
【↓今回のダイジェスト動画はこちら↓】
(読了後再生推奨/画質は720/60p、1080/60pがオススメです)

登坂先輩も仰っているように、ロードバイクはメンタルが大きく影響するスポーツです。中でも顕著なのはヒルクライム。
たびたびBlogで書いているように、景色が今ひとつな住宅街の坂を、車に煽られながら登っていると「オレなんでこんな事してんだ感」が強くなり、辛くて、あまり楽しくない作業に感じます。一方で、チェーンの音しかしない美しい森の中だと「もう少し先の景色が見たいな」と、辛くても最後まで登ってみようという気になります。後者の方がより長い距離、高い標高まで耐えられるのは言うまでもありません。
今回は、都内近郊に“入山峠”なるとても景色が良い峠があるとの情報をキャッチ。行ってみる事にしました。場所は上図の通り。大垂水峠などにアクセスする時の高尾付近から、都民の森などに行く時に通る武蔵五日市へと抜ける峠が、入山峠です。
いつものベースキャンプからのルートはこんな感じ。
茶川探検隊ライドでチャレンジするコースとしても良いのでは? とりあえずどんな場所か見に行ってみようという様子見ライド。先遣隊メンバーはへまさん、ゆっけさん、私の3人。
茶川探検隊ライドでチャレンジするコースとしても良いのでは? とりあえずどんな場所か見に行ってみようという様子見ライド。先遣隊メンバーはへまさん、ゆっけさん、私の3人。


まずは多摩川に出て左岸を走行、上流に向かい、府中四谷橋が登場したら、多摩川の支流、浅川が登場するサイン。多摩川に別れを告げて、浅川サイクリングロードに入ります。




早朝の土手は山からの風がキツく、快適なサイクリングロードどころか、多摩川峠、浅川峠が行く手を阻みます。なんとか25~30km巡航を維持しますが、けっこう脚を削られてキツイです。

ちなみに浅川サイクリングロードは、頻繁に右岸と左岸を行き来しなければならない、結構難しいサイクリングロード。私は以前、一人で大垂水峠にチャレンジした時に通っているので、うろ覚えですが、なんとなく道順は覚えています。そのため、前を牽かねばならない事に。


えーっと、ここは右折だっけな?

実は迷うとマズイと思い、前日にブルベっぽく、右左折ポイントだけ軽くメモって、トップチューブに両面テープで貼り付けておきましたが、字が汚くて何が書いてあるのか判別不能。あとはもう野生の感で進みます。

中央線、八高線をまたいでさらに奥へ……。




トレインの前なんて久しぶりで、ついハッスルしてさらに脚が削られ……。へまさん、ゆっけさんとローテーションしたとはいえ、ノンストップで高尾付近に到着した頃には、結構ヘトヘトになっていました。


えーっと、ここは右折だっけな?

実は迷うとマズイと思い、前日にブルベっぽく、右左折ポイントだけ軽くメモって、トップチューブに両面テープで貼り付けておきましたが、字が汚くて何が書いてあるのか判別不能。あとはもう野生の感で進みます。

中央線、八高線をまたいでさらに奥へ……。




トレインの前なんて久しぶりで、ついハッスルしてさらに脚が削られ……。へまさん、ゆっけさんとローテーションしたとはいえ、ノンストップで高尾付近に到着した頃には、結構ヘトヘトになっていました。


ここからは、入山峠を見つけてきたへまさんに先頭を任せます。まずはなにより、休憩ポイントとなるコンビニで一息つきたいところ。

と思ったのに、なんかもう登りがはじまってるww
「まあすぐにコンビニが出てくるでしょ」と、休憩せずに先に進んでしまったのが微妙に失敗。さすがは高尾の坂、ふつーの街中なのに、斜度が結構キツく、距離も長め。ミニ尾根幹という感じで、コンビニに到着した時点で既にヒーヒー言ってました。自走で峠に挑戦する時、序盤は無理に飛ばさず、できるだけ体力と脚を温存するのが鉄則と、痛感しました。








最後のコンビニから脇道に逸れて、いよいよ入山峠へと向かいます。ここまで走ってきた大通りから、雰囲気が激変。緑が増え、道の傾斜も“山道”という感じに。ただ、車がほとんど通らず、景色も風情豊かになってくるので、これまでの道のりよりグッと楽しくなります。




