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 お手軽輪行袋を装備したのが先日の話。しかし、家の中で袋に入れただけでは本当の使い心地はわかりません。テストが必要です。

 お試し輪行の目的地としてとりあえずチョイスしたのは、以前から行きたいと思っていた富士山!!!....を登ると、我がオブラート製の肺がやぶけますので、富士山がよく見える場所→富士五湖→東京から行きやすい河口湖に決定。休日に新宿から出ているホリデー快速河口湖号に乗り込みました。

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 この電車、快速なので特急料金は不要。Suicaのまんま大月まで運んでくれます。実際はその先まで走っていて、富士急ハイランドとかを経由して河口湖まで行ってくれるのですが、全部電車で行ってしまうというのも、ロングライド趣味としてはつまらないもの。今回は大月で下車し、そこから河口湖まで自転車で行ってみることにしました。

 電車に乗り込むと、お客さんはまばらで、シートも半分くらい空いています。通路に近い座席を確保し、シート裏に自転車を置いて……と思ったのですが、前輪だけを外したこの輪行袋は横が長いため、壁ギリギリに設置しても、タイヤ半分くらいが通路にはみ出してしまいます。

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 他の乗客の迷惑になるのはマズイと、座席は諦め、外の通路へ退避。しかし退避しても、横置きでは物理的に車輪が通路にハミ出してしまうのは変わらないので、自転車自体を少し斜めにして人の通り道を確保。駅に停車したら、ドアが開く側と反対側に退避して、乗り降りする人の邪魔にならないようにしていました。

 1時間やそこらの乗車なら、どうという事もないですが、これがもし2時間、3時間乗っていなければならない旅ですと、両輪外したタイプの方が良いのかなぁと。もしくは、新幹線とかだと、もう少し広いスペースがありそうなんで、トランク置き場とかに置けるかもしれませんが……。 

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 そんなこんなで大月駅に到着! 駅舎より背後の山に目が行く、だがそこがいい。

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 大月駅からは富士急行も出ています。谷村みすずでお馴染みです。



 大月駅でササッと自転車を組み立て、5分くらいで出発準備完了。やはりこの手軽さは、コクーンタイプの最大の武器でしょう。

 河口湖までの距離は25km程度なので、往復でも50km。今までの俺的ロングライドと比べれば、どうという事もない距離です。ただ、唯一の懸念は大月から河口湖まで標高差が400mほどある事。湖というと坂の下にありそうなイメージですが、富士山をとりまく湖なので、湖自体が高いところにあるわけです。

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 ヒルクライムと言うのはおこがましい程度の傾斜しかありませんが、ゆるーい登り坂が、ズーッと継続するので、常にクランクを回している必要があり、シューっと惰性で進めるシーンはゼロ。坂がキツくて登れないとか、足をついてしまうというほどではないですが、ジワジワと、継続的に体力を削られる印象です。

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 軽いギアでクルクルと回し、ケイデンスを上げ、足の力で登るのではなく、心肺機能で登る事を心がけ、黙々と回します。以前の、ママチャリとMTBくらいしか乗っていなかった頃の自分であれば、「オリャー」とか言いながら立ち漕ぎでガツガツ足を使って登り、15分くらいで足がパンパンになって右側に倒れ→観光バスにアイロンプレス→赤い雪解け水となって下流の村までとなっていたでしょうが、長い距離を移動するための基本はなんとなくわかってきたつもりなので、苦しいながらも登れるようになりました。

 いやー坂登リも楽しいもんですな。ヒルクライムにハマる人が多いのも頷けます。嘘ですが。世の中全部下り坂にしろ。寝てる時に家ごと高台にリフトアップする永久下り坂未来社会実現を公約に掲げ、作りスマイル党から来年立候補します。

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 唯一の誤算は、随分前に関東地方で降った雪が、まだ道路脇に残っていた事。おかげで後ろから来るクルマに追い抜いてもらうために横に寄るのに一苦労。さらに、この日は異常気象で18度くらいまで気温が上がった土曜日、雪が溶けて泥水のようになり道路は水たまりまみれ。おかげで自転車やら背中がドロドロに。

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 登りのせいで、時間は経過するのに距離は進まないという状況。1時間ほどして、富士山の雪解け水で顔を洗いつつ、しばし休憩。

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 ふと見上げると、高速道路ではない、ちょっと変わった高架橋。これは、山梨県留市のリニア実験線のものです。

 再びアヒアヒ、フヒフヒ言いながら坂を登っていくと、突然視界が開け、なんか登場!

