オタ趣味とロードバイクのアルティメットな融合が刺激的で面白い同人誌「ロングライダース」。コミケやコミティアなどで新刊が出るたび購入し、今では同人ショップだけでなくAmazonでも買えるようになったり、最近ではテレビで特集されたりと大人気で、夏コミでは新刊の「3.5」も出されるようで、今から楽しみです(と言ってもヤボ用で私は今年の夏コミ参加できず)。
と、その前に、7月末に一迅社から「『ろんぐらいだぁす!』ツーリングガイド」という書籍が発売されました。本家の同人誌と似ていますが、こちらは以前紹介した三宅大志先生の自転車コミック「ろんぐらいだぁす!」の関連本という感じで、コミックでキャラクター達が走った峠を、実際にロードで走った時のレポートなどが記載されているガイド本になっています。有り体に言えば、「コミックの公式聖地巡礼レポ本」みたいな感じでしょうか。ただ、コミック自体の企画・原案もロングライダースさんなので、ニワトリが先か、卵が先かという感じもしますが。
細かい話はさておき、三宅先生による可愛いキャラ&ディテールも細かいロードバイクのイラストなどを交えつつ、様々な峠を走破するロングライドのレポが読めるというバラエティに富んだ内容で、200ページ超え(!)という大ボリュームで読み応え満点。後半は気軽に読めるコミックも満載で、濃レポと緩急があって良いです。
ただ、同人の「ロングライダース」と比べると、峠のレポが主体なので、文章パートはどちらかというと“中級~上級者向け”な印象を受けました。私が坂が苦手なのでそう感じるだけですけどもw
木崎湖の小熊山レポも面白いですが、峠レポで特に興味深かったのは白沢峠(嶺方峠)。簡単に言うと、長野から白馬へ、西に向かって山を超える国道406号線のこと。白馬は木崎湖にも近いので、長野から木崎湖に向かうルートの1つでもあります。山道を抜け、白馬へと至る後半は、目の前に北アルプス山々が広がるという絶景のご褒美つきルートだそうです。
いつも車で木崎湖に向かうと、諏訪湖方面から高速道路を走ってしまうので、「こういう道もあるんだなぁ」、「しかも自転車で走る人がいるから凄いよなぁ」、「峠を超えて最後にアルプスが広がるのはドラマチックだろうなぁ」と思いながら読んでいましたが、ふとデジャブを感じて冷静に記憶を検索してみると、俺この道走ったことある(車で)。
詳しい経緯は忘れましたが、長野を観光した後、いつもと違うルートで木崎湖に行ってみようと、まさにこの本で紹介されているルートで白馬に抜けたんでした。民家もまばらな山の中、行程としては60kmくらいだと思います。ただ、とにかく山の中なので、昼ごはんを食べようにもお店が無く、スマホで検索しつつ走行すると、鬼無里(きなさ/凄い名前だ)が美味しい蕎麦の里だと判明。そこで休憩しました。
道中はこんな感じ。
書籍の方では「旅の駅 鬼無里」の中の蕎麦屋さんが紹介されていますが、私は民家チックな、通好みっぽい店構えの「十割そば処 おに屋」というお店を選びました。店名そのまま、蕎麦はぜんぶ十割です。
店というより、誰かの家という感じ。
同行者(というかVrinks)は山菜の天ぷらをチョイス。
私は天ざるをお願いしました。
十割蕎麦は、簡単に言えば“蕎麦粉とそば打ちの腕に自信があるからつなぎの混ぜもんはしねえぜ”という蕎麦ですが、そのこだわりをお客により強く感じてもらおうと、噛んだ時に蕎麦の風味を強く感じさせるため、蕎麦自体が太くなる店が多い傾向にあります。そのため、イマイチな店だと、十割でそばの風味は感じられるけれど、太くて短くて、なんかボソボソした蕎麦だなというケースもしばしば。しかし、「おに屋」さんは、十割でも細身で綺麗な蕎麦で、表面のつるつる感もあり、のど越しの良さも味わえるタイプ。水切りも驚くほどシッカリしていて、空腹スパイスを抜きにしても非常に美味でした。東京で美味しいとされる蕎麦屋が多いあたりに住んでますが、やっぱ信州は一味違いますな。
このお店、一度お邪魔しただけですが、今でも季節のご挨拶ハガキを定期的に送ってくれる心配り。受け取るたびに、「ああ、また食べに行きたいなぁ」と思いますが、土日も休んでんだが働いてんだかわからない仕事をしていると、あの里は地理的にかなり遠く、「もう一度食うまでのハードルが果てしなく高けえ」と泣く日々です。
トンネルを抜けると北アルプス。
確かにこの絶景は、旅の目的の1つとして十分価値のあるものでした。
しかし、あの峠をロードバイクで超えるとは……。車で走り抜けた当時の私に、「この道を自転車で行く人がいるらしい」と言ったら、「頭がおかしい」と即答したでしょうが、今、ロードでそれなりの距離を走れるようになった身では、よりリアルにシミュレートでき、走ってもいないのに変な汗が出てきます。高低差のデータなどを見る限り、峠のキツさはそれほどでもなさそうですが、夏に走破するとなると大変そう……。ただ、確かに車で走っていても、道中の寂れた感じや、自然の雄大さ、そして最後に登場するアルプスの景色は素晴らしく、「あそこをロードで走ると、車の200倍くらい楽しいだろうなぁ」と、本を片手に妄想してしまいました。仕事やめたら走りに行こう……。
この時は車だったので望遠レンズがあったんですな。180mmか200mmか忘れましたが、スキー場のリフトが見えます。
白馬に降りるとこのような感じ。
ちなみに書き忘れてましたが、これは2年前の写真です。
アルプスあづみのセンチュリーライドで走ったばかりですが、また木崎湖行きたくなってきた……。