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 意外に忘れがちですが、PSPに無くて、PS Vitaから搭載された機能にBluetoothがあります。Bluetoothは汎用的な通信規格のことで、対応した製品同士をワイヤレスで接続できるというもの。例えば、同じくBluetoothに対応したiPhoneの場合、Bluetooth対応キーボードを使ってメールを書いたり、Bluetoothスピーカーから音を出す事が可能です。

 PS VitaでどんなBluetooth機器が使えるかは、仕様ページに書かれています。「BluetoothR 2.1+EDR準拠(A2DP/AVRCP/HSP対応)」とあり、後半の暗号のような略語(プロファイルと呼ぶ)がそれ。A2DP(音楽再生)、AVRCP(再生や停止などAV機器をリモコン操作)、HSP(ヘッドセット通話)という意味です。ちなみにHID(マウスやキーボードの接続)には対応していないので、Vitaでマウスやキーボードは使えません。ただ、ファームウェアのバージョンアップで対応プロファイルが増える機器も多々あるので、今後機能が強化される可能性はあります。

 ともあれ、現状Vitaの場合は、ゲームのサウンドをBluetoothスピーカーから再生したり、Bluetoothヘッドセットを使ってボイスチャットをしながらゲームをするといった事が可能です。

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 設定は簡単で、設定メニューから「Bluetooth機能」をONにするだけ。接続先の機器で、ペアリングモードを開始すると、Vita側からその機器が見つかり、後はPINコードを入力れば準備完了。ペアリングモードの開始方法やPINコードは、接続するBluetooth機器の説明書などに書かれています。

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 職業柄、いろいろなBluetoothスピーカーを触りましたが、サイズや手軽さ、音質の面で一番バランスが良いなぁと感じているのが「STB2825」というモデル。発売されてから随分経過しており、いろいろなメーカー(輸入代理店)からいろいろな製品名で販売されていたり、ややこやしいモデルで、フォルムを見ると最近では3000円程度の低価格バージョンもあるようです。 
 
 最大の特徴は、ぶった切ったパイプのようなフォルム。その両端にスピーカーユニットが外向きに搭載されています。

 ユニットが背中合わせで配置されている方式を、水平対向配置などと呼びますが、利点は大きく2つあります。1つは、小さな一体型筐体でも左右のユニットを極限まで離して配置でき、右と左の音が混ざらずに耳に届きやすくなり、ステレオ感が増大するという事(音が良く広がる)。

 もう1つは少し難しいのですが、ユニットの背面から出てしまう音の処理。水平対向配置をすると、左右のユニットの背面から放射された音波が、パイプの中央で打ち消し合う事になります(同位相駆動時の振動反作用力キャンセル)。このため、スピーカーの筐体に余分な振動が伝わらなくなり、筐体が振動して発生する汚い音が、ユニットの再生音を汚さず、結果的にクリアな音が聴けるというわけです。

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 もちろん、ちゃんとした大型スピーカーに太刀打ちできるような音は出ませんが、Vita本体の、高音寄りのシャラシャラしたサウンドとは次元の違う、腰の座った音に激変するので、アクションゲームなどでは臨場感が大幅に向上します。「ヘッドフォンとかイヤフォンでやればよくね?」と言う人もいると思いますが、家でもヘッドフォンをつけたくないという時もありますし……。

 Bluetoothスピーカーの場合、Vita以外でもiPhoneやAndroidスマホ、PCなど、対応機種は多いので、一台あると意外に重宝します。旅行や出張などでスピーカーが一台あると、ホテルで動画を見たり、音楽を聴く時の楽しさも結構アップするもんです。

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  「STB2825」で個人的に気に入っているのは、音質もそうですが、パイプ状の横長フォルムで、枕の上部に生まれる隙間などにポンと置きやすい事。寝転がってゲームする時に便利です。ただ、完全に筒状なので、コロコロ転がって床に落ちないように注意は必要です。ちなみにマイクも内蔵していて通話もできますし、コントロールボタンも備えて再生制御をスピーカー側からする事も可能(滅多に使いませんけど)。

 特にVitaのように映像が素晴らしく美しいゲーム機の場合、音がチープだと、映像と音のバランスが悪く、せっかくの映像も迫力が低下したように感じてしまいます。最近の大画面テレビは、薄型化を追求するあまりに音がペラペラになっていますが、あの状況と、どこか似ているものがあります。