ブログネタ
ロードバイク に参加中!
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【↓ダイジェスト動画はこちら↓】
 (読了後再生推奨/画質は720/60p、1080/60pがオススメです)


 ヒルクラスキー毒に汚染されていくと、毎週どこかの峠を登らないと罪悪感に苛まれ、手が震え、ロードバイク仲間に「と、とりあえず2,000m登らない? どこでもいいから」という数値が主体の会話をはじめるようになります。

 手段が目的となる事を趣味と言いますが、目的地がメインではなく、登る事がメインとなる時点で、趣味人として新たな段階に到達していると言えましょう。

 しかし、わずかに冷静さが残っていると「単に登るだけじゃなくて何か目的を作らねば」という常識的な思考が頭をもたげます。その結果、「パン食べに行こうよ、1,500m登って」とか「プリン食おうよ、山ふたつ超えて」などの謎の文言を口にするようになります。

 本人は社会性を付与したつもりなのに、一般人から見ると余計に異様さが際立つこれらの不思議なライド計画は、専門用語で「ヘルめしライド」と呼ばれています。私が32分前にそう呼ぶ事に決めました。


OK-NBhMoへるさん、カレーうどん食いたくない?



e3e05b84うどん好きだよ、さぬきうどんとか。カレーうどんカロリー高そうだけど。



OK-NBhMoそれは消費できるから大丈夫。ルートはこんな感じでヨロシク。





e3e05b84え、ちょ……
距離98km、1,800mUPってなに!?


OK-NBhMo集合は武蔵五日市駅で



e3e05b84どこ!? どこなのこのカレーうどん屋
カレーうどん本舗・ニライカナイ店!?


 冷静に地図を見ると、お店は奥多摩の青梅駅の近くにある「根岸屋」さんのようです。

 スタートは武蔵五日市駅。そこからちょいと北へ行けば根岸屋さんですが、ルートはそうなっておらず、何故か正反対の都民の森方面へ。上川乗まで進み、そこから甲武峠、甲武トンネルへと進み、鶴峠へ。鶴峠を制覇した後、奥多摩湖へと下り、そこから青梅まで東へ爆走する……というコースのよう。

 私がHAOさん、Deroさんに連れられ、初めてキッチリ2,000mUPを果たした「武蔵五日市→甲武トンネル→鶴峠→奥多摩周遊道路→風張峠→武蔵五日市」というルートに少し似ています。それゆえ、キツさもだいたい想像はつくというもの……。

 また、今回はカレーうどんだけでなく、鶴峠で紅葉の撮影を楽しむという目的もあるようです。撮影しながらであれば、ゆっくりまったりペースで行けるハズ。それであれば力尽きる事は無い……かもしれません。

 かくして紅葉とカレーに釣られて、無駄に1,800mを登るライドが幕を開けました。

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 参加メンバーはお馴染みのDeroさん、と~るさん、HAOさん、私という4人。言わずもがな、私以外のメンバーは1,800m程度の登りであれば半笑いで駆け抜けられる脚力の持ち主。同時に、私がマイペース登坂しかできない事は百も承知のメンバー。今日は別に先を急いでいるわけでもないので、紅葉撮影しながらまったり最後尾を進むとしましょう。

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 まずは武蔵五日市駅から檜原村の役場まで。お馴染みのT字路を左に進みます。

 おのずと会話の中心は「役場から都民の森まで何分で登れれば速いと言えるのか?」。Deroさん曰く「55分~1時間の間で登れれば、“(普通の人の中では)まあ速い方だよね”」という評価。55分を切り、50分ジャストや50分を切るようなタイムを出すと“ちょっとおかしい人”になるのだとか。

 御存知の通り、速く登る事をまるで考えていない私にとっては異次元の話題。ただ、“普通に速い”と評価される人に対して、どれだけ自分が遅いのかという点に関しては、少し興味はあります。

 今回は都民の森までは上がらず、上川乗で左折し、甲武トンネルへと向かいます。Deroさんによれば、役場から上川乗まで20分程度で行ければ“偉い”とのこと。

 そう言われると、何分で上川乗までたどり着けるのか気になってきます。

 珍しくスピードを出してみようかと、インナーローではなく、3枚ほど残した状態で登坂を開始。柄にもなく歯を食いしばって時速20km台で登っていきます。


e3e05b84あー! がんばった!!


