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 仕事用の文鎮カメラ(D3)を放り投げ、NEX-7で遊びつつ、合間に仕事もしています。ソニーのミラーレス高級機というイメージのあるNEX-7ですが、金銭感覚が狂ったカメラオタの間では、「安いくせに、マウントアダプタで遊び倒せるカメラ」としてわりと人気です。

 理由は幾つかありますが、フランジバックが短く、撮像素子が大きいので焦点距離が1.5倍化で済む(OLYMPUS OM-D E-M5のようなマイクロフォーサーズでは2倍になってしまう)、ピーキング機能+コントラストの高い有機ELファインダーでマニュアルピント合わせが楽など。専門用語羅列で意味不明ですが、簡単に言うと「昔のレンズがイロイロ取り付けられて、撮影しやすい」ということ。中古屋で怪しげなレンズをあれこれ買い込み、写りの違いを楽しむ事を趣味にしている人には、使いやすいボディなのです。

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 カメラ好きの人が東京でウロウロする場所と言えば、銀座や新宿、中野、秋葉原あたりでしょうか。欲しい物を探す時は、品ぞろえ豊富な大規模店が便利ですが、特に中古で、正体不明のレンズや、意外な掘り出し物を探すなら、下町に昔からあるようなカメラ屋が狙い目。古本屋に通じるものがあります。

 しかし、そうしたお店を足で巡るのは面倒。というわけで、たまにそうしたお店が一箇所に集まり、お宝を並べてくれるイベント「中古カメラフェア」があります。銀座の松屋でやってる事が多いですが、今年は渋谷の東急で開催されました。

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 会場はこんな感じ。古めかしくもカッコイイカメラが沢山並んでいます。わかりやすいところで紹介すると、写っているカメラは、アニメ「たまゆら」ファンにはお馴染み、「ローライ35s」。ドイツ製のカメラです。たまにシンガポール製も混じっているの要注意。これで尾道を巡礼するのが正しい作法と言えましょう。

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 これが真のローアングラーだ!!

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 ストラップや説明書、カメラバッグ、整備用品など、周辺機器もイロイロあるので、お金がなくてもわりと楽しめます。最近のカメラ女子ブームで、中古カメラ屋でも若い女性もよく見かけるようになりました。

 渋谷会場で面白いのは、催し物会場がある8Fに併設された、屋上部分。外に出る事ができ、ドアをくぐると、絶滅したはずの“昭和のデパートの屋上”が目の前に広がり、タイムスリップ気分が味わえます。

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 戦前・戦中レベルの骨董品カメラやレンズの山をにらみ、財布の重さを気にしながら、スマホで相場を検索。頭が疲れたら寂れた遊戯場に退避して、体に悪そうな色のメロンソーダで休憩。100円ゴーカートに呆然と揺られる小学生を見物するという趣向。

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 ここ、本当に渋谷のどまん中か!?

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 ゲームセンターCXに出てくる「たまに行くならこんなゲーセン」以外のナニモノでもありません。ある意味、絵になり、廃墟好きの血が騒ぎます。

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 そんなこんなで戦利品。ライカMマウント用のレンズで、フォクトレンダーの「NOKTON classic 35mm F1.4 MC」。フォクトレンダーは1750年代にウィーンで創業された、「なんすかそれ」レベルの老舗ですが、紆余曲折あって現在では長野県でレンズが作られているという、紆余曲折ありすぎだろという素敵なメーカー(正確には現存するブランド)。NEX-7には、NEX用のMマウントアダプタを介して装着します。

 フードは純正品。「おねがいティーチャー&ツインズ」の舞台地である長野を巡礼するなら、信州生まれのレンズでないといけませんわ!! 口に雑巾ねじ込みますわよ! ギニャー!! 真面目にレンズの情報を書いているうちに何のブログかわからなくなってまいりました。

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 ノクトン(Nokton)は、Nokt、つまり“夜”という意味。開放F値が1.4と非常に明るく、「暗い夜でも撮影できる、明るい大口径レンズ」という意味です。ニコンの夜景用レンズに「ノクトニッコール(AI Noct Nikkor 58mm F1.2)」てのがありますが、同じようなモンです。夜にグラサンかけたら何も見えないのと同じ事です。

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 わざわざ「Classic」という名前がついているのは、このレンズが新しい製品だからです。復刻品とも少し違うのですが、伝説的に語られる昔のオールドレンズの銘玉を、今の最新技術で作ってみたら、「味わい深くて、描写もスゲエ」みたいなレンズになんじゃね? みたいなコンセプト。そのため、古めかしい外観ながら、信州でこないだ作られたみたいな、不思議なレンズが誕生したというわけ。懐古趣味と興味本位と現実的な価格の3要素で、上手く折り合いを付けたような印象です。

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 昔のレンズを再現というからには、お手本があるわけですが、このレンズはライカのズミクロン35mm(8枚玉)を意識したものと言われています。私もできればズミクロン欲しいですが、価格は5倍以上(25万円とか普通にします)。レンズ1個(しかも単焦点)でそんなにするのかと思われるかもしれませんが、そこはカメラ趣味界の帝王・ライカ。理屈じゃありません。「理屈じゃないんだ、フィルムなんだよ」、「ライカならば被写体に対峙した段階で撮影者の精神に神性の影響が」。ギニャー!! 私のような貧乏人は信州産を愛でて心の平静を保ちます。

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 マニュアルフォーカスでF1.4の明るいレンズですと、ピント合わせはシビア。速写性が求められる街角のスナップ撮影では、開放にこだわらず、F4など、少し絞り込んだ状態で、シャッターを切る前に被写体との距離を目測でおおよそ予測。カメラを構える動作をしながら、指の記憶を頼りに、その距離までピントリングを回しながらファインダーを覗き、サッと微調整してシャッターを切る。という動作が求められます。木村伊兵衛でないので無理です。

 小生のNEX-7の場合、親指位置にあるAE/AFロックボタンにMFアシスト機能(ピント合わせ用の表示拡大)を割り当て、ピーキング機能(ピントが合っている部分の輪郭を白や赤などの色で強調)も組み合わせると、開放でも結構素早くピントが合わせられます。嘘です。わりとモタモタやってます。遊びレンズなんでいいんです。

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 NEX-7に取り付けると、1.5倍掛けで約50mmの標準レンズになります。夜のレンズというだけあり、仕事の帰りなど、深夜の街歩きにはピッタリ。職質の警官にフラッシュ浴びせてニューナンブで足の甲を(続きはヴォイニッチ手稿で)。明るいレンズなので、立体感のある写真が撮影できます。

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 オールドレンズの再現版だけあり、開放F1.4ではフレアやゴーストが盛大に発生します。この写真(↑)も、オレンジ色の光の筋が横切っていますが、 輪ゴムのたらして撮影したわけではなく、鰐口のそばにある電球の光によるゴースト。こうした欠点を“味”として嬉しがり、「うひひ、開放で盛大に出とる出とる」とニンマリするのがマニアの楽しみ。どこか廃れたデパートの屋上や、廃墟を嬉しがる美学に通じるものがあります。

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