前回までのあらすじ
四天坂の一角、和田峠のヒルクラスキー毒に蝕まれ、一度倒したはずの和田峠と再戦したへるはん。しかし、再生怪人のHPは低く、辛くもこれに勝利。体内の毒素は無事に中和された。しかし、平地と下り坂だけの平穏な毎日は長くは続かなかった。
西の神奈川国にあり、ヒルクラ界でその名を知らぬ者はいないと言われる魔王・ヤビツ峠が復活したというのだ。これまで全てにおいて後手にまわっていたへるはんは、先手を撃つべく、魔王の背後から情報収集に向かうのだが、それが悪夢の始まりだった……。
【↓ダイジェスト動画はこちら↓】
(読了後再生推奨/画質は720/60p、1080/60pがオススメです)
今回は宮ヶ瀬湖から、裏ヤビツや法論堂林道に行ってみたいと思います。
せんせい! ヤビツと名がついた坂には近づくな、死ぬから という家訓があるのですが。
裏なので大丈夫です
せんせい! 法論堂(ほうろんどう)林道ってなんですか
ほうろんではなく、法論堂林道(おろんどりんどう)と読みます。
せんせい! そんなおろんどおろんどろしい坂、怖くて行きたくありません。名前からして入ったら最後、プラトーンのジャケ写みたいなポーズでエンドロール確定コースじゃないですか。
そういえばへるさん、宮ヶ瀬湖行ったことないんですよね。オギノパンであげパン食べられますよ。
行こうか
例によって「なんとか湖」とか「かんとか峠」とか言われてもサッパリわからんという人が多いと思いますが、大丈夫です。私もサッパリわかりません。
免許も車も持ってますが、ヤビツ峠も和田峠も入山峠も牧馬峠もロード買ってから初めて聞きました。場所はだいたいこんな感じです。小田原のちょいと手前の、海沿いじゃなくてもっともっと山の方の話です。って遠いなオイ。
今回のライドはまず、「ヤビツ峠」とは何ぞやというところから話が始まります。恐らくロード乗りの中で日本一知名度が高いのがこの「ヤビツ峠」。「ヤビツ峠を○○分で登れる」と言えば、その人のヒルクラ能力がどのくらいかわかるという、ある種「自転車で坂を登る人達のベンチマークプログラム」みたいなものと言えます。
計測するような実力が無い私には、まったく縁のない場所。行く機会も無いだろうと思っています。ただ、ヤビツ峠史上、誰も獲得した事がない幻のスコア「登坂所要時間:道端で体育座りで号泣分」を記録してみたいという野望も少しあります。
それにしても、なぜこの峠がベンチマークなのでしょう、他と比べてどこが魅力的なのでしょうか? やはり行ってみなければわかりません。ただ、正面きって挑むのは恐ろしい。挑戦前に様子だけ見てこようというお決まりのパターン。裏口からこっそり覗くだけ。それならばなんとかなりそうです。
峠や山には裏と表があります。坂を登って頂上についたら、当然下り坂があるわけですが、反対側から登ってきた人にとってはその下り坂が上り坂に見えます。明確なルールは不明ですが、イメージ的には“太平洋側が表、日本海側が裏”、“みんなが良く登る方が表、あんまり行かない側”という感じでしょうか。
という理解で良いんだよね?
表ヤビツに行きたいところだけれど、あそこまで自走で行くとさすがに遠いからねぇ。
表ヤビツは挑戦すると斜度的に俺死ぬと思うけど、裏なら大丈夫なの?
裏はそんなに斜度はキツくないから大丈夫。そして表は俺も登ったことない。
表は輪行でいつか挑戦したいっすねぇ
裏ヤビツは2人なら楽勝だと思うので、他にも寄り道して、法論堂林道とか、謎の林道にも行ってみたいなぁ。
そんなこんなで、矢野口をスタート。いつもは尾根幹を通りますが、朝イチ尾根幹は精神的にも脚的にもキツイので、今回は迂回ルートを開拓。連光寺坂から聖蹟桜ヶ丘、野猿街道へ出て、津久井湖のZEBRAを目指します。
寝起きで尾根幹はダルいけど、寝起きで連光寺坂もダルいね。でもバーミアン坂よりはナンボかマシだ。
ちょっと場所わからないんで、先頭で案内してもらっていいですか?
