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 (読了後再生推奨/画質は720/60p、1080/60pがオススメです)


 生まれて初めて参加したライドイベントであり、3回目の参加となる「AACR(アルプスあづみのセンチュリーライド)」。待ちに待ったその当日、赤いスタートゲートの前に立った私は、既に息絶えていました。

  理由は簡単、前日に「名前が優しいからそんなにキツくないんでしょ」と、ふざけて挑んだ美ヶ原(うつくしがはら)先生にボコボコにさ、挙句の果てにゴールまで辿りつけずに絶景ご褒美無し。メンタルも回復しないまま、AACR当日はスタートがはやいので4時起き、5時起きの世界。大会に参加できる気分の高揚は何処へやら、鼻から出かかっている中身をかろうじて吸い込む事しかできなくなっていました。

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 眠い頭に、元気なMCのお姉さんの声が響き、なんとか自分のスタート順が来たと認識。

 安曇野の平野に走り出します。

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 目の前に広がる田園風景、山、そして空。この大パノラマは「ああ、長野に来たんだなぁ」と毎回感動します。前回はスタート直後、猛烈な向かい風で、荒川峠ならぬ、安曇野峠が出現して悶絶しましたが、今年は大丈夫。軽快に進んでいきます。

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 微妙にルートは変化していますが、見渡せる景色は例年通り。頭の中は、はやくも「エイドでは何が食べられるかなぁ。ネギ味噌おにぎりは何個食べようかなぁ」と、食べることばかり。ほとんど、食べるために参加しているようになってきました。

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 3回目の出場。イベント特有の緊張感なども良い意味で薄れてきたので、今まで気付かなかった細かな事に気付きはじめます。

 従来ならばルートを間違えちゃマズイと、青い案内板に注目していましたが、だいぶ道も把握しているので「ここを曲がるとどこに繋がっているんだろう?」、「田んぼの横にあるこの道を進むと、あの山にたどり着きそうだな」などと、ルート以外の道も気になってきます。

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 象徴的だったのが、序盤に視界に飛び込んできた激坂。緩いアップダウンが続き、そろそろ刺激が欲しくなってきた頃に、おあつらえ向きに登場した激坂に、周囲の仲間も「キタ━━(゚∀゚)━!!」、「えー、これ登るの?」、「キツイわー」などと文句を言いつつ、顔が笑っています。坂バカの病的な習性と言えましょう。

 しかし、激坂に挑む直前になり、そこはルートではないと判明。考えてみれば、そんなにキツイ激坂がイベントのルートに選ばれるわけはありません。「よかったー」とか言いつつ、ちょっと心に寂しさが去来。別に好き好んで辛い思いがしたいわけではないのですが、「あんな坂が現れたら挑むのがお約束だろう」という気も少しします。

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 坂ジャンキーな私ゆえの、AACRルートとの微妙な“ズレ”を感じながらも、エイドを通過していきます。朝ごはんのジャムパン、お菓子のあずさ、そしてこれを食べずにはAACRに参加したとは言えないネギ味噌おにぎり。

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 「ホントに美味しいから」と誘った手前、初参加のあきあきさん、りおんさん、しんぱちさん達も「美味しい」と言ってくれて一安心。

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美味しくて止まらない



e3e05b84何個食ってんのwww



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 (ゆっこさんとまっつーさんは、可愛いオリジナル猫まみれジャージで参加。捕まった宇宙人あきあきさんは、レモン牛乳ジャージ!)

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  各エイドでグルメ以上に嬉しかったのが、このブログを知っていて、声をかけてくださる人がいた事です。

 実は、前日の出走受付の時にも「へるはうんどさんですか? いつも読んでます」と声をかけていただいたのですが、当日のエイドでも、声をかけられる事がしばしば。後から数えてみたら、合計12人もの方に声をかけていただき、驚くばかり。

 それにしても気になるのが、何故私だとわかったのか? という点。エイドには無数のローディーがいるわけで、どうやって気付いたのでしょう? 

 他のブログと比べ、写真点数は多いと思います。しかし、撮影している私本人はめったに出てきません。頻繁に背中が出てくるのは、ゆっけさん、とーるさん、トミィさん、へまさんあたり。彼らが声をかけられるなら、まだわかります。

 そこで、声をかけてくれた方に「ちなみに、なんでわかりました?」と聞いたところ、最も多かったのがバーテープ。

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 なるほど確かに、赤黒シマシマバーテープはあまり見ないですし、ブログの動画では常にバーテープが見えているので印象に残りやすいのでしょう。

 そして想像はしていましたが、「人違いだったらどうしようと思ったんですけど、声を聞いたら一発で確信しました(笑)」という返答も。私の声は男としては高いので、特徴ではあります。

 そして意外というか盲点だったのは、「カメラを斜めがけしているから」、「RX100を持っているから」、「ストラップの記事読んでたので」という声。確かに言われてみれば、わざわざカメラを背負っているローディー自体少なく、それでいて大きな一眼レフやミラーレスではなく、コンパクトなRX100を持っている人は限られています。さらに言えば、私の周囲にいるローディー4、5人がRX100を持っているという異様さも目立つのでしょう。

