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(読了後再生推奨/画質は720/60p、1080/60pがオススメです)
巨大な恐竜の背骨を進むような奥武蔵グリーンライン。一度入ってしまうと、絶え間ないアップダウン攻撃に晒され、HPと脚力が激減します。
深い森の雰囲気は抜群ですが、補給場所も少なく、なかなか難易度の高いコースなのは今まで何度もレポートしてきた通り。要するに“尾根幹の大自然上位互換バージョン”のような道です。
深い森の雰囲気は抜群ですが、補給場所も少なく、なかなか難易度の高いコースなのは今まで何度もレポートしてきた通り。要するに“尾根幹の大自然上位互換バージョン”のような道です。
しかし、この奥武蔵グリーンラインには1つの伝説が。それは、“グリーンラインをアップダウンしながら走るよりも、途中からグリーンライン本線に入ろうとする坂道の方がキツイ”というもの。途中から本線に上る道は何本か存在が確認されており、その中には“飯能の影の魔王”と噂される高山不動尊なるヒルクライムルートも存在するとかしないとか。


そういえば、以前“名前が可愛い感じだからたいした峠じゃないでしょ”と挑戦したら、両足モガれて叩きのめされた“白石峠”も、下界から奥武蔵グリーンラインの一部へと途中参加するためのヒルクラルートと言えます。要するに、あんなレベルの魔神が、グリーンラインからは幾つも枝分かれしているのでしょう……。
そんな恐ろしげな話は横に置いておいて、この日は楽しいグルメライド。飯能からスタートし、ローディーに優しい街・シロクマパンでも知られる越生(オゴセ)や、その奥にあるときがわ町あたりを少しウロウロして、美味しいうどんでお昼ごはん。夕方には、醤油を作る現場を見学でき、醤油グルメに舌鼓がうてるという世にも珍しい“醤遊王国”なる施設にもお邪魔しようというトミィさん発案のグルメポタライドです。


御存知の通り、長期入院で脚力が木綿豆腐レベルにまで低下した私。本格的な長距離山岳ライドに対応できるわけもなく、うどん食って、醤油飲んでまったりするくらいのライドがむしろちょうどいいだろうと軽い気持ちで参加……したのが大間違いでした。

飯能の街を抜けてしばし。緑が増え始めたところで、いきなりのウェルカム14%。寝起きの脚が引きつけを起こします。



悪態をつきながらハァハァ登っていくと、視界の隅に「高麗川カントリークラブ」という看板が。ローディーならわかると思いますが、ゴルフ場は山を切り開き、「どうせ来るのは高級車に乗ったオッサンばかりだから」と、斜度とか考えずにとにかく道路を敷いたような場所が多く、激坂の宝庫。「カントリークラブの文字を見たら脚が痙攣すると思え」という格言すらあるほどです。
涼しい顔で登っていくDeroさん、トミィさん、HAOさん、ゆっけさん、mkさん、りおんさんらを、最後尾から恨めしそうに見上げて登り続けると、激坂終了。カントリークラブ周囲の坂は、キツイですが距離が短いものが多いのが救いです。


しばしのダウンヒルの後、また斜度がアップ。それも再び15%程度の激烈な坂です。苦痛にあえぎながら、ふと視界の端に「さいたまゴルフクラブ」の看板。ヒーヒー言いながらクリアして先に進むと、また激坂。酸素を求めて顔をあげると、「エーデルワイスゴルフクラブ」の看板……


すっかり忘れていました。登坂能力の高いトミィさんは、無類のカントリークラブ坂好き。地図にカントリークラブがあれば、とりあえずそれを結んで奇怪なルートを生み出すのがライフワークだったのです。おおよそのコースは前日に予習していましたが、そこがゴルフ場なのかどうかはチェックしておらず、完全に私の誤算です。



