前回までのあらすじ

 健康&運動不足解消&小回りの効いた撮影用輪行移動手段として小径車(ミニベロ)を購入。軽い自転車が非常に良く走る事に感動し、50km超えのロングライドも嬉々として挑戦する意味不明な精神状態に陥った男のもとに、大規模自転車イベント「サイクルモードインターナショナル」(つまりチャリンコ版モーターショー)開催の情報がもたらされた!!

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 前日日付変わりまで仕事でしたが、早起きして行ってまいりました「サイクルモードインターナショナル」。幕張メッセまでチャリで(アホか)

 本当に全部チャリで行くと、イベント終わってカンブリア紀になってしまうので、まあチャリで行った気分が味わえそうで、ゴチャゴチャと走りにくい都内を抜けた、幕張メッセまで15km地点あたりまで電車で移動。そこからチャリンコという計画。

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 いつもイベント取材帰りに揺られる京葉線の中から呆然と見渡す道路を、逆に道路から嬉々として撮影。社会も自分も変えなくても、見方を変えれば世の中は変化する。

 埋立地の海沿いを、快適にサイクリング……のつもりでしたが、何この交通量。何この巨大ダンプカー率。ゼエゼエと有酸素運動のお手本よろしく空気を循環する私の循環器系統に容赦無く取り込まれていく排ガス。しかも超重量級のダンプで踏み固められた豆腐のように脆弱な路面は、さながら波乗りジョニーのように私の小径車をポンピング。

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 京葉道路と東関東自動車道は鬼門と悟り、たまらずイケアだかケフィアだかいう家具業界のユニクロあたりから、海沿いの15号線へと退避。するといきなり別世界。自転車用道路が整備され、自転車どころか人っ子一人いやしねえ。これぞまさに埋立地。

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 メッセに近づくと、どこから集まってきたんだと言うくらい増えていく高級ロードバイク。生まれたての子鹿のように健気に前に進む私のミニベロちゃんを、3倍くらいのスピードでぶち抜いて行かれます。おのれ、俺も会場でロードバイク試乗したる。そう、何を隠そう、今回のイベント参加の第一目標は「いつも涼しい顔でおいどんを抜いていくロードバイクに初めて乗ってみてどんくらい速いのか体験してみるでごわす」。

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 到着すると、メッセの前に広大な駐輪場が出現。自転車群を見渡すヤグラの上には、拡声器を持った警備員。丁寧なアナウンスを要約すると「自転車置いたら5秒で出てけ」。駐輪時には身分証や自分の自転車情報の記入、駐輪時にはおかしな挙動をしていないか警備員のマンツーマン監視付き。おそらくこの世で最も盗難困難な駐輪場。安心感は半端ないが、自分の自転車に鍵をかけながら「刑務作業ってこんな感じなんだろうか」と思ってしまうのは非リア充のテロメアが成せる技。

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 カウンターに行くと、手錠、もとい、「試乗パス」が巻かれます。試乗に関して、もろもろの誓約書にサインしたので試乗させてねという印のようなもの。コレがないと試乗はできません。まあ、何十万もする自転車をホイホイ貸し出してくれるわけで、何処の誰だかくらいはわからないとアカンでしょう。

 では、いざ会場ホールに珍入!!

 って、メッセの中に、チャリンコ走ってるよ!!

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 しかもはええwwwwwwww

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 なんか凸凹ロードまであるよ

 いつものIT系展示会やアニメ系イベントで踏み鳴らし飽きたメッセの床に、展示棟ぶち抜きでコースを作り、チャリンコが凄いスピードで走りぬけていく様子は、私のようなインドア派人間にはかなり衝撃的。こんな事にも使えんだ、この会場。行列したり、足を棒にして歩きまわる事が私の中のイベント感でしたが、こんなイベント疲労の仕方があるとは……。

 では、さっそくロードバイクに試乗……は無理だって乗ったことないもの。こんなスピードの試乗コースに、操作もおぼつかないままヨロヨロ出て行ってひっくり返って壊したら怖いもの。

 そんな事を考えながら呆然と立ち尽くす私に、受付の兄ちゃんから「初心者用の練習コーナーがありますよ」と、天の声が。そこにはローラー台に鎮座したロードバイクが多数。

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 私と同じように、ロードバイク初体験という人はかなりいるようで、そういった人を対象に、ヘルメットの前後ろから、またがり方のレベルから丁寧にレクチャーしてくれるチャリンコ先生。講習中にさりげなく自分が勤める自転車店のアピールをして新規顧客を獲得せとする先生に導かれつつ、ギアチェンジの方法や、楽な乗り降りの仕方などを20分ほど練習。オラ、ちょっと落ち着いて来たゾ。これなら乗れんじゃねえかな。

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 試乗コースはブースの外周を使って作られていて、そこから細いコースが枝分かれ。各ブースでお目当ての自転車を借り、F1のピットから出る時のような感じで、本線へ合流する……という流れ。つまり、どのメーカーに行き、どんな自転車を借りるか考えねばなりません。

