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 長野県にある木崎湖という湖をご存知でしょうか。アニメファンには巡礼聖地(作品の舞台地訪問旅)の代表地として“言わずもがな”な場所で、宇宙人の女教師と奥手な主人公や、苦労人の一人暮らし男子高校生の家に、肉親かもしれない美少女×2人が転がり込んで来て、キャッキャウフフするアニメの舞台地です。

 この場所が聖地巡礼の代表格になった理由は、大きく2つあります。

1:アニメを作る際に”実在の風景を参考にした”レベルではなく、そこを訪れれば、そこかしこに作品の風景がそのまま存在するというレベルで、アニメの中に木崎湖とその周囲が積極的に描写されていた

2:湖と周囲の環境が美しく、アニメを抜きにしても良い雰囲気&環境の場所だった

 この2つが満たされていたため、アニメファンが、巡礼地としての“密度の濃さ”に感激。通常であれば、アニメ映像と同じアングルで写真が撮影できれば満足し、「さようなら」するハズの場所に、何度も再訪するようになり、結果として末永く盛り上がる聖地になった……という背景があります。

 重症のアニオタである私もその例に漏れず、写友と共に撮影と称して足繁く通った時期があります。初期は巡礼レポートブログが幾つかある程度でしたが、その後の凄まじい盛り上がりに驚きつつ、それに反比例するように何故か徐々に訪問頻度が低下していきました。理由はよくわかりませんが、もしかしたら、「その地が舞台になったアニメ作品のイラストだからといって、もともとその地に存在しなかったモノが景色の中に増えると妄想しづらくなる」という、ファンのくせに若干ひねくれた考えを持っていたからかもしれません。

 しかし、今となってはどうでもいい話。また、木崎湖が素晴らしい場所で、皆がそれぞれに、その場所を大切に想う事は掛け値なしに素晴らしい事に違いはありません。そんなこんなで、「またいつか撮影に行きたい。ただ、車や電車で普通に訪問するのも芸が無いなぁ」と思っていました。
 
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 ようやく話は自転車に移ります。御存知の通り、私が自転車趣味を開始した理由は運動不足解消です。しかし、昨年12月にロードを購入する頃になると、実は密かな目標を持っていました。それは、「アルプスあづみのセンチュリーライドに出る」(以下AACR)というものです。

 この「AACR」は、簡単に言うと長野県の松本から、スキー場で知られる白馬付近までを自転車で往復するというイベント。そのUターン地点はコースの距離によって異なるのですが、木崎湖も含まれています。アニメとは関係のない自転車イベントですが、結果として、ロードバイク趣味と、アニオタ趣味が自然な形でクロスするという夢のイベントなわけです。

 AACRに用意されているコースは、40km、80km、120km、160kmの4種類。この中で、木崎湖に到着するのは120kmと160kmの2つ。つまり、最低でも120km程度は走破できる能力が無ければ、木崎湖にはたどり着けません。私が「100km突破!」とかこだわり、騒いでいたのは、「とりあえず100km以上走れる能力が獲得できなければ、木崎湖にはたどり着けない」という意味も含まれていました。



 今年の1月、横浜にある祖父母宅を目標に定め、なんとか100kmちょいのロングライドは完走しました。「じゃあ、もうちょい頑張れば木崎湖行けるじゃん」と言いたくなりますが、そこは夢の聖地、そう簡単に辿り着けるわけではありません。大雑把に、3つの問題が立ちはだかっていました。

1:開催は通常の土日(土曜日現地入りして出走登録、日曜日に疾走)。長野の松本までの移動手段を輪行にすると、120km走破した後、クタクタの体で夕方か夜に電車に乗り込み、輪行で帰宅する事に。そして翌日は仕事という鬼スケジュール⇢死

2:100km突破ライドは経験済みだが、実際には折り返しの横浜の祖父母宅でのんびり食事をしてから帰宅。連続100kmライドとは言えず、時間制限も無かった。AACRは順位を決めるレースではなく、各々の好きなペースで走る“ファンライド”なので急ぐ必要は無いが、120kmをスタートから9時間以内という時間制限がある。時間制限のあるロングライドなんてしたことない⇢リミットを気にしてオーバーペースで疾走⇢途中でHP0⇢死

3:松本からスキー場で知られる白馬の手前まで行く。スキー場 = 山。つまり、松本から山を目指すというライド。つまり坂道がある。都内や横浜の坂でヒーヒー言ってるヘタレが長野アルプスの激坂に挑戦即死

 返り討ちにされる予想しか浮かばないにも関わらず、勢いでエントリーだけはしてみましたが、自分の中で「ロード買って半年も経ってない運動不足デスクワーカーには無理じゃね?」という冷静な分析と、「いやでも50kmや80km程度は、もう苦もなく走破できるようになったし」「でもそれ東京の幹線道路とサイクリグロード合わせての話だろ?」という自信と不安が混ぜ混ぜようミックスジュース(by グレート・チキン・パワーズ)。

 そこで、私の自転車力 & へこたれ頻度を良く知る方に、客観的な意見をいただく事にしました。

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このコースなんだけど、120km……。今の俺に9時間で走れると思うか?


