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 登り切るまでのタイムを競うような事は基本的にしない私。それゆえ、私の“走力”を客観的に数値化する事は困難です。このブログの右上にある(PC版のみ)「血の味ランキング」も極めて主観的な評価で、客観性は皆無です。

 しかし、斜度の数値に注意してみると、一定の法則のようなものは存在します。例えば以下の様な感じです。

  • 5~6% 誰かと喋りながらクリアしていける普通の坂道
  • 9~10% キツイ坂道で顔をしかめる
  • 11~14% 聞いてない、死ぬ、などの泣き言が増える
  • 15~20% 殺される
  • 20~23% 最終決戦
  • 24%~ ダンシング封印解除、そして昇天

 このような“斜度に対する感じ方”は、どんなヒルクラポイントに出かけたレポートであっても、大きな違いはありません。

 それゆえ私は、こうした“斜度に対する感じ方”がずっと昔から、つまりロードに乗り始めた頃から同じなのだと思い込んでいました。昨日までは……。

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 2月のあたまに高熱を出し、第2週から肺炎で入院。10日ほどの入院生活を経て退院しましたが、肺炎というのはスパッと完治せず、文字通り“肺の炎症”が綺麗に消えるまでは退院後、数週間かかると言われました。

 炎症がまだ残っているので、微熱(36.7~37度ほど)も残っています。それゆえ、退院しても「さーロードに乗るぞ!!」とはいかず、土日になっても「まだ安静にしていた方が良さそうなぁ」と布団の中で薬を飲みながらゴロゴロ……。気づけば2月が終わってしまいました。

 要するに私はほぼ1カ月の間、ロードバイクどころか、ほぼ運動をしませんでした。入院期間中はまったく脚を使わず、退院後に仕事場には行っていたのですが、それも駅の階段を昇り降りする程度。いつもはヒルクラの訓練と称して、駅の階段を1段飛ばしでゆっくり登っているのですが、退院後に同じように登ってみると、左右にフラつくしまつ……。

 前回お伝えしたように、入院生活で体重は2kgほど減り、「ヒルクラが楽になるかも!!」とか喜んでいましたが、そんな生活を続けていたので、あっという間に入院前の体重にリバウンド。とどのつまり、脚力がボロボロに落ちたままで、体重だけ元に戻ったという、完全なダメピザ化したわけです。

 そんな漬物石ピザ野郎が、ヒルクライムしてみるとどうなるか? 微熱が下がってきて、医者にも「運動しても大丈夫だよ」と言われていたので、ロードに乗ってみる事にしました。最初は「1人で多摩湖あたりまで平地を走るか」と考えていましたが、あきあきさん達が土曜日に都民の森を登るとのこと。

 1カ月脚を動かさなかったピザがヒルクラでどうなるかを検証するためには、それなりのヒルクラポイントに挑むべきではないかと考えなおし、左右にフラつく脚で輪行袋を抱えて武蔵五日市駅へと降り立ちました。

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 まだ走り出してもいませんが、この時点で、ブランク期間を痛感する2つの問題が発生。

 1つは「輪行袋への収納+展開がクソ遅くなっている」事。あれだけ輪行袋を使い、収納のスピードも誇っていた自分なのに、「えーと、これはどうやるんだっけ?」と、完全に手順を忘れていて愕然とします。輪行が苦手だという人をよく見かけますが、それまで毎週のようにやっていたのに、1カ月やらないだけでこのていたらくです。苦手だと言ってまったくやらなければ、苦手は永遠に克服できません。

 2つ目はウェアのチョイス。なにせ私の中での「屋外の寒さ」は、1月の情報で止まっています。都民の森の頂上は寒いだろうと、当然のようにインナー2枚(アンダーアーマーコールドギア+モンベルジオラインミドル)に、裏起毛長袖ジャージ、ジレ(ベスト型の上着)を着て行ったところ、駅前に到着した時点で汗をかいているという間違え具合。こんな状態で登れば汗だるま化は確定。さっそくインナーを1枚脱ぎました。