しばらく進むと、前の2人が一旦停止。左に分岐している道を指さしています。




和田峠は、(ドラクエ3的に言うところの)表の世界において、都内近郊で最恐とも呼ばれる峠。斜度が鬼、序盤からキルゾーンなど、風のうわさでいろいろな恐怖ワードは耳にしていますが、入り口を見たのはこれが初めて。むろん、都民の森で吐血しているレベルの私に、挑戦する資格も気概もありませんが、いつかここを左折する日は来るのでしょうか……。

入山峠の簡単なスペックを見てみましょう。八王子側から登る場合、頂上までの距離は約5km。標高的には、入山峠の入り口の時点で、既に280mまで登っていますが、峠のてっぺんは約600mで、標高差320m程度を5kmかけて登る感じ。平均社度は7~8%程度。激坂と言うほどではないソコソコの斜度が、大きな変化無く最後まで続いている峠のようです。

スペックだけを見ると、「鼻歌交じりには登れないだろうけど、秒殺される事はないんじゃないかと信じたい」という感じ。ただ、へまさんも含めて3人共、この峠に挑戦するのは初めてなので、実際どれくらいキツイかは登ってみなけりゃわかりません。



登れるへまさんは先に行ってもらうとして、私とゆっけさんはしょっぱなからインナー開放。ゆるゆると登り始めます。よく「序盤は行けるところまで重めのギアで進んで、キツさと残りの脚に合わせてギアを落としていく」みたいな登り方指南がありますが、このガラスのハムストリングスを持つ貧脚の私がイロイロ試した結果、あれはやめた方が良いと思います。

そもそも重いギアが踏める人や、タイム計測を気にする人は好き登ってくださいとして、踏めない貧脚の人間が、なけなしのパワーを使って序盤をグイグイ登っても、脚の売り切れが早まるだけで、私の場合はあまり良い事がありません。恥も外聞もなく、序盤からインナーを積極的に使い、ゆるゆるとできるだけ脚に負荷をかけず、回転で登っていくイメージ。
尾根幹のような短い坂であればアウターで行けるところまで我慢して速度で乗り切る事も可能ですが、本格的な峠では、勢いだけではどうにもなりません。
尾根幹のような短い坂であればアウターで行けるところまで我慢して速度で乗り切る事も可能ですが、本格的な峠では、勢いだけではどうにもなりません。

その代わり、途中で止まったり、脚をついたりはせず、ペース(ケイデンス)と姿勢の維持に注力します。ある区間で元気になって突っ込んで、次の区間でヘロヘロになり、上半身を上下にブラしながら、うんしょうんしょと捻り潰すように登るのではなく、全区間、ムラなく、無駄な力を使わない綺麗な姿勢で登る。それが現時点での私の目標です。

へまさんの登り方がまさにお手本的な感じですが、あっという間に視界から消えてしまうので参考にする時間がないww 後はゆっけさんとバカ話しながら、上体がブレていないか、腕に力を入れていないかなど自分でチェックしながら登ります。

序盤は精神的に余裕がありますが、終盤に疲れてくるとそのあたりのチェック意識が飛んでしまいます。それを防ぐため、「疲れた時こそ無駄のないフォーム……」とうわ言のようにつぶやきながら登ります。

序盤は精神的に余裕がありますが、終盤に疲れてくるとそのあたりのチェック意識が飛んでしまいます。それを防ぐため、「疲れた時こそ無駄のないフォーム……」とうわ言のようにつぶやきながら登ります。
事前情報の通り、入山峠は7~8%程度の斜度がズーッと続きます。インナーローでもなんでも、耐えていれば頂上に辿り着ける、軽井沢に行った時の碓氷峠と同じ、私の好きなタイプの峠です。
また、たまに斜度が5~6%程度に下がる区間があり、上がった息を整えてドリンクをグビッとやる余裕があるのも良いところ。

ヘアピンカーブは内側を通るとキツイですが、外側に膨らみながら登ると、擬似的に斜度が平らになる区間を作り出す事ができ、そこでも一息つけます(Deroさんに教わったテク)。また、林道なので一般車両が通行しておらず、それどころか人っ子ひとりいないので、本当にキツイ時には蛇行走行が可能なのもポイントが高いです。