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 人気・注目車の場合、当然ながら順番待ちは長蛇の列に。しかし、私の場合、「とりあえずロードバイクに乗ってみたい」しか考えていないので、ぶっちゃけ「どの自転車でも良い」状態。並んでいる人達を尻目に、「待ち人ゼロ」で、「すぐに乗れます」と書いてある自転車にロックオン。「あのー、空いてるようでしたらこれ乗せてください」

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 「どうぞ」と貸し出された自転車を、手で支えた瞬間に驚くのは異様な程の軽さ。私のミニベロも11kgくらいしかありませんが、それより遙かに軽い。しかし、剛性は高いので、またがっても不安感は無く、羽根のように軽いけど硬い何かに乗っているような不思議な感覚。

 先生の指導を思い出しつつ、クランクを回してみると、想像していた1.8倍くらいのスピードで車体が前に。しかsも、鏡面を滑るようにツーッと惰性で前に転がり続けます。今までのママチャリや安物マウンテンバイク、ミニベロ、そして鈍重な原チャリとも違う、まったく異質な感覚に驚きながらも、ギアチェンジをしながら恐る恐る本線へ合流。流れに乗るため、いよいよ加速してみます。

 はえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ

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ちょwwっwなにこれwww なんでこんなにはええのww 意味わかんない はやくて怖いのに回さずにはいられないのこれなにこれなにwwwwwっwきめえwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

 あ、あまりのスピードに3週くらいしたはずが、意識が飛んでしまった。そう、これは私の翼だ! (by四畳半神話覇王大系リューナイト)

 ち、ちょっと気が動転している。今、俺に何が起こったんだ。マーカーライトファープか

 サイクリングウェアのファッションショーを見て落ち着こう……。

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 「あ、お姉さん、次はコレ貸してください」

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 はええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ

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なんだこりゃ!! なんなんだこの乗り物はwwwwwwwwwwwwwwwwうえええwwwwwwwwwしぬwwwwwwwwwwwwwwwww



 サイクルウェアってなんかエロくね? 気のせいか

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 はええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ

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 以下、4兆回ループ。

 いや、速いのは何度も抜かれて実感してきましたし、乗ってみたら速いだろうなとは思っていましたが、こんなに凄いもんだとは……。感覚的に言うと、今までのマウンテンバイクやミニベロで「俺はええぜ!!」と思っていた全速力のスピードに、鼻歌交じりの5割くらいの力を入れただけで到達するような感覚。

 今のミニベロは、サイコン画面を見ながら時速20~25km程度で巡航しょうと頑張ってますが、ロードではクシャミしているうちにそんな速度に到達。ちょっとまじめに走ると、30km~35km程度。おそらく飛ばせば50km、60kmまで行くでしょう。坂道で100km超える選手もいるとかいう話も頷けます。

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 自分の足でまわしただけ速くなるプリミティブさと、わずかな操作でも反応してくれるセンシティブな人馬一体感。こりゃー気持よくてハマるのもわかります。ブレーキの効き具合も恐ろしいレベル(この速度で急ブレーキかけたらどうなんだろと軽くやってみたら後輪スライドしたww)。

 同時に、今までの適当なチャリンコのスピードで、不注意から車や障害物にぶつかりそうになったりする「ヒヤッと」体験が、このスピードで起きた場合、冗談抜きで「カーブ曲がりきれずに谷底コース」もありえるなと。車もバイクもなんでもそうですが、このレベルの乗り物に見合う意識や技術を磨いていくつもりじゃないと、またがる資格がないようにも感じます。

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 他の人が目当ての試乗車に並ぶのをよそに、乗って大はしゃぎして戻ってきてから「えーっと、お前はなんて名前で、幾らで売ってるんだ? 」と、一人だけ逆の確認作業をする場違い感。「凄く良い自転車だった!」と思って返却した後、誰も試乗しようとしないその自転車を見ていると、「他の奴にはお前の凄さがわからんのだ! 気にするな! なんなら俺が買ってやる」と、妙に悲しい気分になるのはなぜでしょう。片手に足る台数試乗しただけで「自転車の良さ」を語るお前が何様だという話ですが。

 いろいろ乗るうちに、フレームの素材の違いで、乗り心地の違いもなんとなくわかるようになり、踏み込んだ時のフレームのしなりぐあい? というか、返って来る硬さにより、加速時の気持ちよさが違う事も体感。ねばりがあると足の延長のように感じられ、「オラオラどんどん行くぜ」という気になる一方、硬くてクールな自転車だと「緩急をつけず、このスピードを維持してどこまでも進もう」という気になったり。

 自転車のサイズにもいろいろありますが、試乗では簡単にサドルの高さを合わせる程度なので、自分の体にピッタリフィットするかどうかの重要性も実感(特にブレーキと自分の距離)。そこらへんがピッタリと体に合うと、とにかく楽で気持ちがいいというのも実感しました。

 中でも、ピナレロの「FP TEAM 44.5SL(C-C) トップ520」というモデルが、まるでオーダーメイドのように私の体にピッタリ。あまりの気持ちよさに試乗コースの柵をぶち壊してそのまま家に帰りたくなります。

 「いやぁー、相棒、お前いいわ。幾らで売ってんだ?」と名札を見てみると、

 フルカーボンで319,000円。

 たけええええwwwwwwwwwww

 でも、べつに買えない事もないところがこえええええwwwwww

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 ____________続く。