いいわけあるか!!
ZEBRAまで約40km、ノンストップで行こうと思っていましたが、ちょっと疲れたのでキューピットで休憩。このブログではお馴染み、城山湖へのヒルクラ時に“ラストコンビニ”として登場する場所です(※実はコンビニではない)。
「ふへー」とか言って休憩していると、「あのー」と声をかけてくるローディーの方が。「もしかして、ブログとかやってらっしゃいませんか?」
なんと!! 2011年開設以来、初めての読者遭遇!!
なんと!! 2011年開設以来、初めての読者遭遇!!
え、本人を撮んないの?w
ほら、うちのブログではローディーの紹介=愛車の写真だから。
でもよく遠目でわかったなぁ
いや、へるさんの毒々しいバーテープでわかるでしょww
違うよ「いつも見る背中だなぁと思いました」って言ってたから、へまさん見て気づいたんだと思うよ。
え?ww
だって俺自身は写真に写ってないじゃん。気が狂ったみたいに大量の写真貼り付けてるブログだから、たぶんへまさんは“全日本背中写真沢山ローディーランキング”でかなり上位だと思うよ。
なんか怖いw
めでたいのでツイートしとこう
へるはうんど@再び25Cに@HELL_HOUND_No9生まれて初めて「ブログやってらっしゃいますよね」と声かけられた。あのブログ誰か読んでんだな。9割俺の自演とF5アタックだと思ってた。 http://t.co/XqdB5PtOsv
2015/02/21 11:08:39
そんな出会もありつつ、お馴染みのZEBRA到着。さほどお腹もすいていませんが、補給できる時にしておくのがロングライドの鉄則です。食べ終わったら、ゴルフ場を抜けて、いよいよ宮ヶ瀬湖を目指します。
店を出ると、待ち構えているのが長くて急な上り坂。通称:ZEBRA坂です。宮ヶ瀬湖だけでなく、牧馬峠や道志みちの方に向かう時にはクリアしなければならない関門ですが、これがなかなか手ごわい。勢いでクリアできるほど短くも緩くも無く……血の味指数的には、バーミアン坂をやや弱くした感じです。
おかしいっすよ、たいして疲れてないつもりだったのに脚が回らないっす。
オレも。スッゲエキツイ。ZEBRAでゆっくり休憩したのに、おかしいな……。やっぱこまめに休憩しないと体力がすぐスッカラカンになるんだろうなぁ。
などと話ながら、宮ヶ瀬湖へのアプローチを続行。場所としては、以前挑戦した牧馬峠と近い場所ですが、牧馬ほど寂しくはなく、人家も途切れません。
あ、こっこパークだ
こっこパーク?
行きたい修学旅行先ナンバーワンだよ
うそ!?
