※写真撮影の関係上、最終回は私(へるはうんど)が筆を取ります※
~前回までのあらすじ~
平日昼間のネットサーフィンの末、お値打ち品を見つけたのんれす氏。しかし、販売店は千葉の船橋。なんやかんやで、そこから都内にあるのんれす宅に自走で帰らなければならないらしい。死ぬじゃん。
何故生存率が低いのか? 思いつく理由は以下の通り。
そんな動機で、千葉からの道案内は私がする事に。距離にして都内から約40km。自走で千葉まで行って、のんれす氏と戻ってくると往復約80kmの長旅になりますが、私が小径車で挑戦していたロングライドに毛の生えたような距離。ロードとしては、ロングライドと言えないような近距離です。
しかし、私も初ロードを購入したばかりで、不慣れな状態。練習として最適なのではないかという目論見もあります。という事で、私が家から自走で千葉の店舗へ、のんれす氏は行きを電車で、帰りは2人で都内まで自走で帰還という無謀なプロジェクトが発動しました。
私も人生初ロード購入直後であり、“おっかなびっくりライド能力”としては、のんれす氏と似たようなものです。しかし、ミニベロでロングライドの大変さはある程度わかっていますので、気を引き締めないと「マジで何か起こるかも」という予感も。できるだけ早朝の車の少ない時間帯を選び、幹線道路と飛ばし、なんとか千葉へと辿り着きました。
行きは孤独な旅なのではしょって書いてますが、人生初ピンディングペダルで上手く外れず1回道路沿いのGS出光の看板にすがりついて半泣きで死にかけたりしています(この話はまたの機会に)。
たどりついたのは、巨大過ぎる某ショッピングモール。チャリ屋も都内では見たことがないほどの規模で、度肝を抜かれます。そもそも購入したチャリを、そのままモール内で転がしながら移動できる時点で、“さすが千葉”と言うほかありません。
さっそく愛車のMADONE3.1を受け取るのんれす氏。型落ちモデルで低価格というのは別にしても、JRと地下鉄の運賃を微細に比較し、10円でも安い経路を編み出す事に人生の7割を捧げるほど倹約家の彼が、まさかこんな10万円以上する高価な自転車を買うとは……。にわかに信じがたい光景です。
欲を言えば、この場でヘルメットやら通気性の良いサイクルジャージ、ずり落ちてこないメッセンジャーバッグなどを買い揃えておけば幾らかは自走が楽になるのですが、そのあたりの必要性は、一度自分で痛感してみないとわからないもの。衣類は風邪をひく程度で済みますが、ヘルメットは必要性を痛感したと同時に、あの世へ行っている可能性もあるのでできれば買って欲しいですが、「まあ今日はいいよ」と予想通りの返答。
とはいえ、自分も最初にミニベロ買った時はそうだったので、仕方ない面もあります。まあミニベロ買った時は、その足で自走で40km帰る事もなかったんですがw
巨大ショッピングモールですので、随所に店舗が出展していないブランクスペースが。にしても本当に広い。まるで体育館です。
のwwwるwwwなwwwww
遊んでないで外に出ましょう。
俺からかっぱらったズボンの裾用ベルト(チェーンやギアなどに裾が触れたりするのを防ぐためのもの)を装着。
「え?事前に用意していたチャリンコ用装備があるって!?
