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 (読了後再生推奨/画質は720/60p、1080/60pがオススメです)



 前回までのあらすじ。

 峠の王・乗鞍と対決する事になったインナーロー教団。

 しかし辿り着いたのは(関東勢から見た)正面玄関ではなく、裏側の平湯温泉だった。ここから乗鞍をぐるりと一周しつつ、最後に王へと挑む、2,500mUPライドの幕が切って落とされるのであった……

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e3e05b84えー、現在朝の5時。外は真っ暗。暖房をガンガンに効かせた車内に、おっさん5人が車座になっておりますが、誰も外に出ようとはしません。


BFQit6Dg_200x200出たら8秒くらいで死にそうなほど寒い



oq_xBMJD登り始めればあたたかくなるよ



e3e05b84なるまえに死ぬ


 晴れれば15度近くまで上がると言われる10月上旬の乗鞍、しかし曇れば一気に3度、強風が吹けば体感気温はマイナスになるかもしれません。天気予報は曇り。いったい何を着ればいいのか、天候がどうなるかわからない以上、正解を知っている人は誰もいません。

 ただ、装備が薄すぎて凍死するより、着過ぎて暑い方がまだマシです。暑ければ脱げば良いですが、寒過ぎたら死ぬしかありません。幸い車で乗り付けているので、考えうるウェア類はリュックに入れてあります。

 私がチョイスしたのは、上半身がモンベルの高機能インナー・ジオラインのミドルウェイト+裏起毛の冬用長袖ジャージ(パールイズミ)+ウインドブレーカー+ユニクロのウルトラライトダウン(袖なし)。ユニクロは最終手段+ダウンヒル用で、畳んでサドルバッグに入れてスタートします。

 下半身は夏用のビブ+アームウォーマー。裏起毛でモコモコの真冬用タイツも所持していましたが、「さすがにそこまではいらないだろ」という判断。ただ、お腹や腰が寒いかもしれないので、使い捨てのホッカイロを2個、お腹と背中にペタリ。
 
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 とにかく寒いので、最初からインナーに入れてケイデンスを上げ、心拍を使って体温を上昇させます。スタート地点の平湯温泉は、標高1,200m。最初の敵・安房峠の頂上は1,770m、高低差は約500m。距離は約7.5km。ウォーミングアップには調度良い高さです。

 温泉街を抜けると、すぐに斜度がアップ。道は森の中へと吸い込まれています。GARMINを見ると、斜度は8~10%程度でほとんど落ちません。それもそのはず、安房峠の平均斜度は約8%。ということは、体感斜度は常時9%を覚悟した方が良いでしょう。

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 林の切れ目から、時折温泉街を見下ろせますが、基本的に眺望の良い区間は無さそう。遠方の山に挑むヒルクラでは、テンションが上がっていきなりハッスルして撃沈する危険性があるので「マイペース、マイペース」と念仏のように唱えながらインナーローでクルクル。
 

 当然、へまさんやHAOさん達から遅れていきますが、まったく気にせず、「峠を走る被写体を撮影するにはこのくらいの遅れがむしろベスト」程度に思っておきます。

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 空は美しい朝焼け、周囲の森は深い青に沈む幻想的な空間。余分な音が無く、チェーンの音だけが響く山奥は、神社の境内にも似た荘厳な雰囲気に包まれています。

 体内からの熱で汗が出てきたので、ウインドブレーカーを脱いで調整。肌に感じる気温は突き刺すほどの冷たさですが、それを上回る熱を運動によって発しているので、皮膚が温度差でピリピリします。水分消費も激しのでこまめにミネラル麦茶を口に運びます。

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 変わらないキツ目の斜度、単調な景色にげんなりした頃、視界が開け、朝日に照らされた山々が視界に飛び込んできました。安房峠の頂上に到着したようです。

 どれが乗鞍岳なのかよくわかりませんが、とりあえずパシャパシャ写真を撮っていると、岐阜県と長野県の境目を示す看板が。すっかり忘れていましたが、平湯温泉は岐阜県。私は岐阜から長野に向けて、峠を登っていたのです。改めて気づくと、こんな遠くまで来て俺なにやってんだ。




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 安房峠を抜けると、約20kmのロングラダウンヒル。1,770mから1,000mへと一気に駆け下ります。