エンドレスゴルフ場攻撃で脚をゴッソリ削られた後で登場するのは、本格的な峠。どうやら奥武蔵グリーンラインへのエントリー峠が登場したようです。
このあたりはほとんど走ったことがないので、何処がどうなっているのかサッパリわかりませんが、緑が豊富で車も少なく、峠としてなかなか良い雰囲気。 斜度が9%、10%当たり前なのがちょっとキツイですが、ヒルクラの醍醐味を味わえる良い場所です。
たぶんこのルート、みもりさんとかが前に引いてたのと一部かぶってますよね
このあたりはほとんど走ったことがないので、何処がどうなっているのかサッパリわかりませんが、緑が豊富で車も少なく、峠としてなかなか良い雰囲気。 斜度が9%、10%当たり前なのがちょっとキツイですが、ヒルクラの醍醐味を味わえる良い場所です。





だいぶ登ってきて、見晴らしも良くなってきました。標高や300m、400m程度。このクラスのデコボコが連続する魔界ぶりは、まさしく奥武蔵グリーンライン。
長時間登り続けなければならない山と比べると、早く登り終わって気楽ではあります。ただ、奥武蔵の場合は楽に登れない斜度ばかりで、短くても強烈です。頂上で長時間休む流れにもなりにくいので、結果的に、激坂わんこそばのダメージがボディーブローのように効いてきます。
同時に、まだ脚力が復活していないので、激坂でふんばりが効かず、体幹も弱まっているのでフラつくしまつ。それでも気力で登るしかありません。
しかし、そんな私をあざ笑うかのように、今までとは斜度がワンランク違う、凶悪ゾーンが出現。悲鳴を上げながらサイコンに目をやると、18%、20%というアホみたいな数字が現れはじめました。

どうやらここが序盤のクライマックスゾーンのようです。
場所がよくわかりませんが、恐らく桂木寺というお寺に至る激坂。脳の血管をドクドク言わせながら、フルパワーで登り切るしかありません。サイコンを見る余裕はほとんどありませんが、20%を越えているのは間違いなく、瞬間最大で23%、24%程度はあるようです。

必至に登っていると、先にゴールした皆の姿が見えてきました。ついでに、地元の小学生でしょう。突然現れたローディー集団にテンションが壊れた少年が、皆に楽しそうにまとわりついています。
やがてその少年が、坂の下から今にも死にそうな形相で登ってくる私を発見。面白いおもちゃを見つけたとばかりに、坂を駆け下り、「なにやってんのー」、「ねぇー」と、まとわりついてきます。


結果的に、小学生(徒歩)と、私(ロードバイク)のヒルクラデッドヒートの図式が完成。頂上からその激戦を撮影しようと、皆がカメラを構えているのが見えます。ここはお笑い的には私が最後尾となり、「歩いている小学生にすら負ける奴」という写真を撮られるのが美味しい展開と言えます。

しかし、精神年齢が小3の私に、そんな大人なお約束空気は通用しません。カメラマンの期待を一切無視して、フルパワーダンシング。追いすがる小学生(徒歩)を華麗に引き剥がし、ゴールを決めました。



なんとか脚つき無しでクリア。見晴らしの良い駐車場に到着し、ボトルの麦茶をがぶ飲みしながら、息を整えます。ついでに、さらにまとわりついてくる小学生に、かつて同級生が泡を吹くまで攻撃の手を緩めなかった事から"くすぐりの鬼”と恐れられた、禁断の秘儀を炸裂させて悶絶させながら、風景撮影をこなします。

風景のついでに、mkさんの新ホイール(レーゼロ)と、ゆっけさんの新ホイール(R-Sys)も激写。
補給食のチョコバーをかじりながら、激坂で失われた体力の回復にも努めます。








20%オーバーの激坂を倒し、頭の中ではサライが流れはじめていますが、ご褒美の昼食はまだのようです。ここからさらにアップダウンをこなし、観光スポットの「上谷の大クス」に向かいます。

大クス、ようするに楠の木の巨木の事。楠の木と言えば、日本人は「トトロ」を思い出しますが、あんなような巨木がこの先にあるようです。それは撮影せねば!!