 上川乗どころか、最初の右カーブを過ぎたあたりでギブ。この勢いで回していたら、すぐに脚が攣ってしまいそうです。

 「攣るくらい追い込まないとダメ」、「攣ってもなんとか騙し騙し登り続けるのもスキル」というのもわかっていますが、エネルギーを小出しにしてなんとか坂をやり過ごすスタイルが身につきすぎていて、フルパワーで漕ぐ事に対して異様な恐怖感を抱いてしまいます。これは私の今後の課題と思われます。

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 とりあえず、後の3人に「ホラ先行って」と促し、自分はいつものペースで登坂を継続。綺麗に色づいた、道路脇の木々を撮影しながら上川乗へと到着しました。20分どころか、余裕で30分を突破しているような……。

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 ここから左折し、甲武峠へ。都民の森と比べると短い峠ですが、斜度はややキツ目。これを超えると甲武トンネルが現れ、山梨県へと入れます。甲武峠をダラダラ登りなが話していると……。

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OK-NBhMo知ってる? 甲武峠には野良犬が出るんだよ



pD95vJZ2_biggerああ、私も聞いたことありますよソレ。



BFQit6Dg_200x200こないだ入間白山でマジで野良犬に追いかけられたから、もう勘弁してくださいそういうのは



e3e05b84来たらカメラのフラッシュで撃退するしかないな……



 ワンワン!!

 そんな会話を待ち構えていたように、山間に響く犬の声……しかも声は複数聞こえます。

pD95vJZ2_biggerほら、犬の声!



e3e05b84え、もしかして群れ!?



 このメンバーで登坂している限り、背後から野良犬の群れに襲われたら、真っ先に食べられるのは最後尾の私です。気持ちペダルを回す脚にも力が入りますが、火事場のクソ力でもたいしてスピードが出ないのが悲しいところ。

 「ま、ホントに野良犬が出たら俺のナウシカレベルの博愛パワーで友達になればいいさ」と、根拠の無い自信を抱きながら、いつものゆるゆるスピードで登坂完了。幸い、野良犬と遭遇する事はありませんでした。

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 そのまま甲武トンネルを抜けていきますが、HAOさんによると、抜けてすぐの場所に、富士山が見えるビューポイントがあるのだとか。

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 以前走った時はまるで知りませんでしたが、なるほど、確かに遠くに富士山が見えています。紅葉のススキをバックに、日本情緒あふれる一枚をパチリ。登坂のご褒美としては申し分ありません。しかし、HAOさんはホントに峠のことを知り尽くしてるなぁ……。

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 甲武トンネルを抜けてダウンヒルを終えると、いよいよ鶴峠に挑みます。この鶴峠、以前も紹介したように大きな“フタコブ”になっているのが特徴。ペース配分に気をつけねばならない峠です。

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 すると、HAOさんから1つの提案が。

 なんでも、1つ目のコブを登る途中に現れる集落から脇道に入ると、地元の人達が生活道路として使っているマイナーな峠が出現。それを登れば、2コブ目の手前に到達できる……のだとか。

 そちらの峠の方が自然豊かで紅葉もおそらく綺麗、距離は短く、斜度もさほどキツくなかったハズ……とのこと。

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 どうせならば、新しいルートを走ってみたい、それが楽なコースであればなおさらです。

 しばらく進むと、HAOさんの言葉通りに集落が。その脇に、細い林道への道が現れました。どうやら鶴川という川に沿うように登っていくようです。
 
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 道には「権現山(ごんげんやま)の入り口」と書かれています。権現山と聞くと、当然四天坂の一角、子ノ権現が頭に浮かびます。

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“権現”とつく場所に危険な匂いしか感じないんだけど



BFQit6Dg_200x200確かにww



  と喋りながら山道の入り口にさしかかると……

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e3e05b84ぎゃー!!!