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 昨日までのどんより雲が、まさに富士山から剥がれる瞬間です。いつも東京のビルから、天気が良いと小さく、チラチラと見えるだけで、「もっと近くで見たいなぁ」と思っていた富士山が、こんなに近くから眺められる幸せ。ありきたりですが、疲れが吹き飛びます。昔クルマで5合目まで登り、たいして感動しませんでしたが、自転車で来ると感動度が段違いです。ってもまあ輪行ですけども。いつか自宅からここまで来てみたいもんです。

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 重いレンズやカメラは背負いたくないので、バッグの中にある一番長い玉はNEX-7 + 50mm F1.8(35mm換算80mm相当)程度。まあ、無駄に画素数があるNEX-7なので、後でトリミングすりゃ、山肌のゴツゴツくらいは写ってんだろと適当にパシャリ。

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 写ってた。

 300mm F4でも背負ってくりゃ、登山者のシルエットくらいは写せるかもしれません。写してどうすんだとか、冬山の富士山に、そんなにコンスタントに登山者がいるのかという話もありますが。

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 とかなんとか富士山を撮影していると、背後に大月駅で見た富士急行が。乗せてくれ。

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 もう少し時間があったら、富士山バックに電車をカッコよく撮れる場所まで移動したいところですが、とりあえず目的地は河口湖なので、先を急ぎます。

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 途中、富士宮やきそばを昼食に食べようと、美味しいと評判の河口湖近くのお店を目的地にしていましたが、臨時休業(?)というアクシデントもあり、しぶしぶ補給食をかじりつつ、2時間程度で河口湖到着!!

 写真撮ったりしていたので25kmなのに時間かかってますが、初の100%登りなのでこんなもんかなという感じ。登っている時は、この世の全てを平地にしろ、富士山も切り崩せと悪しき言葉が脳内を渦巻いていましたが、登り切るとケロリと忘れられます。これがヒルクライムの魔力なのかっ!

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 ちなみに河口湖は、どまん中を巨大な橋が貫いていて、富士山+一直線道路+両脇はぜんぶ湖という、かなりシビレル景観の中をサイクリングできます。そして、こんなとこまで自転車で来ている人の姿は無し。さらに言えば、周囲の土産物屋や宿屋街もあまり活気がなく、道路を歩いている人もあまりいません。冬だから?

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 さっきのポイントからの撮影と、太陽の角度も違うので富士山の表情も少し違います。

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 寄るとあんま変わらないか……。

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 焼きそば食べそこなったので、河口湖のほとりでピザで昼食。ピザ野郎だけに。店には私以外の客は無し。冬だからなの?

 湖のほとりで紅茶飲みながらピザ食うとか吐血するほどオシャレ過ぎて、本来ならば陰腹でも切ってから席につかねばなりませんが、そもそも論として俺が泥まみれである事と、駐車場に止められた従業員のものと思わしき軽自動車に貼られた東方痛車ステッカーがブサイク成分を補給してくれたため、かろうじてバランスがとれました。

 というわけで、河口湖をしばしウロウロし、人の少なさや、「冬季閉鎖中」店舗の多さなどに驚きつつ、再び大月駅へと戻ります。行きはずーっと登りだったので、当然帰りは9億年分下りです。こちとら、これが楽しみでツライ登りを耐えてきたようなものです。

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 クソはええwwwwwww
 クソ怖ええええwwwwwwww

 下りは冗談抜きで漕ぐ回数×ゼロ。凄まじいスピードで滑走するロードバイクに、「アバババババ」とか言いながらしがみつきつつ、揺れを抑えてブレないようにして、制御できないスピードにならないようブレーキを効かせるという感じ。普通の生活の中で、長めの坂道を「ひゃっほー」と下る事は誰しもあると思いますが、それを1時間以上継続するなんてことはまずないでしょう。しかもスピードはクルマの流れに乗れるほど。下り楽しすぎる。この世の全てを下り坂に!!