再び登場する10%オーバー、時に15%にも迫るヒルクラ地獄。急峻なヒルクラとダウンヒルを幾つも乗り越えて、神秘的な楠の木を追い求めていきます。




そろそろ「楠の木とかどうでもいいよ」、「昼ごはんのうどん食べさせて」という心境になってきた頃、古びた民家が目の前に現れ、その民家の裏に、今までの森とは明らかにスケールと雰囲気の違う巨木が現れました。どうやら「上谷の大クス」が現れたようです。


でwwけwwえww

昭和63年度の環境庁調査において、全国巨木ランキング16位、そして埼玉県では第1位という上谷の大クス。
幹周りはなんと15メートル、高さは25m。樹齢は300年以上で、1300年という伝承もあるとかないとか。
見上げると、視界の全てを枝葉で覆い隠してしまうかのようなスケール感に圧倒されます。

皆、地面にカメラを置いたり、寝そべったりしながら、この大木のスケール感を写真に収めようと頑張っています。私もカメラ(RX100M3)を取り出しますが、このドギャーン!! というスケール感を表現するには、広角24mmでは心もとなく、できれば10mm台の超広角レンズが欲しいところです。
レンズの表現でスケール感を出すことが出来ないのであれば、工夫するしかありません。とてつもなく大きなものを、「とてつもなく大きいんだよ」と表現するには、対比が一番です。何か対比として使えそうなものはと、キョロキョロ。

少し戻ったトコロに、古い民家というか、納屋のような建物がありました。これが使えそうです。

大木のスケール感を伝えたいと、24mmの画角いっぱいに楠の木を配置した写真が上のもの。確かに木の広がり具合はわかりますが、異様なほど大きいのかどうかは、正直よくわかりません。

木が画面内に占める面積は少なくなりますが、右側の手前に納屋の屋根を配置。さらに、巨木の下にある観光用階段の手すりもあえて入れ込んで撮影します。人間が普段の生活の中で、おおよその大きさを知っている物体と一緒に撮影する事で、見慣れたサイズの中にある、異様な大きさのモノが際立つ写真になります。




しばし、深い緑の空気の中で時間を忘れてシャッターを切ります。
頭をからっぽにしながら、ひたすら肉体的な負荷に耐えるヒルクラをした後で、絶景と出会い、頭を使って工夫しながら静かに撮影を楽しむ。まったくベクトルの違う行為が、自然と組み合わされているのが、ヒルクライム+撮影旅の魅力と言えましょう。

巨木のふもとから、ふと下に視線を向けると、地面に寝そべって必至に撮影しているHAOさんと、そのHAOさんのおもしろ撮影ポーズを必至に撮影しているりおんさん、そんな二人の様子を広角で撮影しているDeroさんという、アホな風景がwww

外野からどんな風に見られていようがお構いなし。アングルを探して貪欲に姿勢を変えるHAOさんの撮影スタイルは、確かにはたから見ていて面白いです。同時に、外野のノイズも耳に入らないほど撮影に没頭し、よりカッコよく、より素晴らしく写すためにはどうしたらいいのか? と、自問自答しながらシャッターを切り続ける事こそが、写真撮影の根源的な面白さとも言えます。逆にそれがない限り、絶対に撮影の腕は上がりません。



大クスの撮影を楽しんだ後は、いよいようどんを食べに……といきたいところですが、どうやらまだまだ地獄は終わらないよう。
うどんの前に、今回のコースで最高高度となる「弓立山」まで登る事になりました。


なんだよこの斜度www
先ほどの小学生坂で20%オーバーが普通に現れる事はわかりましたが、それ以外の場所でも、普通に18%程度の坂が連続して登場します。さすがは奥武蔵、常識が通用しません。

正午は過ぎており、お腹もすいた中での激坂コンボは強烈です。たまらず、途中の休憩施設で最終手段のピーチネクター投入。美味しいく、冷たく、カロリーも補給できる夢のドリンク。理想を言えば、ピーチネクターを超える禁断の最終秘儀・ピルクルを投入したいところですが、奥武蔵にはロクにコンビニも無く、自販機のピーチネクターで我慢するしかありません。



その後も10%斜度にあえぎ続け……

急に視界が開けた場所へとたどり着きました。

弓立山頂上制覇!! ヽ(=´▽`=)ノ




見晴らしは最高。白石峠の先にあり、約900mの標高を誇る堂平山には敵いませんが、逆に高さが400mちょいであるため、眼下の街が近くに見えて、高いところにいるんだなぁという迫力はこちらの方が上かもしれません。