 いきなりのウェルカム10%オーバー。

 先を見ると、おそらく11、12、13%と斜度が上がっているようです。


e3e05b84HAOさんの“斜度が緩い”を信じた俺がバカだった……



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 ウェルカム激坂をボヤきながらダラダラとクリア。深い木々に囲まれた、雰囲気満点の山道へと突入していきます。

 斜度は緩くなり、7~9%程度でしょうか。文句を言うほどキツくはありませんが、鼻歌混じりで抜けられるほど楽ではないという絶妙な斜度。キツ目の入山峠のような山道です。

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 マイナーな道に間違いありませんが、路面は思ったよりも綺麗。落石は少しありますが、ガレているわけではなく走りやすいです。

 途中、可哀想に車に轢かれてしまったのか、狸が倒れている場面も。ここがかなりの山奥だと再確認しました。

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 斜度はさておき、HAOさんの言葉通り、紅葉撮影にはピッタリのロケーションです。

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 撮影を楽しみながら、集落のアップダウンを抜け、2コブ目の麓に到着。以前、蕎麦を食べた「羽置の里 びりゅう館」の前でしばし休憩した後、2コブ目の制覇にとりかかります。

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 鶴峠がどんな場所だったのか、だいぶ鮮明に思い出してきました。

 9~11%程度で推移する斜度、うねるようなカーブが多く、ライン取りで斜度がキツくなり過ぎないように調整。ゆっくりと、一定ペースを維持しながら登り切りました。

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 鶴峠制覇!

 続くダウンヒル中に登場するのが、竪穴式住居を再現した“原始村”。前回は対岸を走り抜けるだけでしたが、今回は寄り道して記念撮影して行きましょう。

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 しかし、このあたりでDeroさんの口から不穏な言葉が……。

OK-NBhMoカレーうどん、間に合うかな……



 お邪魔しようと思っている「根岸屋」さんは、月~土の営業は11時~15時、18時~20時の2部制。現在は12時くらいですが、15時までに行かないとお昼の部に間に合いません。ラストオーダーがわかりませんので、欲を言えば2時くらいにはお店についていたいところ。

OK-NBhMo少しペースをあげようか



 この言葉を合図に、奥多摩湖のほとりをDero&と~るの高速列車が発車。当然のようについていくHAOさん、その後の私は、半泣きでなんとか食らいつきます。
 

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 奥多摩湖から青梅方面は下り基調。しかしあくまで“基調”であって、ずっとダウンヒルではありません。細かな上り坂や平地も含まれており、山岳地帯の尾根幹のようなイメージ。ペースが一定に保てず、私にとっては一番苦手とするタイプです。

 「こういう高速アップダウンコースの方がカロリー消費には良いはず、痩せるはず」と、ひたすらポジティブな事を考えつつ、半泣きで追走。

 ギブアップしたくなってきた頃……Deroさんが車道と別れ、並行して走っている“むかし道”に案内してれました。

 この“むかし道”その名の通り、かつては“旧青梅街道”と呼ばれたもので、散策すると奥多摩の昔の風景に出会える事から、“むかし道”と名付けられたんだそうな。

 奥多摩駅から奥多摩湖まで、自然を満喫しながらゆっくり歩けるため、トレッキングの人達にも人気なんだそうです。

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 さすがは“むかし道”、紅葉の綺麗さは奥多摩随一。車も通らないので、安心して紅葉撮影が楽しめます。

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 さらに、途中には吊橋も登場。橋の上から紅葉も満喫できるロケーションも……

 カレーうどんのタイムリミットが迫っているのはわかっていますが、ついつい長居してしまいました。

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 「そろそろ行かないと……」と、思っていると、とーるさんの後輪から「プシュー!!」という音が。むかし道の石で、パンクしてしまったようです。

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 テキパキと修理は完了しましたが、思わずタイムロスの蓄積で、いよいよカレーうどんのリミットが危なくなってきました。

OK-NBhMo「最悪でも、2時半くらいまでに誰かがお店に入って“4人で”」と言えば大丈夫だろうから



 という言葉とともに、かっ飛んでいくDeroさん&とーるさん。2人の背中がかろうじて見える位置をしばらくキープしつつ頑張っていましたが、それも米粒サイズになり、遂には信号につかまりアウト。

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 それでも大きく遅れまいと、賢明にクランクを回し続けます。峠を登っているわけでもないのに血の味がしてきました。追い込めば、例え平地であっても血の味はするのです。本来であれば2人についていけるHAOさんが、ポイントマンとして先行組と私の間を繋いでくれて助かりました。

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 口から魂が抜けかかり、カレーうどん食う前に絶命しかかりましたが、なんとか2時過ぎに到着。

 お腹はもうペコペコです。
 
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 メニューを見てまっさきに浮かぶ疑問は

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 かれー丼 うどんってなに?

