
今まで私のライドを支えてくれたトップチューブバッグからお別れしようという計画。これまでの第1回ではCO2ボンベを、第2回ではアクションカム用のバッテリをバッグから取り除く事に成功しました。
残る課題は、最大にして最難関、スマートフォンをバッグから取り除きます。

ここでおさらい。
ローディーは、GARMINの専用サイコンを使っている人が多いですが、私はスマホをサイクルコンピュータとして使っている派です。今現在、どのような構成になっているかというと、以下の3つのハードウェアを組み合わせています。
- スマートフォン(Xperia Z1) + サイコンアプリ「runtastic Road Bike Pro」
- Wahoo Fitness スピード・ケイデンスセンサー Blue SC
- Wahoo Fitness 心拍計 Blue HR
スマートフォンにはGPSが搭載されているので、走行ルートのログ記録や、位置情報の変動からおおよそのスピードの計測は可能です。しかし、厳密なものではなく、ケイデンスや心拍数も計測はできません。そこで、ホイールの回転からスピードを計測、ペダルの回転からケイデンスを計測、さらに心拍数を計測する器具を追加。それらのデータをスマホに送り、アプリの「runtastic Road Bike Pro」で表示。記録も行なう……というカタチになっています。


ここらへんの話は、以前ウダウダと大量に書いているので、詳しくはそちらを御覧ください。また、これらの機器とスマホの通信には、消費電力を抑えながら機器間のデータ通信ができるBluetooth Low Energy(BLE/通称:Bluetoothスマート)という技術が使われています。
このスマホをサイコンに使う方法……、専用機器のサイクルコンピュータを購入するより、安上がりで済むという利点がありますが、2つの大きな問題がついてまわります。それが、スマホのバッテリが保たないという事。そしてスピードやケイデンス、心拍の確認をスマホの画面で行なう必要がある、という事です。
せっかくの各種データを確認するためには、視界の中にスマホを設置しておく必要があります。ですから、ハンドルに固定したり、トップチューブバッグに入れたりする必要が生まれます。また、バッテリが保たないため、モバイルバッテリからの給電も必要になる……、私がトップチューブバッグを使い続けていたのは、スマホをサイコンとして使う際の、この2つの問題から逃れられなかったからと、言い換える事ができます。

そもそも、なんでそんなにスマホのバッテリが消費されるのでしょうか?
GPSや速度、ケイデンス、心拍データを逐次記録し続けているから……というのもありますが、最近のバッテリ容量が増えたスマホにとっては、そこまで致命的にバッテリを食う処理ではありません。最大要因はやはり、もっともバッテリが消費される部分、ディスプレイです。
一時期「バッテリが3日持つぜ」とか、シャープが一生懸命CMで宣伝していた「IGZO(イグゾー)液晶」、ソニーが開発した「WhiteMagic」などの技術により、大画面のスマホでも、かなりの長時間利用が可能になってきました。これらは中身は違いますが、ディスプレイの消費電力を下げたり、同じ消費電力を使った場合に画面をより明るく見せたりするもので、バッテリ大食いのディスプレイをなんとかしようぜという目的は共通です。

その証拠に、試しにスマホをサイコンとして使いながら、ライドの途中で一回もディスプレイを表示させず、つまり、スマホの画面は真っ暗なままでライドを終えると、いつもは20%程度まで消費されているルートでも、70%くらい残っていたりします。
じゃあ画面消しとけよって話ですが、走行中にスピードとかケイデンスとか心拍を確認したくてイロイロ買い集めたのに、まったく画面表示しなかったら意味ねえじゃんと、フリダシに戻るわけです。

そこで登場するのが、第3回の主役。猫目から販売されている、「STRADA SMART」(ストラーダスマート)です。
なにこれ、単なる安くて小さい、機能最低限の、よく2,000円くらいで売ってるサイコンじゃん? と思いますが、実はなかなか高機能なシロモノ。何をするものかというと、下の図で一目瞭然です。

Bluetoothスマート通信で、スピード/ケイデンスセンサー、心拍センサーから情報を受け取り、表示・記録するスマホ。そのスマホから、スピード/ケイデンス/心拍などの、走行中に必要となるデータを、Bluetoothスマートで送ってもらい、表示するための小窓、それがSTRADA SMARTです。

よーするに、これさえあれば、スマホは背中のポケットに仕舞って、画面をOFFにしたまま、走行中に必要なデータだけを、ハンドルに取り付けた小窓で確認できる……。難しく言えば、「Bluetoothスマート経由でサイコンアプリの情報を表示する小型外部モニタ」のようなものです。


画面上にあるアイコンでわかりますが、普通のサイコンが表示できる情報に加え、スマホへの着信とか、メールが届いた事を知らせる表示もあります。他にも、アベレージの数値や、現在時刻、累積走行距離なども表示が可能。

本体裏にボタンが隠れていて、ハンドルなどに取り付けたストラーダスマートを、上からボタンのように押し込むと、カチカチと、各種表示が切り替わるようになっています。
実際にステムに取り付けてみると……

