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 夏祭りの露店で、ゲーム機の当たりくじを入れず、テキヤが逮捕された話も記憶に新しいところ。「そもそも当たりが入っているわけがない」、「でも詐欺は詐欺だ」、「いや人生経験だ」などイロイロ意見があるようですが、確かにある種の風物詩という雰囲気も。もちろん詐欺には違いなく、たわけた話ではありますが、「残り物には福がある」から洒落で派生した福袋に「良いモノが入っていなかった」と怒る人を見ているような違和感が漂うのもまた事実。夏の夜の魔力なんでしょうか。

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 本場の仙台とは比ぶべくもありませんが、東京にも七夕祭りがあり、その程よくチープな雰囲気に魅せられ、人の多さに辟易しつつも毎年撮影に行きます。近隣駅では阿波踊りも開催されており、ある種のライバル関係を想起させます。

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 アーケードの天井から吊るされるのは、織姫を意味する吹き流し。その合間に、その年に流行ったキャラクターが顔をのぞかせるのがこの祭の定番。

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 もちろん、流行りモノだけでなく、老若男女がそれとわかる普遍的なキャラクターもいます。

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 吹き流しの狭間に現れるアクセント的な存在ですが、被写体としてはむしろ主役。両脇にある店舗の店主やその家族が、友人知人の助力を借り、汗と塗料にまみれてどうにかこうにか作り上げるくまモンやら、ふなっしーやらルフィやら……。

 私が足を運ぶ最大の理由は、普段愛らしいキャラクターの事など歯牙にも掛けず仕事にはげむオッサン店主が、「アレだろ? 今、ふなっしーってのが流行ってんだろ? 今年はそれにしようぜ」というトーンで生み出すのであろう、危うさを内包した造形物達。食玩でもガチャガチャでも、フィギュアの造形レベルが世界一の頂点を突き抜け、テキヤの親父が詐欺で逮捕される現代日本において、未だ残る“うろ覚えの美学”が満喫できるからに他なりません。

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 ブランド品リサイクルショップが手がけた梨の妖精には、シャネルのバッグを愛用しているという勝手な後付けキャラ設定。

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 その妖精の後方に薄っすらと、得体のしれない海のバケモノの影。

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 髪の色を見て、どうにかリトルマーメイドを生み出したかったのではなかろうかという仮説が立てられるものの、「近所のスポーツジムで運動もせずしゃべってばっかだったオバちゃんの顔に似てるな」と気付くと、その仮説に急速に自信が無くなる禍々しさ。未就学時なら泣いていたやもしれません。

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 そうしたまっとうなオブジェの影に、こっそりと挿入される趣味人の犯行。本人たちはこっそり飾っているつもりかもしれませんが、愛ゆえに、他と比べるとクオリティの高さが頭ひとつ抜けている事が多く、むしろ目立つという現象が。デスラー総統、切れ長の目がクリソツです。


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 誰だガルパン吊るしたやつぁ!!

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 微笑ましい「ドラえもん」や「ふなっしー」、「くまモン」、エスプリの効いた破廉恥クマ「テッド」、リメイクで若者にも知名度がありつつ幅広くしられた「ヤマト」、それと例えば「けいおん!」や「進撃の巨人」レベルであれば、なんとか空間濃度的バランスがとれますが、ガルパンは明らかにぶっちぎっておられます。

 子供は「あれなにー」と首をかしげ、母親も返答できず、アニメをかじった若者が「あれ、あれじゃね? 戦車の。名前出てこねえ」と半笑いで通り過ぎ、アニオタだけがこのオブジェの下で長時間居座り、明らかに他よりも多くシャターを切り続け、さながら毛細血管内のコレステロールよろしく動脈硬化を引き起こす、のはまずいと足早に通り過ぎ、しかし杉並くんだりまでせっかく来たのだからとしばらくしてまた引き返して通り過ぎる。という感じの人が2人くらいいました。お前らこそ幸せになるべきだ。私は直立不動で流れを乱しましたが。

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 24口径7.5cm砲、機銃のディテールも再現。

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 西住殿の造形も、背後から見て破綻は無し。

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  大洗女子マークも。

 ……おかしい、俺は“うろ覚えの美学”を堪能しに来たのに、このクオリティの高さはどうしたことだ……。

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 そうそう!! この、何かを吸◯したのではなと心配になる目つきの配管工! この感じ、この感じが欲しいんだ。

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 今年の(も)、MVPは去◯されたのではと心配になる感じの不安定なしんちゃんに決定しました(俺の中で)。わたあめを手にした右手を描いた後、左手を描く際に急速に集中力が途切れた感じがゾクゾクします。ああもっと、日本にもっとうろ覚えな夏祭りを!!