視界を遮るものが無く、面白い写真も撮影し放題。


頂上の草むらを走るローディー。背景の山と、地面の草をズームで圧縮して切り取ると

まるで谷底にダウンヒルしていきそうなフェイク写真の出来上がり。遠くのモノを近くに引き寄せて、圧縮するレンズの効果が出ています。



HAOさんやへまさんの悪影響を受け、Deroさんまで不思議なポーズでの自撮りをはじめたwww



頂上で撮影を心ゆくまで楽しんでいたら、お腹がグーグー鳴ってきました。
そろそろ下界に降りて、お昼ごはんにしましょう。



辿り着いたのは、ときがわ町の「やすらぎの家」。
100年以上前の古民家を移築した農山村体験交流施設で、地元の代表的な味覚である「うどん」も楽しめるというお店。2階はギャラリーになっていて、予約すればうどん打ち体験もできるのだとか。








コシのあるうどんに、豚肉の旨味が良く出たつけ汁がマッチ。武蔵野うどんにも似た、野趣あふれる美味しさが、ヒルクラに疲れた体に染み渡ります。
お店の中も広く、席もたくさんあるので、ローディーが集団ライドで立ち寄るお店としてもマッチしていそう。ちなみにこのお店がある道をさらに奥に進むと、白石峠が現れます。白石峠アタックをする人達には、有名なお店のようです。

お店の前と横には、見事な菜の花畑が。
もちろん、黄色の絨毯もカメラで切り取ります。


ん? 右の奥から何か視線を感じる……

なwwんwwかwwいwwたwww


クオータ三連星も、菜の花バックでパチリ。左からトミィさん、mkさん、Deroさんの愛車。しかしDeroさん何台自転車持ってんだ。


以前紹介したときがわベースも立ち寄りつつ、越生や飯能方面に戻りましょう。
その帰り道の途中に、醤遊王国に寄るという流れです。



幹線道路を巡航中。
先頭のDeroさんが、背後の我々をチラ見。



平地が得意なmkさんが、新ホイール(レーゼロ)を導入したとのことで、その威力をテストすべくDeroさんの高速列車が発車。mkさんは果敢についていきますが、私はしばらく食らいついたものの、脱落。2人はあっという間に視界から消えていきました。あんだけヒルクラしといて、どこにそんな元気が残ってるんだかもう。



この醤遊王国、弓削多醤油(ゆげたしょうゆ)という醤油屋さんが営んでいるもので、醤油の作り方、使い方、保管の仕方、種類や食べ方などを楽しく学ぼうという、塩分多めのディズニーランドのような施設。
当然、施設内にはもろみの様子、搾り粕を間近で見れるゾーンや、醤油しぼりを体験できる装置などが用意されています。



醤油トレーナーってなんだよ






(本当はソイキングと小麦ちゃん)

ちなみに2階では、醤油を使ったグルメも堪能可能!!
しぼりたての醤油と、専用醤油を使った卵かけごはんに

醤油ソフトクリーム!!

醤油ロール!!

醤油ロールを除いて、どれも非常に美味。特に、卵かけごはんの美味しさは筆舌に尽くしがたく、思わずお土産に醤油を買ってしまいました。

さらには、利き酒ならぬ、利き醤油コーナーも。
刺し身醤油、だし醤油などのよくあるものだけでなく、梨の味のする梨醤油、ゆず醤油など、ビックリするようなモノもイロイロ。「すげえ!! 梨の味がする!!」とか言いながらチビチビ舐めていたら、結構な量の醤油を飲んでしまいました。まあ、ヒルクラで消費した塩分の補給と思えば……





そして飯能駅に帰還。
……終わってみれば、激坂、絶景、大木、グルメと、様々な要素がまんべんなく摂取できた満足度の高いコース。ただ、激坂の激坂っぷりが凄まじ過ぎるのを除けばの話ですが。奥武蔵グリーンラインは、本線以外も恐ろしいったらありゃしません。
今回、しおいんDEATHライドを参考にさせてもらって大クス見に行ってきました( ˊᵕˋ )
カントリークラブ坂楽しかったですww
スタートが遅くて、弓立山には行けなかったので次回再チャレンジしてみます!!