なになに、何買ったの!?」
「ロングライド時の手へのダメージを軽減し、寒さも防ぐサイクル用グローブを用意してきた」
ぐwwwんwwてww
かwwwよwwww
それが、のんれす氏を見た最後になるとは、
その時の僕には知るよしもなかったのです……。
というか歩道を走るな。
並べるとこんな感じ。ライトサイドとダークサイド、抜けるような米国の青空と、毒のあるクモみたいな。
おお、さすが元野球部。すぐにコツを掴んだようです嘘ですが。
40kmのロングライドにおける、記念スべき5km地点に到着。
「俺の体内GPSによると、
38kmは来たハズなんだが」
「黙って乗れ」
不慣れな自転車+ノーヘルでハンガーノック(低血糖による身体の運動機能低下)になると洒落にならないので、休憩と甘いものの補給は無理にでもとらせます。ハンガーノックになった事がない人は「飴玉なめてりゃいいんじゃないの?」、「さっき甘いジュースちょっと飲んだからいいよ」と言いますが、これも実際に陥って、自分の体に異変が起きてみないと懲りないもの。1時間くらいライドして「足や腕がダルイけど、運動不足のせいだろう」、「俺に根性がないせいだろう」と思っているあなた、単なる糖分不足です(マジ)。
途中、トレック・マドン乗りのロード大先輩に両国あたりまで快調に引いてもらったりしつつ、なんとか秋葉原をかすめて靖国神社方面へ到達。
しかし案の定、Tシャツ+保温性の高い上着というスタイルのんれす氏は、汗でビチャビチャになったTシャツの湿気が防寒着で外に逃げず、休憩しても、冷えた汗で体力を奪われるという悪循環。かといって着替えもないので我慢するしかないという状態。自称サイクルグローブの軍手も、想定外の使われ方で効果を発揮するはずもなく、軍手内で手の皮が剥けてきています。
しかし、嘆いていてもはじまらない。とにかく家に帰らねばなりません。最初のチャリンコ屋で輪行袋買って電車で帰れば良かったのにとか思ったアナタ、その通り。ですがなんというか、ある種のロマン? みたいな。初ロード購入で40km自走で帰宅ってちょっとおもしろいかなと。当時の我々は思ったわけです。当然後悔しておりますが。
20kmを超えたあたりから、のんれす氏の顔の表情筋が弛緩。
私も余裕かまして写真なんぞ撮っていますが、まだ慣れないロード&ピンディングペダルで、既に60kmは走っているので疲れも蓄積しています。ただ、その疲れが良い方に作用して、体に負担が少ないライディングポジションというのが、なんとなくわかってきたような気がします。
余計な力が入っていると、そこから痛みが生じます。特に腕が痛くなるのは、上半身の重さを腕で支えようとしているからでしょう。お店で教えてもらった基本姿勢を思い出しながら、「腕は添えるだけ、背中とお腹の形を意識しながら……」と念仏のように繰り返しながら走ります。すると後ろから「腕が痛くてもげそう」とのんれす氏。やはり誰しも、最初は腕の力で上半身を支えようとしてしまうようです。これは要練習ですな。
千葉から3時間ちょっと。行きは2時間半でしたが、帰路はのんれす氏を意識してゆっくり走り、こまめに休憩をとったので少し時間がかかりました。しかし、転倒や接触も無く、なんとか無事に新宿へ到着。見知った街に到着した事で、のんれす氏の元気も少し回復。
ほぼ全行程を幹線道路で、車と併走していましたが、加速が鋭く、巡航速度もそれなりに出るので小径車よりも長旅が苦にならないことを改めて実感しました。80km程度でロングライドをどうこう言うのもおこがましいですが……。
ただ、ヒヨッコの我々にとっては、かなりの大冒険であったのは事実。スポーツドリンクと甘いもので互いの健闘を讃えあいつつ、ここからは、それぞれの家路へと最後の旅路がはじまります。
今回の無謀なライドの最終結果は、約40kmを3時間半ほどで走破。消費カロリーは1,318キロカロリー。ちなみに私は往復で約80km、約2,200キロカロリーの消費となりました。なんとなく100kmの大台が見えてきましたが、もっと練習して、長距離を楽に走れるようにならんとイカンですな。