 
6a00ac12むりじゃねwwwwwwwwww


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ちょwwwwwww
そこは気休めでも希望を持たせてくれwwwww


6a00ac129時間いっぱい粘るなら、半分とか3分の2くらいはイケるかも。



e3e05b84平地なら、平均時速20kmで走っても6時間で走破できるわけじゃん。信号も少なそうだし、坂があっても頑張れば平均20kmくらいは維持できるんじゃないかと……。


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でも俺達の場合、坂道だとだいたい平地の40%くらいの速度になるww



e3e05b84だよなぁwwwwww


 
 いたずらに不安を増大させるだけでしたww 不安を解消するためにはロードにひたすら乗り、100km超のロングライドを繰り返すしか方法はありませんが、例えば時速25kmで休まず走ったとしても4時間、都内で信号などにつかまりまくると時速20kmなんてのもザラですので、その場合は5時間。休憩も織り交ぜれば6時間くらいかかるミッション。おいそれと時間もとれず、50、60kmのライドを土日の空いた時間に繰り返すばかり。「この60kmを2回やればOKなんだからきっと大丈夫。時間内にも走りきれるさ」と呪文のように繰り返して自己暗示をかけるくらいしかできません。

 挙句の果てに、自転車関係は財布の紐がぶっちぎれた浪費癖も暴走。Amazon先生に「走行中に摂取すると疲れにくい!」、「走りながら飲むだけで170kcalが簡単に補給できる」などの謳い文句につられ、グリコのスポーツドリンク粉末「クエン酸&BCAA グレープフルーツ風味」×10袋、「CCDドリンク粉末 170kcal」×10袋、さらにはゼリー状の補給食「ワンセコンドCCDクリアレモン」×6個入りをポチリ。

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 上級者が飲んでいるものと、同じものを飲めばイケるハズというこの他力本願寺。モノにすがらないと松本に出発する気力が萎えそうな危険。良い感じにテンパッてまいりました。おそらく今「坂があっても120km楽に走れる念力を大僧正様が注入した」とかAmazonにあったらポチっているハズ。

 ちなみに、「120kmライドを終えた後で輪行で帰宅するの辛くね?」という懸案事項ですが、最終的には松本まで車で行く事にしました。ウチの車は豚鼻の3シリーズですが、前後輪を外せば、トランクにフレームは収納可能。ホイールは後部座席に放り込めばOKです。
 
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 この写真、わかりやすいように突っ込んだだけですが、実際には輪行の回で使った、マットの滑り止めや、毛布などを用いて各部(特にエンド)を保護しました。しかし、車は走行中に揺れたり、ともすれば急ブレーキなどもしますんで、松本でトランクを開けたらカーボンフレームが粉々というファニー展開もありえますが、そうしたら松本の温泉でも入って、おやきでも食いながら次に買うロードのカタログでも見て泣けば済むだけの話です。

 ただこの計画、自転車が壊れなかったとしても、「120kmライドを終えた後で、自分で運転して松本→東京まで230kmくらいを運転すんの辛くね?」という懸念にすり代わっただけとも言えます。そこで、いろいろ手を回して、若いヲタらを温泉&ご馳走&木崎湖巡礼で釣り、運転手として器用する事に成功(つまり金で買収したとも言う)。苦労と時間を金でショートカットするのが大人です。帰りは寝て帰れるハズ……。

 かくして大いなる不安を抱え、5月25日、出発の朝を迎えました。

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 早朝、中央道をひた走ります。

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 途中、ちょっとした渋滞で時間をとられましたが、その他は問題なく進行。諏訪湖SAで、ご当地キャラとしてはぶっちぎりに好きな諏訪姫を堪能。諏訪姫が股間からオンバシラミサイルを発射しつつ出雲にお礼参りする同人誌マダー

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 ちなみに諏訪湖ICでは風呂にも入れます(伏線)。

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 制限速度を守りつつ数時間……。前方に雪をかぶったアルプスが薄っすらを見えてきました。木崎湖に行く時に何度も目にした光景ですが、テンション上がります。

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 ちなみに前日である今日は、スタート地点の会場で受付をせねばなりません。スタート地点は、松本のそばにある「梓水苑」という施設。当然松本ICで降りるのが普通ですが、幾人か引き連れている事もあり、ちょっと野暮用で1つ先の安曇野ICで降ります。ちなみに、私が通っていた頃は「豊科IC」という名前でしたが、2012年10月に「安曇野インターチェンジ」に名称変更されています。当然、気付かず通り過ぎそうになりましたww

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  長野キター!! 

 ああ、もうこれで出走せずに東京には帰れない流れに……。


 ――― 続きます