疲れからくる適当な会話をしながら、黙々とクランクを回していると、湖の畔っぽいところに到着。どうやらここが宮ヶ瀬湖のようです。津久井湖よりも山深い印象で、周辺道路は綺麗。なおかつ車が少なく、ロードで走るには良さそうな道です。
ただ、それなりにアップダウンがあり、巡航jしていると結構脚を消費します。へまさんによると、ここを何周かしてトレーニングするローディーも多いのだとか。しばらく宮ヶ瀬湖の周りを進み、いよいよ裏ヤビツへと入っていきます。
川の色が透明を通り越して青くなってきました。
湖が終わり、長者屋敷キャンプ場を過ぎたあたりから、雰囲気はグッと林道っぽくなります。斜度はキツイ部分でも9%程度でしょうか? 鼻歌混じりに登れるわけではありませんが、和田峠のように気を抜くと脚をついてしまう恐怖に怯えるほどではありません。
また、登りばかりではなく、時折平坦や下りの区間も入っているのも難易度を下げています。
どんどん山の中に。家から自転車でこんな景色の場所に辿り着けてしまう、改めてロードバイクの凄さを実感します。
それにしてもこの裏ヤビツ、時折視界が開けるポイントは良いのですが、基本的に林の中を進む感じで、アップダウンも連続するため、どのくらい進んだのか? 頂上までどれくらい近づいているのか? がサッパリわかりません。
それもそのはず、湖あたりからヤビツの頂上までは20km以上もあります。アップダウンの多さも含め、スタミナが重要となる“都民の森”タイプの峠のようです。
その行程の半分くらい行ったところでしょうか。景色にも飽きてきた頃に、分岐点が……。へまさんによると、ここが謎の林道の入り口だそうで。
人通りが少ない道だと残雪が心配ですが、せっかくだから他の林道も、ちょっと覗いてみようという話になりました。
覚悟していた通り、林道に入るとすぐに残雪が。しかし、区間的には終わりが見えているので、そそくさとロードを降りて、雪の上をズカズカ進みます。
凄いのは、雪が出てきても、「どうする? 乗り越えて先に進む?」みたいな相談すらしないで先に進んでる事だよね。
そりゃへまさんライドに慣れるとそうなるわww
序盤の雪ゾーンを乗り越えた後は、路面はドライ。しかし、謎の林道だけあり、そこらじゅうに落石が。それも小石サイズではなく、ゴロゴロとしたものが多く、中には人の頭くらいのサイズのものも。林道というよりも、廃道のような雰囲気です。
斜面に落石防止ネットもほとんど無く、土や木の根、岩がむき出しです。車の音は当然一切聞こえず、風の音と鳥の声だけの異様なまでに静かな空間。道路と言えばかろうじて道路ですが、もとの自然に還ろうとしつつあり、だいぶ人間の世界では無くなりつつあるようです。
私のような廃墟好きにはたまらない雰囲気ですが、カメラ片手に車で廃墟めぐりをしていた頃と違い、自分が乗っているのは細い自転車のみ。身の危険を感じても、逃げこむ空間を伴わずに挑んでいるので、自然の迫力に気圧され、恐ろしさすら感じます。
尖った石を踏めばパンク間違いなしの状況なので、石を避けながらのヒルクライム。斜度は9%程度でしょうか。脚をつくほどではありませんが、今まで走っていた裏ヤビツよりは斜度はキツめです。
ほどなくして現れたトンネルをくぐると、日当たりが悪い側に出たのか、一面の雪世界。
今までは雪ゾーンが終わる場所が見えていましたが、今回は視界の先まで雪に埋もれています。さすがに「どようしようか」と考えましたが、雪の上には車が走行した轍があり、しばらく雪を我慢すればまた乾いた路面に戻るかもしれません。「せっかくだし、もう少し行ってみようか」と、再び雪中行軍を開始しました。
予想通り、しばらく進むと乾いた道路が登場。「もう雪は終わりかな」と進むと、また雪ゾーン。それを何度も何度も繰り返していきます……。
~約1時間後~
