前回までのあらすじ
人生初ホイールにゾンダ買って取り付けたったwww (タイムリープ終了)

いよいよ装着したゾンダでの初ライド。なんせ試乗せずに買っているのですからドキドキです。フルクラムのR1、R3に対して「素晴らしいけど硬過ぎる」だの、偉そうな事を言って、雑誌やネットの評判を頼りに他のホイールを選んだのですから、これでR1/R3よりもさらに硬かったら、荒川の河川敷で泣きながらフラフープするくらいしかチャラにする方法が思い浮かびません。
どうでもいい話ですが、オーディオでは"行きつけのショップ”で高級機をワンサカ買うお得意さんになると、新製品が入荷したタイミングで、店のオヤジが「○○さんが気に入りそうなアンプが出たので、今度お宅までお持ちしますよ。使っていただいて、気に入ったらそのままお買い上げいただければ」みたいな"訪問試用販売”が行なわれたりします。高級デパートでも、個人宅の訪問販売がありますが、あれと似たようなものです。
自転車の場合、ショップが家まで来てくれる事はあまりなさそうですが、お得意さんになると「お客の趣味を把握して、気に入りそうなホイールが入荷したら試乗しないかと連絡をくれる」ってのはありそうです。ローディーってお金持ち多いイメージなので。
一方で、そんな上得意でなくても、気軽に大量のホイールやフレームを試乗できる環境は欲しいところ。年会費数千円を払うと、巨大な体育館みたいなところに入れるようになって、壁一面に各社全グレードのホイールが吊るしてあって、自由に試乗できる施設とかあると良いですね。サイクリングロードの近くとか。スマホで試乗ホイールの空き状況と予約ができたりとか。年会費ごときでその施設が維持できるかは知りませんけど。サイクルスポーツセンターの副業とかで。一番その形に近いのはワイズロードのような大手ショップの試乗イベントなんでしょうけれど。
そんな妄想はさておきゾンダです。

最初の感想は一言「いいわーこれ」。乗り心地を言葉で表すと「カッチリ&ジンワリ」。以前のフルクラムは「カッチリ&キンキン」という感じでしたが、ゾンダは「ジンワリ」が後ろに付きます。
R500と比較した場合、ハブの精密度が高く、軽やかにホイールが回る事と、全体の剛性が高くてカッチリした印象を受けるのは、フルクラムもゾンダも同じでした。これは恐らく、R500よりも高級な価格グレードのホイールを買えば、どんな製品でも、同じような印象を受けるのだと思います。
問題はグレードの違いではなく、個別の製品の違い。フルクラムR1/R3の場合は、そのカッチリさに特化して、まるで氷の上をスケートしているかのような感覚でしたが、私の貧脚には"硬すぎ”で、前に良く進む気持ちよさに調子に乗って回し過ぎて疲れてしまいました。また、下手なペダリングで生まれた余分な力がホイールから跳ね返って、そのまま足に戻って来るような感触があり、全体としては「スゲエ速くて気持ちいいけど、頑張ると疲れる」という印象を受けました。
ゾンダの場合、カッチリ感と、スーッとなめからに進む精密さがあると同時に、独特の”しなやかさ”というか、適度な衝撃吸収性があります。うぉりゃーとクランクを回しても、地面からの衝撃が、足にダイレクトに伝わっては来ず、ダメージが蓄積して足の芯がダルくなるような疲れは感じにくいような気がします。実際にホイールがグニャリと変形しているのではないと思いますが、余計な力を"上手くいなしている”感じがあります。たかが数個のホイールを乗り比べただけでどうこう言うのもアレですが、スペック重視より、乗り味、乗り心地を重視しているのわかりました。とにかく、回していて気持ち良く、足にも優しいホイールです。
面白いのは、フルクラムはカンパの子会社だそうで、ブランドとしては兄弟ブランド(?)のような位置づけである事。使っている技術は違いますが、兄弟ブランドながら、乗り味がここまで違うものなのかと驚きます。

きっと、ゾンダがこれ以上”しなやか過ぎた”としたら、気持ち良いとは感じず、剛性が不足してフニャフニャした、逆に気持ちの悪いホイールになりそう。R500のような低価格ホイールとあまり印象が違わなかったかもしれません。剛性としなやかさのバランスの妙というのがゾンダに対して感じた印象です。
結論として、速く走れるわけでもなく、150km、200kmを鼻歌混じりに走れる持久力も無いへっぽこローディーな私にとっては、乗り心地よく、楽に、気持ち良く走れる事が最重要であり、そのニーズにゾンダはピッタリマッチしていると感じます。
単に乗り心地が良いだけでは「新しいホイールを買ったんだぞ!」という満足感は少ないので、そこに剛性の高さもプラスされたゾンダは、結果的にロングライドもスピード走行もほどよくこなせて、コストパフォーマンスも高いから人気があるのだと思います。いつか、次のホイールを買うにしても、現在の自分がどこにいるのかわからなければ次に進みようもないので、「硬いってのはこういう事か、乗り心地が良いってのはこういう事か」というホイールの基礎を学ぶ上でも良い買い物でした。


試乗中、ホイールからギイイイイイイイイイ!!! っていう凄まじい爆音ラチェットサウンドが

荒川走ってるあいだズーッとニヤニヤしていて
他のことは何も覚えていません。