 とか遊んでいたら、2時間かけて登ってきた道を、1時間も経たずに戻ってきちまったww

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 というわけで、ちょこっと寄り道。

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 だいぶ日も影ってきましたが、リニア実験センターにも行ってみました。すげえ工事中感がwww

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 こんな感じに、リニアモーターカーが疾走する姿が見学できる施設ですが、現在は実験線路の拡張工事中で、試験走行は行なわれていません。工事は今年中には終わる予定で、終わり次第、また試験走行も再開されるのだとか。

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 人っ子一人いねえww
つか、なんでこの旅、
全体的に人っ子一人いねえんだwww


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 試験走行が無いので集客がイマイチのようですが、リニアの原理はよくわかり、なかなか楽しい施設です。入場無料ですし。泥まみれで閉館30分前でも快く受け入れてくれますし。

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 再開時のイメージトレーニングとして、走る模型のリニアで流し撮りの練習。

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 こちらが展望室でございます。

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 おー、工事しとる、工事しとる。

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 完成したら、また来たいもんです。

 入場料も払っていないので申し訳なく、せっかくだからと

 売店でおみやげ買いました




   






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 どwwなwwたwwさwwまwwでwwすwwかwww










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 どこ行きゃこんな芸術クオリティのパンチ当てられんだよwwwww



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 歌詞もスミソニアンクラスのクオリティ。

 うわーリニア讃歌聴きてえええええええええええ

 猛烈に聴きてえけど、
もう俺の家にテープデッキが無え。

 にも関わらず、買わずにはいられなかった凄まじいまでのジャケ買い欲刺激パッケージ

 お、恐るべき高石省三……。
ググっても公式ページすらねえとは……。

 eオンキヨーミュージックあたりで、24bit/192kHz FLACかDSD形式のマスタークオリティで楽曲ダウンロード販売してくれたら1,500円までなら払います。


 リニア館の人と談笑しつつ、しかし「高石省三って誰ですか?」という、簡単なはずの一言が何故か口から出せないまま、「試験走行が再開したらまた来ます」と言い残して自転車のもとへ……。

 ちなみにこのテープ、在庫限りって棚に書いてありましたww

 寄り道が長くなり、周囲はだいぶ暗くなってきました。


 ふと自転車にまたがって違和感を感じ、後輪を触ってみると。 
 

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 ・・・・・・ グニャリ

 おのれ高石省三!!! (濡れ衣)

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 そういえば、リニア館に行く田んぼの脇の道で、深めの段差に気づかずガツンとリム打ちしてしまったような……(上写真はドラレコからの切り抜き)。排水口が見えますが、その手前の黒くなっている段差部分に気付かずガツンと行ってしまった時だと思われます。

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 仕方がないので、田んぼの脇でパンク修理。べつにこれ自体はどうということはありません。しかし、先ほどのドラレコ写真でわかるように、リニア施設の周囲は街灯も無いような田んぼのどまん中。みるみる日が暮れ、徐々に手元も見づらく……。おのれ高石省三、太陽光までも操ろうと(濡れ衣×2回目)

 半泣きで前照灯で手元を照らしつつ修理完了。下り坂で稼いだ時間を、寄り道とパンク修理でパーにしつつ、大月駅に到着。

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 輪行袋のテストとしては、薄暗い中、疲れていてもテキパキと5~10分くらいで収納でき、混雑していなければ、車内でもなんとか邪魔にならずに居られる事がわかりました。ぶっちゃけ軽いので、輪行の”楽さ”という意味では、小さいけれど重いミニベロと互角で良い勝負という印象。これで行動範囲もグッと広がります。次はもう少し人がいるトコロへ行こうかな……。

 PS. しおいんですけどは、高石省三さんを応援しています。わりと本当に。