謎の林道の全長は約12km。本来であれば、1時間もかからずヒルクライム&ダウンヒルが終わっているはずですが、ほとんど自転車に乗れず、雪の中を歩いているので遅々として進みません。さすがに疲れてきて、一旦休憩。「今どのへんなんだろう?」とスマホを取り出してみて驚愕。1/3も進んでいません。
どうしようかと相談しましたが、「ここまで来て戻るのもダル過ぎる」、「頂上まで行けば何か変わるかもしれないし」と、再び雪山登山再開。「ここまで来て戻るのも」というワードが、遭難フラグを立てまくりだとは薄々感づいていましたが、口にしないようにします。
最大の問題は、雪の上を歩くのが想像以上に疲れる事。ビンディングで歩く時点で当たり前ではありますが、ロードバイクも押しているので、雪に埋もれたタイヤを引き抜いたり、雪山に突撃しそうになる車体を軌道修正したり、脚を雪から引き抜いたりといった動作に、想像以上にスタミナが消費されます。
当然、いつもロードに乗っていて疲労する筋肉とはまったく違うところが痛くなり、腕や脚もヘトヘトに。子供の頃、東京で珍しく雪が降ると、はしゃいで力の限り雪だるまや滑り台を作って、体中が鉛のようにダルく感じるほど疲れた記憶がありますが、あの感覚に近くなってきました。
そんな状態なので、たまにドライゾーンが搭乗して、自転車にまたがっても、ヘトヘトで脚が回らずにフラフラ……。
へるはうんど@再び25Cに@HELL_HOUND_No9クリスタルキングハブを買いました http://t.co/51drdTaokq
2015/02/21 21:25:09
いやホントに、今日は他の人誘わなくてよかった。トラウマレベルだこれ。
今日は登山に来ました \(^q^)/
~約2時間後~
ザッザッザッ
ザッザッザッ
ザッザッザッ
それ以外の音はすでにしません。
冗談抜きで、自転車放置して歩いて突破して、翌日車で取りに戻ろうかとすら考えはじめた頃に、頂上付近にあるとされるトンネルが登場!!
祈るような気持ちで抜けると、斜面が日の当たる方向になったためか、路面が一面ドライになりました。
た、たすかったー!! ( TДT)
恐らくここから先のダウンヒル区間にはもう雪が無く、短時間で林道を抜けられそうです。やれやれとロードにまたがり、雪の中でロードを掴んでいたため握力が無くなった手で、必死にブレーキをかけながらダウンヒル開始。
爽快に下りたいところですが、登りに輪をかけて落石が多いので、スピードは出せません。お腹もペコペコ、ヘトヘトなので速く外界に降りたいところですが……。
プシュー!!
と、ここで痛恨のパンク。石を避けようと注意していましたが、茶色の石が多く、落ち葉と見分けがつかない部分もあり、尖った石に乗り上げてしまったようです。
なにこの壮大なパンク修理写真
谷底にロード落とさないでくださいよw
落ちたらもうタクシーで帰って新車買うわ
パンク修理というかチューブ交換は慣れているので、どうという事はないはずですが、雪の中のロード押しで想像以上に握力が低下していて、タイヤをはめるのに四苦八苦。日も暮れて気温も低下し、少し暗くなってきたので気持ちも焦ります。こういう時は深呼吸して、落ち着いてやるのが大切です。
チューブ交換完了。ダウンヒル再開。すると、悪夢が再び。
プシュー!!
またパンクしたあああああああ!! ( TДT)
すいません。HIGIRIさん並のパンクの神が降臨してしまいました。
確実に言えることは、HIGIRIさんは今、無事に走っているという事ですね。
HIGIRIさん、パンクの神様引き取ってええええええww
錯乱している場合ではありません。一回目のパンク修理時に、タイヤの裏側をチェックして何かが刺さっていないのは確認済みです。何が原因なのか、もう一度タイヤの表面をよーく調べてみると……。
(上写真は後述のガムテを当てた後のもの)
ザックリ逝ってるwww
あちゃー、カットパンクしてるね