 Deroさんによれば、カレーの中にうどんも、ご飯も入っている

 とのこと

 なんだそれはwwwwww

 よくわかりませんが、炭水化物爆弾的なものである事は確かなようです。怖いので、無難に普通のカレーうどんをチョイスしたくなりますが、ブログネタも考慮し、カレー丼うどんを選ばねばならないでしょう。

 さらに通常のカレー丼うどんに加え、“TOKYO-Xカレー丼うどん”もあるとのこと。使っている豚肉が、青梅生まれのブランド豚肉として知られるTOKYO-Xになるという、少しゴージャスな仕様。せっかくだからと、“TOKYO-Xカレー丼うどん”を注文しました。

e3e05b84とーるさんは何にするの? 期待してるよ



BFQit6Dg_200x200なんですかその“TOKYO-Xカレー丼うどん”特々盛り以外許さないみたいな流れは


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e3e05b84並盛り、大盛りのさらに上の“特々”なんだから、絵的にも凄く面白くなると思うんだ。



BFQit6Dg_200x200まあ僕もブロガーですから、ネタに命は掛けますよ。



e3e05b84きゃーカッコイイ!!



 ほどなくして、茶色の大陸が運ばれてきました。

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 料理のサイズではありません。ちょっとした高台と言えるサイズ感に唖然

 私の元に運ばれてきた並サイズも、普通のカレーうどんと比べると倍くらいありそうですが、とーるさんの特々盛りは、その比ではありません。「なにこれwww」、「食いきれるわけないww」と言いながらも、嬉々としてGARMINなどをサイズ比較用に配置し、撮影を楽しむブロガー3人(俺/とーる/HAO)。悲しい性と言えるでしょう。

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 ところで「カレー丼うどん」とは何なのかという疑問ですが、一口食べた瞬間に謎は解けます。だいたい丼の真ん中を境目に、片側にはうどんが、片側にはごはんが入っている構図。要するに、1つの丼で、カレー丼も、カレーうどんも食べられるというわけです。つまり、人類の一つの夢が叶ったのが、このカレー丼うどんなのです。願った覚えのない夢ではありますが、そんな事は些細な問題です。

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 味はコクのあるカレーうどんで美味。TOKYO-Xの豚肉も、柔らかく、味もよく出ていて美味しいです。そして何より驚くべきは“うどん”。ちょっとお目にかかったことがないほどのコシで、弾力がハンパではありません。これが、硬さを主張しない白米とのコントラストを産み、一つのアクセントとして食欲をそそります。

 ただ、コシが強いのでモグモグやっていると想定よりも速いスピードで満腹感が襲ってきます。もともとの量が多い事も手伝い、どんぶりの半分程度をたいらげたところで

e3e05b84ここでと~るさんに、大切なお知らせがあります



BFQit6Dg_200x200言わないでください



BFQit6Dg_200x200並盛りでもうお腹いっぱいとか聞きたくありません



e3e05b84僕はもう、(その特々制覇を)手伝えそうもありません



 自分の分はなんとか完食しました。

 お腹をさすりながらスマホに目をやり、再びどんぶりに目を戻すと……

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e3e05b84なんかうどんが増えてるwwww



BFQit6Dg_200x200一人ノルマ5本です



e3e05b841本でお願いしますwww



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 結果的に、全員膨らんだお腹をさすりながら店を出ました。

 ロードバイクはどうしても前傾姿勢になるので、“テラめし”との相性が悪い乗り物と言えるでしょう。ただ、なんとかリバースせずに武蔵五日市駅まで戻ってくる事ができました。

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 大変ではありましたが、終わってみれば、写真的にも、胃袋的にも満足度の高いライドに。摂取カロリーと消費カロリーのプラマイ具合が気になりますが……。

 豪快な食事をメインに、そこにたどり着く前に腹ペコにするコースというのも、ローディーらしい一つの美学なのかもしれない……なんて事を思った1日でした。

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