 ロードバイクにまたがるのも1カ月ぶり。少し練習して操作を思い出したら、登り始めます。

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 まずは檜原村役場まで。何度も走った道で、斜度が増えてくると当然のようにインナーローを選択。脚を極力使わない登坂スタイルは1カ月前と同じで、いつもと何も違わない登り方のハズです。しかし、何か違和感があります。役場に到着し、T字路を左折。本格的な峠道がはじまったあたりで、この違和感は確信に変わりました。

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e3e05b84まったく脚がまわらない

 大きく2つの意味で脚がまわりません。

 1つは「綺麗なペダリングを忘れている」事。もちろん、引き足を主体に“踏み3.5:引き6.5”という私の中での“ペダル回しパワー配分”の感覚は残っています。しかし、そのパワー配分で脚を回そうとしても、クルクルと綺麗に回らず、ピョコピョコと左右の脚の回転が不規則で、“暴れ”が出てしまいます。

 もう1つの“まわらない”は、斜度がゆるいのにケイデンスを上げられないという意味です。GARMINを見ると、斜度は5~6%。いつもなら、バカ話でもしながら登っていられる数値ですが、脚がまわらず、ケイデンスも落ち、スピードは10km付近をウロウロ。喋っている余裕はなく、自分に何が起こったのかわからず、軽いパニックに陥ります。

 GARMINが表示している斜度と、自分の脚にかかる斜度の負荷がまったく一致しないのです。ペダルの重さ感覚としては、10%、11%。「キツイわー」と言いながら、一生懸命クランクを回さなければならない坂道の感覚。しかし、GARMINに目をやると、斜度は6%と表示されています。

e3e05b84いったいなんだこれは

 悩むまでもありません。ほぼ1カ月、脚を使わなかった事で、脚力がガタ落ちした結果です。頭では理解できますが、このペダルの重さ、脚の回らなさっぷりには、ショックを受けます。

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 Deroさん、とーるさんは言うに及ばず、いつも私をペースメーカーとして使い、一緒に登っていくあきあきさん、りおんさんまで既に視界の彼方へ。あまにの遅さを心配して、ゆっけさんが路肩に止まって待っています。

-5xqteuTえ、マジで回らないんですか?



e3e05b84ハァハァ……
マ、マジどころじゃない……


 気温は13度ほど。ウェアチョイスのミスも手伝い、気付けば汗だく。サイクルキャップのつばから、ポタポタと汗が落ちています。ジレも脱いで背中ポケットに収納し、長袖ウェアの前は全開。

-5xqteuTそんなに汗かいてると熱中症とか塩分・水分不足も心配だから、ミネラル麦茶ちゃんと飲んで


e3e05b84ゴクゴク……ま、まだ上川乗の手前なのに半分も飲んでる……



 ギャグでもなんでもなく、過去最高に辛かった真夏の大弛峠に挑んでいるかのような心境。ゆっけさんは軽々と前を走っているのに、私だけがズタボロになっている状況が、ショッキングでもあり、奇妙で笑えてすらきます。

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 上川乗を過ぎると、斜度がワンランクアップするのが都民の森の特徴。と言っても、基本は7~8%程度で、時折瞬間的に9~10%が出てくる程度。

 しかし、今の私にはそれすら致命的です。斜度がきつくなると、いつもは最終手段的にしか使わない、踏みこむペダリングを解禁。脚がすぐに無くなるので激坂にしか使いませんが、そんなことを言っていられる場合ではありません。

 けれど、力強く脚を踏み込んだ瞬間、今までのショックをさらに上回る衝撃が走ります。


e3e05b84踏み込めないww


 当然ながら、強く脚を踏み込むためには筋肉が必要です。しかし、その筋肉がいつのまにかどこかへお引越ししてしまったよう。踏み込もうにも、足に力が入らず、ペダルを押し下げられません。

 例えるなら、太ももが豆腐で出来ているかのよう。無理やり力を入れたら、豆腐を突き破って骨が出てくるのではないかと心配になるほど、自分の太ももがプルプルと柔らかく、弱々しいタンパク質の固まりにしか感じられません。

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 踏めず、引き上げられず、ペダルが回らない。それだけでもお手上げ状態なのに、さらなる追い打ちが。

-5xqteuT左右にフラついてる、しっかりして!!