カットパンク、つまり穴ではなく、カッターで切ったように、裂け目ができてしまった状態です。こうなると、チューブが裂け目から出てきてしまい、チューブが地面と接触して、たやすくパンクしてしまいます。簡単に言うと、正月にお餅焼いたら、ひび割れからプクーって出るじゃん、あれ。
今の2回目のパンクが、まさにチューブが外に出てしまったためのパンクだったのです。
困ったね。カットパンクはテレフォンカードとかガムテープとか、ある程度硬いシート的なものをタイヤの裏側に当てて、その上でチューブを入れれば応急処置できるけど……。
だいじょうぶ、オレ、ガムテープ持ってる
すげえwww 用意が良いwww
ロングライダースなど、長距離ライドのレポを今まで沢山読んでいるのは伊達じゃありません。何に使うか、いまいち把握していなくても、「長距離ライドの必需品」とされているものはチェックし、小物入れに入れてあります。ぶっちゃけ「これって必要なのかなぁ?」と思いながら入れてきましたが、まさか本当に役に立つ日が来るとは……。
ガムテを二枚重ねにしてタイヤの裏に貼り、チューブを装着。チューブの圧力でガムテがタイヤからこんにちわしつつありますが、なんとか大丈夫そう。
しかし、これで予備チューブは使いきり、CO2ボンベ×2本もカラッポ(手動ポンプはあり)。もうパンクしたら後がありません。雪山を超えたはずが、サバイバルゾーンはまだまだ続いていたのです。
応急処置タイヤでダウンヒル再開。もう石には絶対に乗り上げないぞと、目を皿のようにして路面を見ながら慎重に下りきり、なんとか林道を抜けて宮ヶ瀬湖に戻ってこれました。
しかし、安心はできません。ガムテで一部が膨らんでいるので、走っていると「ゴトンゴトン」と後輪から振動が伝わってきて、「またパンクするんじゃないか」、「いつまで持つんだコレは」と、気が気じゃありません。
振動の少ない場所を選んで走り、速度は上がらず。体がヘトヘトな上に、気持ちまでゴッソリ削られていきます。ヒーヒー言いながら、ようやくコンビニにたどり着きました。
なんとかガムテ様が頑張ってくれてるみたいだ。
もうへるさんの顔が土気色にww
みんな今までありがとう、au保険のロードサービスに「心が折れたのでピックアップして」と電話します。
諦めないでww ここで車や輪行で帰ったら、今日の峠に負けたことになるっすよ!
ぶっちゃけ、80%くらい「橋本駅まで行けたら、輪行袋をどっかで調達して輪行で帰ろう」と考えていましたが、橋本駅の近くに「サイクルベースあさひ」があるのをスマホで発見。
タイヤを買い換えるにしても、輪行袋を調達するにしても、とりあえず「あさひ」まで行こうという話になりました。
だいぶ暗くなってきましたが、その前にとりあえずコンビニでガッツリ休憩を。
あ……オレもパンクしてる
え!?
うわホントだ! 林道の落石恐ろしすぎるww
その後、夜の闇に包まれた宮ヶ瀬湖を抜け出し、速度が出ない私が、2人を見失って登らなくていいヒルクラポイントを無駄に登ってしまったりと、アクシデントを交えつつ、なんとか先へ進みます。
途中、メイン目的だったオギノパンにも到着しましたが、あげパン食ってる場合じゃありません。というか、いま椅子に座ってゆっくり食事したら、そのまま輪行は確定の心理状態。
あげパンは後日とあきらめ、歯を食いしばって進み、なんとか橋本駅近くの「あさひ」に到着しました。
人の世界に戻ってくると、体はさておき、心が落ち着いてきて「確かにこのまま輪行で帰ると負けだなぁ」と思うようになりました。「あさひ」に、買ってもいいなと思える輪行袋が無かったこともあり、店員さんにタイヤの交換を注文。「お客様、タイヤ交換には別途、工賃がかかりますが」、「もう握力ゼロなので、幾らでもいいのでやってください」という金にものを言わせた大人の会話をしつつ、おニュータイヤに交換完了!!
