大昔に「AVAファン向け漫画紹介」と銘打って、ミリタリー色の強い漫画を紹介した事がありました。まったくウケませんでしたが。

 そんな過去は気にせず、最近趣味になった自転車系の漫画も紹介していきたいと30分前に思いつきました。

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 まずは玉井雪雄氏の「じこまん」。玉井氏は平凡なサラリーマンが自転車と出会い、人生が変化していく「かもめ☆チャンス」などを連載されており、なら「かもめ☆チャンス」を紹介しろよという話ですが、こちらの「じこまん」も負けず劣らず面白いのでチョイス。

 趣味系を題材とした漫画は、自転車だけでなく、バイクや車、鉄道など、いろいろ存在しますが、漫画としての形式は幾つかのパターンに絞られます。まず、あくまでストーリーがメインで、そこに趣味世界の楽しさを織り交ぜ、興味の無い読者にも、その楽しさをそれとなく伝えるタイプ(熱血スポーツモノとかも、その一種と言える)。

 もう1つは、ストーリーの魅力で惹きつけるのではなく、その趣味に没頭している人達の奇妙さ、滑稽さをオーバーに描き、無趣味の主人公がそんな人達に振り回されるようなギャグっぽいタイプ(ひょんな事から鉄オタ、アニオタ、エロゲ脳、ニコ中だらけの部活に引き入れられちゃった! 私の高校生活どーなっちゃうの的な感じ)。これらの派生系として、登場人物が美少女だらけだったり、鉄道やロードバイクを擬人化、美少女化してしまい、彼女達にワーワーやらせるタイプも存在します。

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 「じこまん」は、ストーリーモノではなく、自転車にハマった作者自身が、自転車購入で悩んだり、レースで奮闘したり、自転車ウェアのこだわりを解説したりといった、セルフレポート的なスタンスの漫画で、趣味系のコミックとしては結構珍しいと思います。

 それゆえ、ストーリー漫画よりも"自転車にまつわる情報”の密度が非常に濃く、読み応えがあります。ただ、このスタイルですと、自転車に興味が無いととっつきにくいという弱点が。しかし、この作品の場合、そもそも作者がロードバイクを買う前から作品がスタートするので共感しやすく、すんなり読み進められるようになっています。

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(男裸露出度が基準値を超えると登場するじこ満子が無駄にエロい※褒め言葉)

 内容としては、MTBのタイヤ交換などからスタートし、ロード購入で本格的にハマり、いろいろな失敗も重ねつつも、人間に残された最後の価値観である”自己満足”を、自転車趣味で最大限に得ようとする奮戦記で、ロード好きなら「あるある」と笑ってしまう体験談の連続。

 本来、そんな場所まで自転車で行く必要はまったくないトコロに自転車で乗り付けたり、登る必要のない山をヒーコラ走破する事は他人から見れば「なにやってんの」と呆れられるだけですが、自分が満足して、楽しいと思えばそれが最高なんだと言う境地の潔さが清々しく貫かれています。

 それが面白いと同時に、「こんな事をすると、こんな自己満足に浸れるのか」という、いい意味でのダメな参考書と化していて素敵。こうした自己満足が、他人の幸福にも貢献できれば世の中うまく行くのですが、そんなうまい話はほぼ存在しない事を知った年齢になればなるほど輝く価値観、それが「じこまん」なのです。

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