良い直線のポイントにお邪魔できました。

 逆に言えば、遅い時間に会場入りしても、人垣が分厚くてなかなかコースに肉薄できません。人垣の上から撮ろうにも、平らな街中なのでそれもまた困難。古賀志林道気分で頻繁に撮影ポイントを変えるような事はできず、1つのポイントに絞って、そこでずっと撮影するというスタイルになるでしょう。“朝の場所取りが全ての鍵を握る”と言っても過言ではないかもしれません。

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 選手たちは、時速40km、50kmはあたりまえというスピードで疾走するので、撮影は大忙しです。最も難しいのは、目当ての選手を探す事。逃げていればとらえるのは楽ですが、集団の中にまぎれていると、「サガン!! サガンはどこ!?」と、誰がどこにいるのかさっぱりわかりません。必至に撮影したら、お目当ての選手と似た色のユニフォームの全然違う人だったなんて事はザラです。

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 そこで、個人的には選手のアイウェアのフレームやレンズの色に注目。ユニフォームの色は事前に把握できるので、「サガンとマイカはどの色のアイウェアを着けているか」を、本番レース前のタイムトライアルや、パレードランなどでしっかりチェック。本番で集団が近づいてきたら「ティンコフジャージで白いグラサンがサガン!! 白いグラサン!!」と念仏のように唱えながらファインダー内で探します。

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 選手は高速で近づき、残像を残してカッ飛んでいくので、マゴマゴしていると誰が誰だかわからないまま、シャッターを切れずに終わってしまう事も。その点でも、遠くから“たぶんアレがサガン”と当たりをつけて、フレーミングをして、連写しつづける撮り方になります。目の前に選手がいきなり現れるような場所では不利。“心と撮影の準備ができるポイントかどうか”を考えながら場所取りをすると良さそうです。

 スピードが速いので、撮影の難易度は高め。F1や航空機、鉄道など、移動体の撮影経験が豊富かどうかで“撮れ高”は違ってくるでしょう。機材的に難しければ、スッパリ諦めてスマホのスローモーション動画で撮影するなんてのも、臨場感が伝わってきて楽しいと思います。 




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 古賀志林道でもそうですが、個人的には「前半は抑えるべき写真を撮る」、「後半は趣味に走って遊ぶ」と決めています。つまり、前半はフルームやサガンといったスター選手を、ビシッと撮影して「間近でスターに会えた!」と喜ぶための写真。

 後半は、有名選手でなくてもカッコいい瞬間を切り取ったり、選手どうこうを越えた、ロードレースのプリミティブな美しさを表現しようという狙いです。キチンとした写真はもう撮ってあるので、失敗しても構わないと、流し撮りも積極的に狙っていきます。筋肉ムキムキのふくらはぎだけアップで撮影するなんてのも面白いです。

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 妙な言い方ですが、ビシっとスター選手にピントが合った素晴らしい写真は、しばらくしたらシクロワイアードあたりに掲載されます。プロのスポーツカメラマンが、凄い装備で、美味しいポイントから撮影しているので、なかなかそれを超える写真を撮るのは困難です。

 であるならば、そういったお手本のような写真はプロにまかせ、自分なりの注目ポイントでレースを切り取る事にこそ、わざわざカメラを担いで行った意味があります。スターの顔も、スプリントバトルもそっちのけで、ムキムキの足筋肉だけを撮影した写真は、多くの人に受け入れられないかもしれませんが、紛れもなく“自分しか撮影できない写真”と言えます。沢山の人から喝采を浴びる映画がある一方で、少数のオタクに支えられて細々と上映を続けるカルト映画があるのと似ています。趣味である以上、自分が自分に喝采を贈る写真を取り続けても構わないわけです。

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 話を「ロードレース撮影に適したイベントはどちらか?」に戻しましょう。

 総合的な撮影の楽しさでは、古賀志林道がオススメです。難易度も低く、様々なポイントから撮影できて飽きません。ロードレースのファンでないと、わざわざ行くのは大変な場所ですが、選手を間近で観れ、レースとの一体感が楽しめるという意味で、ロードレースにあまり興味がない人にこそオススメできます。

 クリテリウムは早い時間からの場所とりが重要になるため、アクセスしやすくても“大変さ”では古賀志林道とあまり変わらないのかもしれません。終わったあとにはやく帰れるので疲労が少なくて済むのも良いポイントかなと。

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 それにしても、実際にレースを撮影してみると、ツール・ド・フランスのような周回ではない海外レースの見方が変わります。沿道で撮影している観客の姿をテレビ中継でよく見ますが、彼らは事前にスタンバっていても、スター選手が前を通り過ぎるのは一度だけ。そこで失敗したら頭をかかえてしまうでしょう。

 何度も撮影するためには、クルマなどで先回りする必要があるでしょう。しかし、交通規制もされているでしょうし、先回りした場所でクルマをすぐに停められ、コースに顔を出せるかどうかはわかりません。恐らく現地の人や、長年ツールを観戦している人達しか知らない“先回り移動ノウハウ”があるのでしょう。

 日本を横断するような大規模ロードレースが開催されたら、どんなコースと方法で先回りして何度もレースを楽しめるかなんて考えるのも、また楽しいのかもしれません。

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