こんな時にも赤黒タイヤを選ぶんですね。
それもあるけど、一番やすかったww
尾根幹を帰る気力もないので、多摩ニュータウン通りを疾走。すでに時刻は午後9時過ぎ。3人ともヘトヘトでお腹もペコペコなので、ファミレスで最後の大休憩。パワーを幾らか回復し、無事に帰宅できました。
かつてない疲労度、そしてアクシデントのあるライドでしたが、同時にローディーとして非常に勉強になるライドでした。特にパンクへの対応、そして万が一に備える装備の重要性。自分がライドに持っていくものを、実感を持って“これは必要だ”と判断して選択・準備する重要さが身にしみてわかりました。
先輩ローディーの人達には「何をいまさら」という感じかもしれませんが、ガムテかテレカかタイヤブート、これは必須です、ホント。
祈るような気持ちで抜けると、斜面が日の当たる方向になったためか、路面が一面ドライになりました。
た、たすかったー!! ( TДT)
恐らくここから先のダウンヒル区間にはもう雪が無く、短時間で林道を抜けられそうです。やれやれとロードにまたがり、雪の中でロードを掴んでいたため握力が無くなった手で、必死にブレーキをかけながらダウンヒル開始。
爽快に下りたいところですが、登りに輪をかけて落石が多いので、スピードは出せません。お腹もペコペコ、ヘトヘトなので速く外界に降りたいところですが……。
プシュー!!
と、ここで痛恨のパンク。石を避けようと注意していましたが、茶色の石が多く、落ち葉と見分けがつかない部分もあり、尖った石に乗り上げてしまったようです。
なにこの壮大なパンク修理写真
谷底にロード落とさないでくださいよw
落ちたらもうタクシーで帰って新車買うわ
パンク修理というかチューブ交換は慣れているので、どうという事はないはずですが、雪の中のロード押しで想像以上に握力が低下していて、タイヤをはめるのに四苦八苦。日も暮れて気温も低下し、少し暗くなってきたので気持ちも焦ります。こういう時は深呼吸して、落ち着いてやるのが大切です。
チューブ交換完了。ダウンヒル再開。すると、悪夢が再び。
プシュー!!
またパンクしたあああああああ!! ( TДT)
すいません。HIGIRIさん並のパンクの神が降臨してしまいました。
確実に言えることは、HIGIRIさんは今、無事に走っているという事ですね。
HIGIRIさん、パンクの神様引き取ってええええええww
錯乱している場合ではありません。一回目のパンク修理時に、タイヤの裏側をチェックして何かが刺さっていないのは確認済みです。何が原因なのか、もう一度タイヤの表面をよーく調べてみると……。
(上写真は後述のガムテを当てた後のもの)
ザックリ逝ってるwww
あちゃー、カットパンクしてるね
カットパンク、つまり穴ではなく、カッターで切ったように、裂け目ができてしまった状態です。こうなると、チューブが裂け目から出てきてしまい、チューブが地面と接触して、たやすくパンクしてしまいます。簡単に言うと、正月にお餅焼いたら、ひび割れからプクーって出るじゃん、あれ。
今の2回目のパンクが、まさにチューブが外に出てしまったためのパンクだったのです。
困ったね。カットパンクはテレフォンカードとかガムテープとか、ある程度硬いシート的なものをタイヤの裏側に当てて、その上でチューブを入れれば応急処置できるけど……。
だいじょうぶ、オレ、ガムテープ持ってる
すげえwww 用意が良いwww
ロングライダースなど、長距離ライドのレポを今まで沢山読んでいるのは伊達じゃありません。何に使うか、いまいち把握していなくても、「長距離ライドの必需品」とされているものはチェックし、小物入れに入れてあります。ぶっちゃけ「これって必要なのかなぁ?」と思いながら入れてきましたが、まさか本当に役に立つ日が来るとは……。
ガムテを二枚重ねにしてタイヤの裏に貼り、チューブを装着。チューブの圧力でガムテがタイヤからこんにちわしつつありますが、なんとか大丈夫そう。
しかし、これで予備チューブは使いきり、CO2ボンベ×2本もカラッポ(手動ポンプはあり)。もうパンクしたら後がありません。雪山を超えたはずが、サバイバルゾーンはまだまだ続いていたのです。
応急処置タイヤでダウンヒル再開。もう石には絶対に乗り上げないぞと、目を皿のようにして路面を見ながら慎重に下りきり、なんとか林道を抜けて宮ヶ瀬湖に戻ってこれました。
しかし、安心はできません。ガムテで一部が膨らんでいるので、走っていると「ゴトンゴトン」と後輪から振動が伝わってきて、「またパンクするんじゃないか」、「いつまで持つんだコレは」と、気が気じゃありません。
振動の少ない場所を選んで走り、速度は上がらず。体がヘトヘトな上に、気持ちまでゴッソリ削られていきます。ヒーヒー言いながら、ようやくコンビニにたどり着きました。
なんとかガムテ様が頑張ってくれてるみたいだ。
もうへるさんの顔が土気色にww
みんな今までありがとう、au保険のロードサービスに「心が折れたのでピックアップして」と電話します。
諦めないでww ここで車や輪行で帰ったら、今日の峠に負けたことになるっすよ!
