仕事に押し流されて、だいぶ忘却の彼方へ過ぎ去ろうとしている京都巡礼旅。夏も終わりの匂いがしてきましたので、写真から蝉の声が聴こえる気がするうちに、ペタペタと貼り付けてフェードアウトします。
「神社は好きだけど、寺院はイマイチ」とか言いつつ、お寺も回りました。有名で人が多いお寺は、写真撮影の被写体としては今ひとつなのでスルー。早朝に突撃すれば、人のいない境内を"そうだ、京都行こう”ばりに撮影できると思われますが、夏休みも昼夜逆転生活なのでそんな時間に起きられるはずもなく……。うだる熱さゆえ、数ある中でも、とりわけ日陰の多いお寺に吸い寄せられます。
苔に覆われた庭。まさに”苔寺”というやつです。苔寺と言えば世界遺産の西芳寺が有名ですが、そこではなく、ここは祇王寺(ぎおうじ)。借景の庭園が有名な嵐山の天龍寺から、竹林を抜けてしばし歩くと現れる……知名度は今ひとつですが、とてもフォトジェニックなお寺です。
パッと見、もののけ姫チックですが、屋久島の森とは違い、人の手が入った歴史ある風景。ジブリアニメで言うなら、ラピュタ上部の庭園区画の廃墟といった雰囲気。秋には紅葉が綺麗だそうですが、夏の日差しに映える苔も、自然への畏怖が感じられて素敵です。
巫女さんがトランス状態で踊って神託を下す、いわゆる"巫女舞”。そのもうちょっと娯楽寄りというか、芸能っぽい”踊り手”として、白拍子(しらびょうし)というのがいます。神秘的で神聖でありながら、性的な要素も内包しており、奥深くて惹かれます。傀儡女(くぐつめ)とか、歩き巫女なんかと似ています。
その昔、 祇王(ぎおう)と祇女(ぎにょ)という、美少女白拍子姉妹がいたそうです。美少女かどうかは勝手に決めましたが恐らく間違いないと思います(根拠は無い)。
いろいろあった後、姉の方が平清盛に気に入られたそうで、人生バラ色になりかけたらしいですが、仏御前(ほとけごぜん、巴御前ではない)というニューフェイスが登場。あっさり捨てられ、ちくしょうめと妹と共に出家してお寺に入ったら、なんか仏御前も出家してきて、みんなで住んだお寺がここなんだそうな。平清盛が恋愛シミュレーションゲームの主人公だったらバッドエンドな匂いがしますが、ともかく世俗のゴタゴタを忘れ、静かに暮らすには最高の場所と言えそうです。
まさに緑の絨毯
苔の質感が大切なので、露出は木漏れ日のあたっている部分を基準に。
なんか、コダマか、たまゆらか、なんかそれ系のモノが写っていても不思議じゃありません。97%くらいはセンサーに付着したゴミだと思いますが。
お店で休憩したら、お香ではなく、お茶っ葉を炊いてました。良い香り……。
こちらが天龍寺の外れから祇王寺方面へと続く竹林
それにしても暑かった……。
夜の八坂神社です。
楼門が大通りにダイナミックに面しているのが絵的に面白いところ。
こちらは東福寺
床に丸い穴が空いてますが、実はこれ日本最古のトイレ。禅寺らしく、用の足し方も厳しく決められていたそうで、農家の人がとりにきて収入源にもなったそうな。しかもこの東司(トイレ)、重要文化財だそうなww
枯山水の庭園にそびえる石。荒波の中の、絶海の孤島のように見えますが、仙人とかが住んでる蓬莱(ほうらい)をイメージしてるんだそうな。「小僧は知らんだろうが、昔、蓬莱学園てのがあって」と説明しはじめ、嫌な顔をされる。それが俺のジャスティス。
おわり