超見やすいwww
今までトップチューブバッグに入れたサイコンは、位置が自分に近すぎたり、スマホのディスプレイを覆うビニールのカバーが光を反射して見難くて、まともに各種データが確認できませんでしたが、コレはもうちょっと目を下に動かせば確認でき、快適そのもの。というかこれがサイコン専用機の一般的なスタイルなので、ようやくGARMINとか使っている人と同じようなスタートラインに立てたと言えるのかもしれません。

スマホはずっと背中のポケットの中。コンビニ休憩などで、ストラーダスマートとスマホが離れ離れになると、ストラーダスマートはデータを受けられず、スリープモードに。しかし、自転車に戻ってから、一度本体をポチッと押し込めば、「接続相手のスマホはどこかいな」と再び探しはじめ、背中のスマホを見つけて、再度、スマホから発せられている各種データを表示してくれるようになります。
もちろん、背中のスマホは走行中、一切ディスプレイは表示していないので、私のスマホ(Xperia Z1)の場合、100km近いライドをした後もバッテリは30%程度残っています。精神衛生上よろしくないという場合は、背中のポケットに、前回アクションカム給電用に紹介したANKERのミニモバイルバッテリをもう1本忍ばせているので、コンビニ休憩などでスマホと接続。背中にスマホを入れたまましばらく充電してやれば、まったく問題ありません。

すばらしい!! すばらしいぞストラーダスマート!!
まさにバッテリ問題に悩むスマホサイコン愛用者の救世主!!
……と、褒めちぎりたいところですが、3つほど気になる点があります。

1つ目は、ストラーダスマートとスマホを連携させる時に必要な専用アプリ、「Cateye Cycling」。このアプリは、Wahooのスピード/ケイデンス、心拍センサーから受け取った情報を記録すると共に、ストラーダスマートに再送する役目をしています。つまり、ストラーダスマートを利用する時は、このアプリで走行データの記録を行なう必要があります。
記録したデータは、CAT EYEが展開しているサービスの「CAT EYE Atlas」にクラウド保存できるほか、STRAVAと、TrainingPEAKSというサービスにもアップロードできます。しかし、私が愛用している「runtastic Road Bike Pro」には対応していません。
そこで、「runtastic Road Bike Pro」アプリと、ストラーダスマートを同時に起動。2つのアプリでログを録るというやや強引な手法を使う事に。まあ、これはこれでもイイのですが、何故か、2つのアプリを動かした状態だと、私のスマホでは「runtastic Road Bike Pro」側が心拍センサーを見失う事が多く、データとして不完全なものが記録されてしまいます。同じく、ストラーダスマートを使っている茶川探検隊のakikiさんは、問題なく2つのアプリが使えているそうなので、これは私のスマホとの相性の問題だと思われます。
待っていればいつかは、「Cateye Cycling」が記録したデータのアップロード先に、「runtastic」も追加されるのではないかという期待も抱いていますが、最近では「しょうがないなぁ」と思いながら使いはじめたSTRAVAの方が、runtasticよりも面白くて(他人の記録と競争できたりする)、これからSTRAVAを使っていけばいいやと思うようになってきましたww

2つ目は、ストラーダスマートのディスプレイにバックライト機能が無く、日が暮れると、何が表示されているのかサッパリ見えなくなる事ww まあ、これはストラーダスマート自体の消費電力の少なさなどに関係してきますが……。とはいえ、バックライト搭載型が出たら、そっちに乗り換えたいような気もします。
3つ目は、スマホの地図や、ナビアプリが当然ストラーダスマートの画面では見えないので、行ったことのない道を、地図やナビを頼りに進むという使い方ができない事。ある意味、これが一番の問題と言えます。逆に言えば、「知ってる道が大半」、「前日にPCや地図でしっかり予習する」、「道の確認はたまに背中からスマホを出せばOK」という人であれば、さほど問題にはならないかもしれません。
いちおう、これをなんとかできるのではないかというアイデアはありますが、まだ実行に移すかどうかは未定です。
……こうした様々な取り組みを経て、現在、トップチューブバッグとバイバイして、ライドを楽しむ事ができるようになりました。100km前後のライドであれば、基本的にはこのスタイルで。地図やナビを頼りに、超遠距離の冒険をするというような場合は、トップチューブバッグと大型モバイルバッテリを復活させて対応するという、2ウェイパターンで運用していく所存です。
ここまでアレコレ試行錯誤やってきた結論としては、はじめからGARMINのナビ付き専用サイコン「EDGE 800J」とか買っておけばそれでシンプルに済んだんじゃねーの? (TдT)>俺
まあ、過程を楽しむのが趣味ですし……ねぇ……。
ちなにみ、ストラーダスマートと類似の製品としては、「Wahoo Fitness サイクルコンピュータ RFLKT」や、PanoComputerなどがあります。※こうした機器を利用する場合は、組み合わせるスマホやOSのバージョンがBluetoothスマートに対応しているかなども、キチンとチェックする必要があるのであしからず。