ぶっちゃけ、80%くらい「橋本駅まで行けたら、輪行袋をどっかで調達して輪行で帰ろう」と考えていましたが、橋本駅の近くに「サイクルベースあさひ」があるのをスマホで発見。
タイヤを買い換えるにしても、輪行袋を調達するにしても、とりあえず「あさひ」まで行こうという話になりました。
だいぶ暗くなってきましたが、その前にとりあえずコンビニでガッツリ休憩を。
あ……オレもパンクしてる
え!?
うわホントだ! 林道の落石恐ろしすぎるww
その後、夜の闇に包まれた宮ヶ瀬湖を抜け出し、速度が出ない私が、2人を見失って登らなくていいヒルクラポイントを無駄に登ってしまったりと、アクシデントを交えつつ、なんとか先へ進みます。
途中、メイン目的だったオギノパンにも到着しましたが、あげパン食ってる場合じゃありません。というか、いま椅子に座ってゆっくり食事したら、そのまま輪行は確定の心理状態。
あげパンは後日とあきらめ、歯を食いしばって進み、なんとか橋本駅近くの「あさひ」に到着しました。
人の世界に戻ってくると、体はさておき、心が落ち着いてきて「確かにこのまま輪行で帰ると負けだなぁ」と思うようになりました。「あさひ」に、買ってもいいなと思える輪行袋が無かったこともあり、店員さんにタイヤの交換を注文。「お客様、タイヤ交換には別途、工賃がかかりますが」、「もう握力ゼロなので、幾らでもいいのでやってください」という金にものを言わせた大人の会話をしつつ、おニュータイヤに交換完了!!
こんな時にも赤黒タイヤを選ぶんですね。
それもあるけど、一番やすかったww
尾根幹を帰る気力もないので、多摩ニュータウン通りを疾走。すでに時刻は午後9時過ぎ。3人ともヘトヘトでお腹もペコペコなので、ファミレスで最後の大休憩。パワーを幾らか回復し、無事に帰宅できました。
かつてない疲労度、そしてアクシデントのあるライドでしたが、同時にローディーとして非常に勉強になるライドでした。特にパンクへの対応、そして万が一に備える装備の重要性。自分がライドに持っていくものを、実感を持って“これは必要だ”と判断して選択・準備する重要さが身にしみてわかりました。
先輩ローディーの人達には「何をいまさら」という感じかもしれませんが、ガムテかテレカかタイヤブート、これは必須です、ホント。
書き込みありがとうございます!!
そして私とほとんど同じパターンのトラブル!
とても他人とは思えませんw
2回目のパンクの後の、あの「なんでこんな事に」という絶望感を
共有できる人がいて嬉しいです(TдT)
なんとかガムテで自転車屋まで持ちましたが、それも運が良かっただけですし
私もホントにヤバイ事になっていたら、家族に車でヘルプとか
全部ほっぽり出してタクシーで帰るみたいな手段を使わざるおえないところでした。
そしてタイヤブート!! 私もアマゾンでクリック済みですww
お互いにこの経験を糧にしつつ、もうこのトラブルが無いよう、
気をつけていきましょう! (*^^*)v