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 ウインドブレーカーを着込んで下りますが、眠気も吹き飛ぶ猛烈な寒さ。路面が悪いのでスピードは出せません。さらに、一般道に出ても多数のトンネルをくぐりぬける要注意ゾーン。ライトを光らせながら、路面に注意して下り続けます。

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 トンネル群を抜けたらダウンヒル終了。ここからはまたヒルクライムの開始です。

 白骨温泉までは距離にして約3km、さらにそこから乗鞍の観光センターまで登ると約9km。高低差は約650mと侮れません。

 さらに、これをクリアしても本番の乗鞍が待っているのです。少しでも脚を残しながら登っていかねばなりません。

 しかし、この白骨温泉までの約3kmがとんでもない刺客でした。後からルートラボを微細に見てわかりましたが、白骨温泉までの平均社度は約10.3%、風張林道の12%とまではいきませんが、平均10%超えはキツイを通り越して“鬼畜”の域。

 しょっぱなからGARMINは12%、13%を平然と表示しつづけ、インナーローでも脚にかなり負荷をかけねばまわりません。

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e3e05b84言われんでもわかっとるわ!


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 魔のトンネルが現れました。この激烈な斜度のヒルクラルートは、大半がトンネルとスノーシェードに覆われています。カーブも多く見通しも悪いので、フラつくと車が来た時に危険。体感を駆使して、ブレないように歯を食いしばりながら、ジリジリと登っていきます。

 トンネルだから景色はロクに見えないだろうなと覚悟していましたが、スノーシェードの回廊から垣間見える対岸の紅葉は、額に入れた絵のようで、侘び寂びの美しさがあります。延々と続く、うねったトンネルもSF宇宙基地への入り口みたいでちょっとワクワクします。ウソです脚が死にそうです。

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 前を走るへまさんも「これはキツイわww」と苦笑。こんなに脚を使ってしまって、この後どうするんだという不安も手伝い、途中で降りて休憩しようかと思うほどキツイですが、「3kmだから3kmだから」と脳内で繰り返してなんとか我慢。

 汗だく、エネルギーを使い果たし、フラフラで白骨温泉の温泉街へと到着しました。

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 まだ10時にもなっていませんが、朝6時くらいから登っているため、カロリーはかなり消費しています。補給食のゼリーや赤飯おにぎりをモグモグやりつつ、紅葉撮影をして少し休憩。

 車が沢山列をなしているので何かと思ったら、10時からオープンする公共野天風呂に入る人達のようです。ああ、俺も温泉入って帰りたい……。

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 現実逃避しててもライドは終わりません。気合を入れ直し、再び登坂開始。白骨温泉までと比べると、斜度のキツさは少し和らぎましたが、10%近い登坂が続く事に変わりはなく。耐えしのぶ時間が続きます。

 周囲は深い山の中という感じで、道の脇に立派な滝が当たり前のように登場。関東であれば、1つ1つが名所扱いされていても不思議ではない景観。流石は長野県、格が違います。

 順調に皆に離され、ボッチ登坂を満喫していると、道の脇で全員止まっています。どうやらHAOさんがパンクした様子。近づくと、チューブラーなのにシーラントを入れず、タイヤを剥がしています。グレーチングの段差でザックリとカットパンクしてしまったとのこと。

 当然HAOさんは予備のタイヤも持参しているので問題なし。修理して登坂を継続し、乗鞍観光センターを目指します。

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 観光センターにようやく到着 \(^o^)/

 AACRの前日、とーるさんの車で下見に来た場所ですが、自分の脚でたどり着くと「うわー、乗鞍に来たんだなぁー」と改めて実感します。ただ、ここはゴールではなく、乗鞍へのスタート地点。本番はここからです。

 とりあえず英気とカロリーを補給するため、観光センターの近くにある食事処で「山賊バーガー」をオーダー。松本の名物である、鶏肉に片栗粉をつけて油で揚げた“山賊焼き”を、古代米のバンズではさんだ珍しいバーガ-です。

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 カレーもありましたが、HAOさん、とーるさんによると乗鞍の頂上で「飛騨牛カレー」が食べられるそうなのでここではグッと我慢。しかしながらこの山賊バーガー、鶏がカリッとジューシーかつ、疲れた胃でも食べやすく、すこぶる美味。皆で「うまいうまい」と、あっという間に平らげました。