 後ろからゆっけさんに言われてハッと気づきます。ハンドルがプルプルと左右に揺れ、一直線に走れていません。腕の力は関係なく、これは体幹が不足している証拠。ロードバイクの姿勢と進む方向を安定して固定する体幹が無いと、左右のペダルに伝わる力の乱れがそのまま車体の乱れになり、それを抑え込めずに左右にフラフラしてしまうのです。危ないだけでなく、推進力が無駄になってしまいます。

 もはやボロボロ状態。なんと数馬の湯あたりでドリンクまで飲み尽くしてしまい、急遽自販機で補給(この先に補給ポイントがほぼ無いため)。

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 旧料金所に到着した頃には、風張林道を相手に戦っているかのような幻影まで見えはじめました。

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 体がダメなら、残る武器は気力しかありません。都民の森ごときでリタイアするなど、許せるわけもなく、「こんな状態でも回していればたどり着くハズだ」と念仏のように唱えながら進みます。

 しかし、最終区間を半分過ぎた頃には、両足も釣り気味、背中も痛く、両脇も張り気味。さらに

e3e05b84尻が痛い

 久しく感じた事がなかったので、すっかり忘れていました。ロードに乗り始めた頃はよくありました、尻の痛み。あの懐かしい感覚が襲いかかってきます。

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OK-NBhMoでも病み上がりでここまで登れてるのはスゴイよ!



 既にゴールして戻ってきたDeroさんが褒めてくれますが、太ももが豆腐なら、もはや尻はシュークリームのようなふんわり具合。サドルが柔らかいシュークリームに突き刺さり、顔をしかめる痛さ。尻の筋肉までとなり町にリハウスしてしまったのでしょう。意地だけで都民の森に到達しましたが、崩れ落ちたのは言うまでもありません。

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 他のメンバーは当然まだまだ走れるので民宿浅間坂から入間白岩林道へ。

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 私もグロッキー状態ながらついて行ってはみましたが、12、13%など、10%を超える坂の出現で悶絶。

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 足も攣り、汗冷えもして、病み上がりに無理は禁物と判断。山の空気を吸い込んでリフレッシュした後、皆に離脱を告げて、たちばな屋さんのラーメンで暖を取り、一足先に帰路につきました。

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 入院だのなんだので1カ月ロクに足を使わないとヒルクラはどうなるのか?

 結論:壊滅的に登れなくなる


 無慈悲でショッキングな結論による心のダメージを低減するため、1つだけ“良かったこと”を挙げると……。

 週一しかヒルクラしてない俺でも、ある程度鍛えられてはいた

 失ってはじめて大切さに気付く事は人生の中で多いですが、ローディーにとっての脚力や体幹、尻の筋肉なども同じものと言えるでしょう。筋トレもせず、減量もせず、単に週末どこかの峠に遊びに行っているだけの生活。ロードに乗り始めてから、脚力はたいしてレベルアップしていないと思っていましたが、そんなことはない、あれでも少しはレベルアップになっていたのだと、超絶レベルダウンして初めてわかりました。

 逆に言えば、近場の街中を走るだけとか、峠や山に興味はあるけど怖いから行ったことがないという人は、初めて山に挑むと、恐らくこのようにズタボロにされます。しかし、惨敗したからといって、また何週間も登らないと、全てがリセットされてしまい、行くたびにズタボロになります。

 よく仲間内で「2週間も登ってない」、「毎週登らないと怖くて震える」とかギャグっぽく話していますが、ギャグではありません。思えば最初に挑んでズタボロにされ、ヒルクラにトラウマを負って坂道から逃げまわるキッカケとなったのが都民の森でした。あの山は、「登らなければ登れない」という当たり前の事を私に教えてくれる存在なのかもしれません。



 ……ちなみに、入間白岩を登り切った他のメンバーは、風張林道の入り口を鑑賞したり、美味しいカレーやプリンを食べて楽しんだようです。

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 コンポをアルテに換装したりおんさんのサドルに、白い怪鳥が住みついたり、いつの間にかDeroさんのカメラがRX100シリーズになっていたりと他にもイロイロありましたが、まずは乱れた精神を立て直すためにも、毎日スクワットでもするところから初めたいとおもいます(理想論)。

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