牛丼チェーンの一角である“なか卯”。

そこそこ美味しい関西風のうどんを、
関東でも気軽に食べられるお店として貴重な存在である。

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牛丼にいつのまにかしらたきや豆腐が乱入し、
肉が減った事を隠したりするお茶目な一面もあるが、
基本的には手作りの親子丼や、辛さがやみつきになる坦々うどんなど、
ハズレメニューも少ない優良チェーンである。

.....3月22日までは。

我々の前に突如として降臨した新メニュー、
その名も「豚カルビとんこつうどん」

意味がわからない
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とんこつラーメンのスープは店舗によって味が千差万別だが、
基本的に白濁したスープはクリーミーでまろやかなものだ。
この風味は悪くいうと“ぼんやりした味”と形容する事もできる。

“バリカタ”や“ハリガネ”、“粉落とし”など、
とんこつラーメンの麺には、他のラーメンの麺と比べ、
硬さを基本とした“食感上の主張”が求められるのも、
スープが基本的にまろやかだからだ。

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写真はなんつッ亭のとんこつラーメン

うどんにも当然“コシ”という主張が求められるが、
相対的に、とんこつラーメンの麺ほど固いものではない。
もしうどんの太さで“バリカタ”をやったら、それは“コシ”
ではなく、“茹でていないないうどん粉そのもの”で、
きっと食えたものではないだろう。

そのため、とんこつラーメンのスープにうどんを入れると
“ぼんやりした味のスープ”に、“やわくて太い麺”が
組み合わさることになり、全体的に主張の少ない
“ぼんやりした味の食べ物”になってしまう。
端的に言えば“美味しくない”だろう。

そこでなか卯は、豚カルビの焼肉を上に乗せたのだ。

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意味がわからない

人の話を聞け

スープと麺の話をしているのに
誰が焼肉を乗せろと言った

さらに、なんっつッ亭ばりに、
黒々としたマー油(焦がしにんにく油)を流し込んだ。

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結果として、豚カルビの強い焼肉の味と、
強烈なニンニクのパンチが、ぼんやりとした
とんこつうどんに組み合わさる新感覚の食物が爆誕した。

これを3文字で形容すると

ヘル味

と言う。

美味いとかまずいとか、しおいとか、しおくないとかいう域を超え、
箸を持つ手が震える。


“豚カルビと白飯があれば俺は生きていける”

“ようするに、ニンニクを入れれば何でも美味いんだよ”

“とんこつラーメンのスープが永遠に湧き出るマグカップが”

おそらく自分の人生の中で、中高大学生と、
合計42回は口にしてきた言葉だ。

ああ、だがなか卯の神よ、
私は“全部を一度に食いたいと”願った事は無いはずだ。
それは禁断の扉だと、無意識にわかっていたからかもしれない。

だから“途中でこれを入れてみてください。味が変わります”
と言いたげに、おかかのパックを添付しないで欲しい。

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この味のミックスジュースの中に、
今さらいくばくかのおかかをふりかけて、
味など変わるわけがない。

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上品な味付けでおなじみの貴方が、
突然、なぜこのような禁断の扉を開いたのかわからない。
しかもスタート直後にもう最終コーナーだ

もう私にはどうしたらいいのかわからない。
開けた扉は自分で閉めてください。