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 食べながら山頂を見上げると、遠くの山肌に横一線のライン。あれが乗鞍の最終ストレート。あそこまで登らねばなりません。

 カロリーは摂取しましたが、脚のパワーは50%ほど消費。ここまでの獲得標高は約1,400mUP、さらにここから約1,200mUPしなければなりません。「渋峠みたいな絶景世界なら、ユルユルやればなんとかなるかなぁ」と、不安の中にも期待を抱きながら、再びサドルにまたがりました。
 
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 乗鞍の坂スペックは、横移動約22kmで、1,200mUP、平均社度は5.3%。都民の森よりちょい短く、獲得標高は300mほど多いので、恐らく22kmの長い登坂の中で、平地や下りのご褒美はあまり無さそう。斜度もキツイ部分が多いかもしれません。当たり前ですが、舐めてかかれる相手ではありません。

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 予感は的中、序盤はさほどキツくありませんでしたが、マイカーが入れなくなる三本滝ゲートを超え、乗鞍エコーラインに突入すると、本格的な山道になり、斜度もアップ。8%~9%程度が続き、眉間に皺がよります。

 途中に幾つか、眺望が開け、紅葉の美しさを堪能できる部分はありますが、基本的には森の中。たまーにバスやタクシーが通るくらいでマイカーは一切いないので、登坂自体は快適。静かな森の中をひたすらマイペースで登っていきます。

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 恋い焦がれるのは、渋峠のような森林限界。遮る木々の無い絶景ゾーン。

 「乗鞍は渋峠に負けない景色だよ」という先輩ローディー達の話に期待を膨らませ、「次のカーブで木々がなくなるかな?」、「あのカーブで絶景ゾーンかな?」と、ワクワクしながら登っていきます。

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 全行程22kmの3分の1を超えたあたりでしょうか、話が違うと思い始めたのは。標高は既に2,000mに達していますが、一向に森林限界が訪れません。ひたすら続くのは紅葉で色づいた森だけ。斜度はガンガン上がっており、10%を超えるカーブも珍しくなくなってきました。

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e3e05b84やばい、キツイ……


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 このあたりでようやく私は大きな勘違いをしていた事に気づきました。実は登る前、HAOさんに「渋峠と乗鞍、どっちが好き?」と聞いてみたところ、「渋峠は“美しい”、乗鞍は“凄い”とか“ワイルド”」という返答が。言葉だけをとらえると、渋峠は高原に花が咲き乱れる様子を、乗鞍はグランドキャニオンのような荒涼とした厳しい自然の美しさを連想します。

 実際にその通りの景色がこの先現れるのでしょうが、“ワイルド”で“厳しい”場所は、当然それだけたどり着くのがキツイはず。登れる人達が「乗鞍が好きだ」と口を揃えるのは、キツくて登りがいのある峠であり、かつ最後に景色のご褒美も楽しめるからなのでしょう。つまりここは渋峠ほどヌルくはないのです。

 渋峠レベルの絶景の中を走れるなら、この辛さも忘れられたでしょう。しかし、半分を過ぎても、3分の2に差し掛かっても、ドバーッと視界が開ける森林限界が訪れません。ご褒美無しで突き進むには、キツ過ぎる10%登坂地獄。山賊バーガーのカロリーも使い果たし、補給ゼリーを吸い込みながら、「いつ絶景が来るんだまったく」とブツブツ文句を言いながら進みます。

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 心の中で「渋峠と乗鞍、どっちが絶景かな?」と比較する気満々で上りはじめましたが、この時点で私の中では「渋峠の圧勝」が決定。渋峠はスタート後、少ししたらもう絶景ゾーンが最後まで続きます。乗鞍の場合、ここまでの景色は大したことはなく、この後で凄まじい絶景が現れたとしても、トータルで渋峠を超える事はないとの判断です。

 そうこうしていると、遙か先を登っていたはずのHAOさんが道路の脇にしゃがみこんで何かしています。近づいてみると、なんとまたカットパンク!!
 