「じゃあお疲れさん。最後まで気を抜かずに」
「うん。ただ、最後の問題として……。
盗難が怖いからマンションの部屋の中で保管しようと思うんだ」
「高価な自転車だから、それが良いんじゃない?」
「俺んち9階なんだけど、
マンションのエレベーター、自転車乗り入れ禁止なんだよな」
「ちょwwwwwおまwwwwwww」
~前回までのあらすじ~
平日昼間のネットサーフィンの末、お値打ち品を見つけたのんれす氏。しかし、販売店は千葉の船橋。なんやかんやで、そこから都内にあるのんれす宅に自走で帰らなければならないらしい。死ぬじゃん。
何故生存率が低いのか? 思いつく理由は以下の通り。
- 道がわからない
年収45万リラののんれす氏はスマホ不所持。GPS付きサイコンも未購入。そして遭難へ…… - 交通事故の危険性
初のロードバーク購入直後、幹線道路を約40kmロングライド。運動不足は私と良い勝負 - 装備不足
自転車用の通気性の良いサイクルジャージ、パンツ、手袋、バッグなど何も無し - ヘルメットすら未購入
披露や路面の突起でバランスを崩して右側に転倒
→10tダンプが丁寧にアイロンプレス
→のんれすだった赤いシミ爆誕
そんな動機で、千葉からの道案内は私がする事に。距離にして都内から約40km。自走で千葉まで行って、のんれす氏と戻ってくると往復約80kmの長旅になりますが、私が小径車で挑戦していたロングライドに毛の生えたような距離。ロードとしては、ロングライドと言えないような近距離です。
しかし、私も初ロードを購入したばかりで、不慣れな状態。練習として最適なのではないかという目論見もあります。という事で、私が家から自走で千葉の店舗へ、のんれす氏は行きを電車で、帰りは2人で都内まで自走で帰還という無謀なプロジェクトが発動しました。
私も人生初ロード購入直後であり、“おっかなびっくりライド能力”としては、のんれす氏と似たようなものです。しかし、ミニベロでロングライドの大変さはある程度わかっていますので、気を引き締めないと「マジで何か起こるかも」という予感も。できるだけ早朝の車の少ない時間帯を選び、幹線道路と飛ばし、なんとか千葉へと辿り着きました。
行きは孤独な旅なのではしょって書いてますが、人生初ピンディングペダルで上手く外れず1回道路沿いのGS出光の看板にすがりついて半泣きで死にかけたりしています(この話はまたの機会に)。
たどりついたのは、巨大過ぎる某ショッピングモール。チャリ屋も都内では見たことがないほどの規模で、度肝を抜かれます。そもそも購入したチャリを、そのままモール内で転がしながら移動できる時点で、“さすが千葉”と言うほかありません。
さっそく愛車のMADONE3.1を受け取るのんれす氏。型落ちモデルで低価格というのは別にしても、JRと地下鉄の運賃を微細に比較し、10円でも安い経路を編み出す事に人生の7割を捧げるほど倹約家の彼が、まさかこんな10万円以上する高価な自転車を買うとは……。にわかに信じがたい光景です。
欲を言えば、この場でヘルメットやら通気性の良いサイクルジャージ、ずり落ちてこないメッセンジャーバッグなどを買い揃えておけば幾らかは自走が楽になるのですが、そのあたりの必要性は、一度自分で痛感してみないとわからないもの。衣類は風邪をひく程度で済みますが、ヘルメットは必要性を痛感したと同時に、あの世へ行っている可能性もあるのでできれば買って欲しいですが、「まあ今日はいいよ」と予想通りの返答。
とはいえ、自分も最初にミニベロ買った時はそうだったので、仕方ない面もあります。まあミニベロ買った時は、その足で自走で40km帰る事もなかったんですがw
巨大ショッピングモールですので、随所に店舗が出展していないブランクスペースが。にしても本当に広い。まるで体育館です。
のwwwるwwwなwwwww
遊んでないで外に出ましょう。
俺からかっぱらったズボンの裾用ベルト(チェーンやギアなどに裾が触れたりするのを防ぐためのもの)を装着。
「え?事前に用意していたチャリンコ用装備があるって!?