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 生来のコミュ症が災いして、声をかけていただいても御礼を言うくらいで精一杯なのが情けないところ。なにかこう、飴か何か、お返しするモノでもポケットに入れて来ればよかったと、後悔しきりでした。

 それにしても奇妙なのが、「ブログで紹介していた◯◯峠に行ってみましたよ!」という話ではなく、「◯◯峠を走ってください」というリクエストを何人からか頂いた事。「◯◯に凄まじいのがあるので」、「笑えるほどキツいのがあるのでぜひ行ってください」などと笑顔で言われます。笑顔で死刑台を指差して、行けと言われているのと大差はないのですが、ローディーのM伝染気質が端的にあらわれていると言えましょう。「血の味指数が知りたいので」と皆さん言いますが、代わりに調べてきてください(切実)。


-5xqteuTちなみに女子ローディーに話かけられると、頑張って会話しようとしてて面白いです


e3e05b84撮んな



-5xqteuT会話のネタ探しに「これがよく出てくるゆっけです」とか紹介すんのやめてください


e3e05b84逃げんな



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 木崎湖に到着しました。

 事実上、私の中でのAACRゴールはこの場所。許されるのであれば、コースも何も関係なく、あとはここでボーッと夜まで湖畔に座っていたいところ。

 ギャグだと思われるかもしれませんが、若い頃、木崎湖近くで意味もなく車中泊した事もある木崎湖廃人です。

 実際、そこまでのんびりできませんが、今回は120kmで終わりにすると決めているので時間に余裕はあり、昨年と違い、ゆっくり記念撮影はできました。

 120kmコースのUターン場所は、この木崎湖。あとは松本方面へと戻るだけです。

 ちなみに、キルハさん達のグループは、サイクルトレインというプランを選択。160kmのコースを走り、Uターンはこの先にある白馬ですが、そこでライドは終わり。あとは貸し切りのサイクルトレインに自転車を乗せ(輪行袋に入れず、そのまま乗せられる)、電車でスタート地点付近まで戻れるというもの。美味しいとこどりのプランとして、このサイクルトレインプランはとても良さそうでした。

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 木崎湖からのUターン直後、ちょっとしたヒルクラポイントが現れます。高低差は140mくらいでしょうか? プチ峠という感じの場所で、深い森の中を走る気分が少し味わえます。

 案の定、木崎湖で「ここは俺にまかせろ」的に前を牽いていたハズが、ヒルクラがはじまった途端にガンガン抜かれるしまつ。追いつきたいですが、美ヶ原ダメージが抜けきらず、へロへロと登っていくだけ。初回参加時からそれほど走力がレベルアップしたとも思えませんが、自分があとどれくらい走れるのか、登れるのかは、よく把握できるようになったので、心に余裕ができたのが大きな進歩と言えます。

 そういえば初回参加時は、どんなペースで走れば、制限時間内に戻れるのかもサッパリわからず、早い人達のトレインのお尻について、がむしゃらにクランクを回していたなぁなんて、ずいぶん昔の事のような気持ちで思い出していました。

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 雪が残るアルプスの山々を横目に見ながら、田園風景の中をまったり走り、エイドであれこれ食べながら、余裕をもってゴール。実にゆっくり、まったりと楽しめたAACRとなりました。

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 沢山のローディーと共に、景色の良い道を、しっかりしたサポートを受けつつ安心して走るというのは、なかなか得難い経験です。「こんなに沢山のローディーがいるのか」、「補給もしっかりできる」、「木崎湖にも行けちゃう」と、初めてイベントに参加した私が感動したのも、そうしたポイントです。それは今回のAACRでも変わっていません。

 AACRは間違いなく、ロードバイクに乗り始めてあまり時間が経っていないとか、レースは怖いけどファンライドイベントには参加してみたい……というような人には、とてもオススメできるものです。

 変わったのは私の方です。視界の両脇に、常に存在している凄まじい山。そして、時折ルートの横に現れる、薄暗い林道、人間が住む村と、厳しい自然世界の境界線に存在する道祖神。もしルートや制限時間がなかったら、フラフラと誘われて、迷い込んだり、みっちり撮影したいスポットの連続です。

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 風景の面でも、ヒルクライムスポットの面でも、写真的な魅力の面でも、長野は日本屈指のレベルにあります。にも関わらず、私はまだこの王国を、あまりにも走っていません。せいぜい、峠の王・乗鞍に挑んだのと、昨日美ヶ原から逃げ帰っただけです。

 あそこも行ってみたい、あそこも登ってみたい……そう考えてしまうようになった今の私は、もしかしたらAACRと距離をおく時期に来ているのかもしないと考えています。

 ライドイベントという枠ではなく、思うがままに長野を走る。そして、「もういいや」と思うようになってから、AACRに戻り、まったり走るというのも、きっと悪く無い気分のはずです。

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