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 もうタイヤの替えは使ってしまったので、シーラントで穴が塞がらなければどうしようもなくなります。シーラントを注入し、祈るような気持ちでザックリ空いた穴の具合を見ますが、ブシュブシュ吹き出してしまい、固まる気配は無し。

 「もう少しで絶景ゾーンが来て、そうしたら頂上はすぐなんで、へるさん構わず行ってください」とHAOさん。しかしHAOさんだけここに残すわけにもいきません。しかし、HAOさんによれば「チューブラーは空気が抜けが遅く、抜けてもある程度自走はできるから、ゆっくりダウンヒルすれば観光センターまでは戻れる」とのこと。

 そもそも、HAOさんを観光センターで回収するためには我々が乗鞍を登り切り、裏側に降りて車を持ってこなければなりません。携帯の電波は入るようなので皆で相談の後、我々は登坂を継続、HAOさんは登坂を断念し観光センターで待つという苦渋の決断に。クリンチャーであれば、タイヤブートやチューブがある限りカットパンクに対応できますが、チューブラーの場合は対応可能回数に限界があるんだなぁと学びましたが、まさかこんな大舞台で学ばなくてもよかった……orz

 HAOさんと別れ、また10%オーバーのキツイつづら折れを耐えることしばし……。HAOさんの言葉通り、ようやく視界が開け、大きな木が無い森林限界ゾーンへと到着しました。距離としては、頂上の3km手前あたりでしょうか。絶景ゾーンは22kmある乗鞍登坂の、本当に最後の最後だけのようです。

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 広がるのはまさに“厳しい絶景”。季節や気温もありますが、草花は少なく、ゴロゴロとした岩が無数に転がり、見上げると溶け残った雪もチラホラ。驚くべきは、その雪だまりでスキーをしている人までいます。

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 とても日本の景色とは思えず、本格的な登山家が、フル装備で挑むような山肌が広がり、こんな場所を自転車で走っている自分がひどく滑稽です。

 渋峠と比べて圧倒的だと感じるのは、その高さ。眼下に広がる長野の山々が、かなり下に見え、また本当に遠くまで見渡せます。他の山を圧倒する、まさに孤高の世界。峠の王にふさわしい、凛々しく、威厳すら感じさせる景色です。

 それもそのはず、これから到達しようとしているのは富士山五合目(2,300m)をたやすく超える標高2,720m。舗装道路としての最高地点、つまりロードバイクで到達できる“日本一高い場所”にたどり着こうとしているのです。

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oq_xBMJD乗鞍舐めてた、これキツイわ


e3e05b84だよねw これ乗鞍単体でも十分キツイよ



 そんな事をへまさんと改めて言い合いながら、荒涼とした景色の中を、登っていきます。あまりの圧倒的な景色に、この“荒涼ゾーン”では脚の疲れを忘れていましたが、頂上が近づくにつれ、自己最高の獲得標高2,500mの代償である、ズンとした重い疲労が押し寄せてきます。

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 同時に閉口するのは寒さです。森林限界を超えると強風が体を直撃、たまらずユニクロのウルトラライトダウンも着こみますが、それでも震えが走るような寒さ。特に下半身は夏用ビブ+レッグウォーマー+ホッカイロという中途半端な装備なので、足の下から底冷えのような寒さが這い上がってきて身震いします。

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 体力的な辛さと寒さに、あえぎながら、這い上がるようにしてついに乗鞍の頂上へ。

 愛車と共に到達できる、日本一高い場所へとやってきました。

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 感動

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 そして極寒

 感動で打ち震えているのか、寒さでガタガタ震えているのか、もうわかりません。口を開いても「さ、さささ、さむ、はやはははやく、たたたてもののなかへ」と、まともに喋れないレベルの寒さ。

 まわりを見回すと、当然薄着のローディーは我々だけ。他はミシュランマンのようなモコモコ装備の登山客ばかり。記念撮影もほどほどに、逃げこむようにレストラン兼山小屋へダッシュ……しようにも脚がボロボロでヨタヨタ進むだけ。

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 レストランの階段ですら悶絶しましたが、食事コーナーの中央に大きなストーブを見つけてテンションアップ。全員ストーブを抱き込む勢いでかぶりつき、なんとか体温を上昇させます。