なになに、何買ったの!?」
「ロングライド時の手へのダメージを軽減し、寒さも防ぐサイクル用グローブを用意してきた」
ぐwwwんwwてww
かwwwよwwww
それが、のんれす氏を見た最後になるとは、
その時の僕には知るよしもなかったのです……。
というか歩道を走るな。
並べるとこんな感じ。ライトサイドとダークサイド、抜けるような米国の青空と、毒のあるクモみたいな。
おお、さすが元野球部。すぐにコツを掴んだようです嘘ですが。
40kmのロングライドにおける、記念スべき5km地点に到着。
「俺の体内GPSによると、
38kmは来たハズなんだが」
「黙って乗れ」
不慣れな自転車+ノーヘルでハンガーノック(低血糖による身体の運動機能低下)になると洒落にならないので、休憩と甘いものの補給は無理にでもとらせます。ハンガーノックになった事がない人は「飴玉なめてりゃいいんじゃないの?」、「さっき甘いジュースちょっと飲んだからいいよ」と言いますが、これも実際に陥って、自分の体に異変が起きてみないと懲りないもの。1時間くらいライドして「足や腕がダルイけど、運動不足のせいだろう」、「俺に根性がないせいだろう」と思っているあなた、単なる糖分不足です(マジ)。
途中、トレック・マドン乗りのロード大先輩に両国あたりまで快調に引いてもらったりしつつ、なんとか秋葉原をかすめて靖国神社方面へ到達。
しかし案の定、Tシャツ+保温性の高い上着というスタイルのんれす氏は、汗でビチャビチャになったTシャツの湿気が防寒着で外に逃げず、休憩しても、冷えた汗で体力を奪われるという悪循環。かといって着替えもないので我慢するしかないという状態。自称サイクルグローブの軍手も、想定外の使われ方で効果を発揮するはずもなく、軍手内で手の皮が剥けてきています。
しかし、嘆いていてもはじまらない。とにかく家に帰らねばなりません。最初のチャリンコ屋で輪行袋買って電車で帰れば良かったのにとか思ったアナタ、その通り。ですがなんというか、ある種のロマン? みたいな。初ロード購入で40km自走で帰宅ってちょっとおもしろいかなと。当時の我々は思ったわけです。当然後悔しておりますが。
20kmを超えたあたりから、のんれす氏の顔の表情筋が弛緩。
私も余裕かまして写真なんぞ撮っていますが、まだ慣れないロード&ピンディングペダルで、既に60kmは走っているので疲れも蓄積しています。ただ、その疲れが良い方に作用して、体に負担が少ないライディングポジションというのが、なんとなくわかってきたような気がします。
余計な力が入っていると、そこから痛みが生じます。特に腕が痛くなるのは、上半身の重さを腕で支えようとしているからでしょう。お店で教えてもらった基本姿勢を思い出しながら、「腕は添えるだけ、背中とお腹の形を意識しながら……」と念仏のように繰り返しながら走ります。すると後ろから「腕が痛くてもげそう」とのんれす氏。やはり誰しも、最初は腕の力で上半身を支えようとしてしまうようです。これは要練習ですな。
千葉から3時間ちょっと。行きは2時間半でしたが、帰路はのんれす氏を意識してゆっくり走り、こまめに休憩をとったので少し時間がかかりました。しかし、転倒や接触も無く、なんとか無事に新宿へ到着。見知った街に到着した事で、のんれす氏の元気も少し回復。
ほぼ全行程を幹線道路で、車と併走していましたが、加速が鋭く、巡航速度もそれなりに出るので小径車よりも長旅が苦にならないことを改めて実感しました。80km程度でロングライドをどうこう言うのもおこがましいですが……。
ただ、ヒヨッコの我々にとっては、かなりの大冒険であったのは事実。スポーツドリンクと甘いもので互いの健闘を讃えあいつつ、ここからは、それぞれの家路へと最後の旅路がはじまります。
今回の無謀なライドの最終結果は、約40kmを3時間半ほどで走破。消費カロリーは1,318キロカロリー。ちなみに私は往復で約80km、約2,200キロカロリーの消費となりました。なんとなく100kmの大台が見えてきましたが、もっと練習して、長距離を楽に走れるようにならんとイカンですな。
「じゃあお疲れさん。最後まで気を抜かずに」
「うん。ただ、最後の問題として……。
盗難が怖いからマンションの部屋の中で保管しようと思うんだ」
「高価な自転車だから、それが良いんじゃない?」
「俺んち9階なんだけど、
マンションのエレベーター、自転車乗り入れ禁止なんだよな」
「ちょwwwwwおまwwwwwww」