そしてなにより、景色が最高。序盤は高い木々の森の中を進みますが、風の音と鳥の声しかせず、登坂に集中できます。木々が伐採されている区間も多いので、標高が高くなると、目の前がブワーッと開けて、辛いのも忘れ「うわー!」と声が出てしまうゾーンも。冬山でこの綺麗さなので、新緑や紅葉の季節なんかはもっと綺麗でしょう。

あまり人も車も通らない林道のようなので、落ち葉や落石には注意が必要。ただ、目の前の落石を見ながら、「これをどうやって避けようか」と考えるのが楽しくなってきました。弱ペダの泉田じゃないですが、「どう避ければ斜度的にキツくならずに進めるか」というルートを頭で描きながら登ると、ゲームっぽくて、登坂の辛さが少し忘れられます。パンクも回避できて一石二鳥の楽しみです。








イカロス用とかだって。

……


…
……







観念して、エゲツナイ山道を登りはじめます。

振り返ると、景色はもうちょっとしたマチュピチュのインカ道。

林道の両脇も、だいぶ自然に侵食されてきました。夏場とか、ここはもう森と一体化しているのかもしれません。
そうこうしていたら、

振り返ると、景色はもうちょっとしたマチュピチュのインカ道。

林道の両脇も、だいぶ自然に侵食されてきました。夏場とか、ここはもう森と一体化しているのかもしれません。
そうこうしていたら、

へまさんがもう降りてきたww 早すぎるww




イリュージョントンネルのおかげで、折れかけた心をなんとか奮い立たせて、再びゆるゆると登坂開始。
ヒーヒー言ってると、武蔵五日市側から登ってきたと思われる女性ローディーが1人下ってきたので「こんちわー」と挨拶。すごいわー。俺、一人でこんなトコ登ってたらとっくに心折れてる自信あるわ。
ヒーヒー言ってると、武蔵五日市側から登ってきたと思われる女性ローディーが1人下ってきたので「こんちわー」と挨拶。すごいわー。俺、一人でこんなトコ登ってたらとっくに心折れてる自信あるわ。

とかなんとかやっていたら、トンネル到着!!(実は抜けた後に振り返って撮影)
ここが峠のてっぺんではないのですが、標高的にはほぼてっぺんと同じようなもの。事前調査では、峠の最終地点は見晴らしが悪いので、記念撮影ポイントはこのトンネルを抜けた場所が最良なんだそうな。そういうことならと、カメラを構えてトンネルに侵入!!





うひょー!



これ、ちょっと間違えたらロード谷底に落ちるなww



ああ…… 街が蜃気楼のようだ。

まさに天空の回廊。評判通りの素晴らしい見晴らし。月並みな表現ですが、登坂の疲れも吹き飛びます。

さらに、ここまで登ってしまうと、斜度はゆるくなり、サイクリング気分で絶景の中を移動できます。コレも観光ライドには大きなプラスポイント。このままの勢いで、峠の最終地点まで行ってしまおう!!

無理だったwww

最後の最後に結構なラスボス斜度がwww
完全にもう入山峠を制覇した気になっていたので、かなり吐血一歩手前まで行きましたが、なんとか歯を食いしばってクリア。ラスボスと言えど、10%に行くかいかないか程度の坂なので、ここまで脚をつかずに登れた人ならば、クリアできるハズです。

入山峠制覇!!
いやぁー激遅ですが、私でも休憩無しで、脚をつかずに登りきれました。都民の森と、百草園以外、2014年のヒルクラは脚つき無しで終われそう!! 偉いゾ俺!
俺ごときが吐血せずに登れるにも関わらず、景色の綺麗さは今までの峠の中でもトップクラス。血の味と景色の費用対効果が高い、かなりお得感のある峠。知名度こそ低いですが、非常に良いサカミチでした。
俺ごときが吐血せずに登れるにも関わらず、景色の綺麗さは今までの峠の中でもトップクラス。血の味と景色の費用対効果が高い、かなりお得感のある峠。知名度こそ低いですが、非常に良いサカミチでした。







登り切った後は、お待ちかね。楽しい楽しいダウンヒルタイム。ヒルクラで汗だくになりましたが、こここから先は日陰の森の中を、おそらく7~8kmは下る事になるので、ウインドブレーカーを引っ張りだして着込みます。

前述の通り、小さな落石も多いので、注意深くダウンヒル開始。腰をあまりドカッとサドルに降ろしているとタイヤをバーストする危険性もあるので、浮かし気味に。ブレーキは確実にかけられるように下ハンメインで降りていきます。

気持ちいいー!! やっぱダウンヒル最高だわ。この世の全てを下り坂に!!