 お目当ての飛騨牛カレーが来ましたが、腕が疲れと寒さで震え、握力もほとんど残っておらず、食べるのにも一苦労。TwitterでHAOさんが、観光センターに到着し、コーヒー飲んでくつろいでいると連絡を受け、ホッと安心したのも手伝い、全員魂が抜けたような顔で呆然と座り込んでしまいました。

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e3e05b84これから約17km、約1,400mくらいダウンヒルするわけだけど、できそうなひとー



BFQit6Dg_200x200むwwりww



oq_xBMJD本気で凍死する。新聞紙もらってきてお腹に入れようマジで



e3e05b84下れば下るだけ気温は上がるはずだから最初さえ我慢できれば……



 全員脳の処理速度が低下しているので会話もスローペース。気を抜くとここで寝てしまいそうですが、あまり遅くなるとさらに気温が下がってしまいます。重い腰を上げ、山小屋を出て……

e3e05b84あ、到達証明書的なもの買わないと



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BFQit6Dg_200x200いいですね、僕も買おうかな



e3e05b84あったけー



BFQit6Dg_200x200到達証明書を新聞紙替わりに腹に入れないでwwww


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 荒涼とした大地でのダウンヒルは、本当にグランドキャニオンの脇でも走っているかのような大迫力。もしかしたら、景色のダイナミックさでは岐阜側の方が上かもしれません。

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 横殴りの風に吹き飛ばされそうになりますが、なけなしの体幹で耐え、下ハンポジションをとり、お尻をサドルの後寄りに配置し、なんとか安定姿勢をキープ。快調に下り続けていくと、徐々に気温もアップ。底冷えするような寒さから開放され、元気も少し戻ってきました。

 ほどなくして平湯温泉街に無事到着。車に自転車を積み、乗鞍の横をぐるりと迂回するように走り、観光センターへ。HAOさんも回収し、帰路につく事ができました。
 
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 生半可な覚悟で挑むものを寄せ付けない、まさに峠の王にふさわしい威厳を見せつけてくれた乗鞍。序盤から終盤にかけてのキツいつづら折れの登りを楽しむ事ができるヒルクライマーならば、その頑張りを祝福するかのような森林限界後の絶景ゾーンがより魅力的に感じられ、ラストスパートの励みになる事でしょう。そう考えると、日本一のヒルクライマーを決める舞台にふさわしい、ドラマティカルなコースと言えます。

 ただ、私のようにヒルクライムのツラさを緩和する、モルヒネ鎮痛剤としての絶景を渇望するような脆弱坂バカにとっては、絶景ご褒美が最後の最後まで登場しないというのは耐えられません。渋峠を経験していない状態であれば、ラストの絶景ご褒美に感涙したと思いますが、ほぼフル区間絶景の渋峠を味わってしまった後では、景色的な満足度の高さで乗鞍は劣ると感じてしまいます。

 しかし、ハードな登坂を仲間と共に登り切り、大冒険の末に頂上にたどり着くという純粋なヒルクライムの楽しさとしては、峠としてより厳しい乗鞍の方が恐らく上なのでしょう。この先、もし私の脚力がアップする事があり、再戦した場合は、感じ方が変わっていくのかもしれません。

 いずれにせよ、昨年の5月に都民の森に挑み、4回脚つきして惨敗。同じ都民の森を、今年の2月に始めて脚つき無しでクリアでき、以降様々な峠にチャレンジしてきました。その挑戦の一つの締めくくりとして、日本一の高所を制覇できた事は感慨深いものがあります。

 重ねて強調しますが、私はローラー台すら持っておらず、平日もロクに運動しておらず、土日のどちらかに峠に行っているだけ。脚力は1年前と大差はありません。マイペースをどんな時でも維持する平常心、たっぷりかける時間、景色への現実逃避、脚つきに対する異常な敗北感、そして何より“あきらめない事”を武器にここまで戦ってきました。逆に言えば、あきらめずにクランクさえ回していれば、私のようなピザ豚でも日本で一番高い場所にたどり着けるのがロードバイクなのだと、峠の王様が教えてくれたような旅でした。

 血の味指数:乗鞍単体 21
 血の味指数:乗鞍ループ 28.5


BFQit6Dg_200x200お疲れ様でした。じゃまた、3時間半、ヘッドレストの無い車に乗ってください。



e3e05b84俺あずさで帰るわ
 


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