下りは小川の脇をずっと走るようなコース。武蔵五日市側から登る場合は、この道をヒルクラするわけですが、こちら側は見晴らしが今ひとつだと感じます。
まあ、登りながら脚をついて撮影するのが良いか、下りながら途中で止まって撮影するのが良いかの違いだけかもしれませんが。ヒルクラ中の景色を、ご褒美としてパワーに変えるような登り方をするなら、八王子側の方がオススメかもしれません。
まあ、登りながら脚をついて撮影するのが良いか、下りながら途中で止まって撮影するのが良いかの違いだけかもしれませんが。ヒルクラ中の景色を、ご褒美としてパワーに変えるような登り方をするなら、八王子側の方がオススメかもしれません。

本当に長い長いダウンヒルを堪能。檜原街道へと出ました。ここは、檜原村役場や都民の森へ行く時に通る、このBlogでも何回も登場しているお馴染みの道路。
最大の目的である入山峠はクリアしたので、あとは帰るだけ。ただ、日陰の中を長時間ダウンヒルしたおかげで、3人とも冷えきってしまったので、急遽「足湯につかろう」という話に。
最大の目的である入山峠はクリアしたので、あとは帰るだけ。ただ、日陰の中を長時間ダウンヒルしたおかげで、3人とも冷えきってしまったので、急遽「足湯につかろう」という話に。

目指すは、檜原村役場の手前にある「瀬音の湯」。へまさんによれば、無料で入れる足湯があるとのこと。

お、ここらしい。
しかし、案内板にしたがって進むと、凄まじい斜度の下り坂がwww
足湯浸かった後に、この激坂を登って帰らねばならないと考えると、冷や汗が出ます。
しかし、案内板にしたがって進むと、凄まじい斜度の下り坂がwww
足湯浸かった後に、この激坂を登って帰らねばならないと考えると、冷や汗が出ます。


温泉施設とーちゃくー。
さー足湯だ足湯だ


ここん家の子になります


~ 数十分後 ~












アホですかwwwwwwwwww 仕方ない、ここは僕のテッシュで。


足湯で足だけぽかぽかになり、足だけリフレッシュ完了。体も温めようと、温泉施設の中でかけ蕎麦をズズッと一杯。体も温まり、塩分も補給完了。

カロリー的には少し物足りないですが、そこは計算済み。このあと、帰路の途中にある、へまさんが下調べ済みのパン屋さんで何か追加で食べようという計画です。

しwwぬwww リフレッシュした脚がごっそり削られるww

入山峠よりぜんぜんキツイじゃねえかww
そのパンに行くには、檜原街道に戻らねばなりませんが、先程下った坂が、今度は激坂となって待ち構えています。





あとはもう都内に向かって戻るだけ。

武蔵五日市駅前を右折して、ひたすら東へ。

途中、秋川駅に近い手作りパン工房「スリール」にお邪魔。惣菜パンやあんぱんなどで、カロリーと糖分も補給完了。


うまうま。

アンパンパワーで五日市街道をひた走り、入山峠挑戦ライド、無事終了となりました。

入山峠、血の味指数的には、8血の味程度。おおむね予想通り、激坂と言える斜度区画は無いに等しく、7~8%程度のややキツい斜度でも我慢さえできれば初心者でも登りきれると思います。おまけに景色も最高なので、かなりオススメできる峠です。ダウンヒルも長くて最高ですが、路面が荒れ気味なのでスピードの出し過ぎには要注意。
難点は、多摩川あたりからだとびみょーに遠く、アクセスが悪い事。多摩川CR+浅川CRと乗り継げば、気楽に辿り着く事はできますが、距離が長いのでダレます。高尾あたりまで輪行かトランポしてしまって、降りてから好きなように遊ぶ……みたいな楽しみ方もアリかもしれません。
参考にさせていただきます。ありがとうございました!